文●Believe Japan 出典●東京都ホームページ(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/shougai_shisaku/helpmark.html)
「気になる!知りたい!福祉ワード」とは、福祉にまつわる「なんとなく知っているつもり……」になっている事柄について、あらためて調べてレポートするというコーナー。今回はさまざまな病気や妊娠初期など、外見からではわからないものの、電車やバスでの席譲りや階段での荷物持ちなど、周囲からの援助を必要とする方のために作られた「ヘルプマーク」について、名前の由来やその役割についてご紹介します。
「ヘルプマーク」ってなに?
赤地に白ぬきの「+」と「❤︎」。とても目に付きやすいデザインの「ヘルプマーク」は、ネームタグのようにバッグなどに取り付けて気軽に使える。義足や人工関節を使用する方をはじめ、疾患などによって内臓機能が障害を受け、日常生活に支障がでる内部障害や難病の方、または妊娠初期の方など、外見から分からなくても援助や配慮を必要としている方々が、「配慮を必要としています」ということを周囲に知らせることができるマークです。
「ヘルプマーク」を身に着けた方を見かけたら
電車・バスの中で、席を譲る
外見では健康に見えても、疲れやすかったり、つり革につかまり続けるなどの同じ姿勢を保つことが困難な方がいます。 また外見からは分からないため、優先席に座っていると不審な目で見られ、ストレスを受けてしまう方もいますので、そのような方を電車やバスで見かけたら、席をゆずりましょう。
状況によっては、声をかける
交通機関の事故等、突発的な出来事に対して臨機応変に対応することが困難な方や、立ち上がる、歩く、階段の昇降などの動作が困難な方がいます。様子を見て、必要であれば声がけをしましょう。
災害時の避難を支援する
視覚障害者や聴覚障害者等の状況把握が難しい方、肢体不自由者等の自力での迅速な避難が困難な方がいます。災害時など、緊急に避難する時はサポートをしましょう。
東京発から全国共通マークに
2012年、東京都福祉保健局が作成した「ヘルプマーク」は、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、外国人観光客にもよりわかりやすい案内用図記号にするため、2017年7月にJIS(案内用図記号)に追加、全国共通のマークになりました。東京都では、このヘルプマークが全国にさらに普及し、援助や配慮が必要な人がいることへの気づきや思いやりのある行動の促進を目指しています。公共交通機関などにおいてヘルプマークの配布や優先席へのステッカー標示を推進し、民間企業への働きかけも積極的に行われています。
東京都のヘルプマークの配布場所
都営地下鉄各駅(押上駅、目黒駅、白金台駅、白金高輪駅、新宿線新宿駅を除く)駅務室、都営バス各営業所、荒川電車営業所、日暮里・舎人ライナー(日暮里駅、西日暮里駅)駅務室、ゆりかもめ(新橋駅、豊洲駅)駅務室、多摩モノレール(多摩センター駅、中央大学・明星大学駅、高幡不動駅、立川南駅、立川北駅、玉川上水駅、上北台駅)駅務室(一部時間帯を除く)、東京都心身障害者福祉センター(多摩支所を含む)、都立病院、公益財団法人東京都保健医療公社の病院等。
優先席へのステッカー標示
実施路線:都営地下鉄(浅草線、三田線、新宿線、大江戸線)、都営バス、都電荒川線、日暮里・舎人ライナー、ゆりかもめ、多摩モノレール
役立つ「ヘルプマーク」、利用者の声
広がりを見せるヘルプマークですが、実際にどのようなカタチで利用者の役に立っているのかがわかるエピソードを紹介します。引用:東京都ホームページ
義足や人工関節を使用している方
「外見からはわからないので、電車の優先席に座っていると注意される。ヘルプマークで事情があると伝えることができて、とても気が楽になった。ヘルプマークをお守りにしている」
がん患者の方
「がんを患っていて、副作用もあり、通院のために出かけると立っているのも辛い。でも、見た目ではわかってもらえない。気づいてほしいので、ヘルプマークを身につけている」
聴覚障害のある方、言語障害のある方
「お店で、シールに、聞こえないので筆談をお願いします、と書いたヘルプマークを見せると、すぐわかって助けてもらえてありがたい」
命を救う
「ヘルプマークに緊急時の連絡先として、かかりつけの病院の電話番号を書いておいたので、発作で倒れた時に救急隊員が気づいてすぐ連絡をしてくれ、一命を取り留めることができた」
発達障害のある方
「ディスレクシア(読み書き困難)があり、銀行で書類を書くのがとても大変。でも、シールに支援してほしいことを書いたヘルプマークを見せると、さりげなく教えてくれてスムーズに手続きができる。しかも、大勢のお客様がいる中で、毎回自分の障害を説明しなくてもいいので、ストレスが減った」
配慮されることも、することもできる存在
「慢性疾患があるので、辛い時には助けてもらいたい。でも、元気な時はヘルプマークを鞄にしまっている。できるときはお手伝いしようと思う。支援する側にもなれる、ということが嬉しい」
視覚障害のある方
「白杖だけを持っていた時に比べて、声をかけてくれるひとが格段に増えて嬉しい。同じ盲人でも一人で行動したいひともいると思うが、自分は声をかけて助けてもらいたい」
気づきと配慮
「知的障害のある子どもが迷子になった時に、駅員さんがヘルプマークに気づいて、声掛けしながら見守ってくれていた。周りの方が気づいて配慮してくれて、ヘルプマークを身につけていてよかったと心から思った。その存在と意味を多くの方に知ってもらいたい」
現在導入している府県
現在、ヘルプマークを導入しているのは、東京都をはじめ京都府、和歌山県、徳島県・青森県・奈良県・神奈川県・滋賀県・大阪府・岐阜県・栃木県・広島県・北海道・秋田県・愛媛県・島根県・兵庫県・鳥取県・静岡県(平成30年2月5日現在)となっている。
東京都では、さまざまな困難や心身のハンディキャップを持った「援助が必要な方」が、日常的に様々な援助が得られる社会づくりを推進していて、このヘルプマークもその一環となっています。
No Comments