文と写真●Believe Japan
2021/7/8(木)配信
家族の介護など、ある日突然必要になることが多い福祉車両。しかし、車いすが必要になった家庭では、家のバリアフリー化に加え福祉車両をすぐに購入するのは、やはりハードルが高いだろう。そんなとき、思いのほか便利なのが「必要なときに借りることができる」レンタカーの存在だ。実際、筆者の知り合いも週に一度レンタカーを借り、親御さんを病院に送迎しているひとがいるが、レンタカーの魅力を「介護タクシーでは親も気疲れするし、家族だけの空間で移動することは気分転換にもなり、とても楽しい一時になる」と語っている。
そんなわけで、我々も実際に借りて試すことにした。今回は車種が豊富なことからトヨタレンタカーに注目。トヨタでは「ウェルキャブ」という名称を使用しているが、「車いす仕様車」だけでも、シエンタ、エスクァイア、ノア、ヴォクシー、ヴェルファイア、ハイエースが選べ、車いすを使わないまでも足腰に不安がある方向けの「サイドリフトアップシート車」、「助手席リフトアップシート車」、「助手席回転スライドシート車」、「サイドアクセス車」を選ぶことができるのだ(店舗によるため、それぞれ確認が必要)。
チョイスしたのは「ウェルキャブ」レンタカーのなかでも人気だというシエンタ。コンパクトサイズなので取りまわし性に優れ、料金もリーズナブル。こちらを事前に予約しておき、当日店舗に向かった。手続きは、拍子抜けするほど簡単だった。そう、福祉車両のレンタカーといっても、借用方法は普通のレンタカーとまったく同じ。唯一必要なのは、車種ごとに異なる使い方を教えてもらうぐらいなのだ。今回、我々は使用する車いすを持ち込んで説明を受けたが、車だけ受け取って自宅で初めて車いすを載せようという人は、ここでしっかり説明を聞いておくことをオススメしたい。
そして借り出したあとは、楽しいドライブへ!と言いたいところだが、ここで福祉車両の運転方法をあらためてお伝えしたい。それは、「急がつく操作はとにかく避けるべし」ということ。車いすの固定は専用金具等でしっかり行われているが、車両に備わっている通常のシートとは根本的に取り付け剛性が異なるため、たとえばドライバーがいつものペースでコーナーを曲がっていても、車いすに乗っているひとには大きな負担になることが多い。それではせっかくのドライブも楽しめなくなってしまう。得てして、乗せてもらう人は「快適ですよ、大丈夫ですよ」とドライバーを気遣うことが多いから忘れがちになるが、ここは気持ちを切り替えて、どのような状況でも丁寧な運転を心がけよう。これさえしっかり守れれば、楽しい時間を過ごせるはず!
今回は主に体験するのが目的のため短時間の利用だったが、これだけ気軽に借りることができるなら、利用価値は十分にあることが実感できた。冒頭に知り合いのコメントを記したが、介護タクシーとの使い分けでもいいし、購入前に車両の使い勝手を確かめるという点でも、大いに試してみる価値があると思う。
借用手続きは通常のレンタカーとまったく同じ。そして、意外と知られていないのが「ウェルキャブ」
利用時は基本料金が非課税になることだ(一部車種・仕様を除く)。また、標準車の基本料金を割引してくれる「福祉割引」という制度もある(身体障がい者手帳、療育手帳の提示が必要)。
借用したシエンタは、ナビ・ETCが搭載され、使用にはまったく不都合なし。6時間の一般料金で合計8650円(基本料金=7000円、免責補償料=1100円、添付品料金=550円)の支払いだった。
車両の取り扱い方法を説明をしてくれた権正拓也さん。「操作がわかりやすいのがトヨタウェルキャブシリーズの特徴ですが、車種ごとに異なる箇所やポイントがあるので、それらをしっかり説明させていただきます」と、慣れた感じでシエンタの操作方法を教えてもらった。
トヨタレンタカー羽田空港店
今回車両を借りたのは、羽田空港からほど近い環状八号線沿いで京急空港線大鳥居駅から徒歩1分にある「羽田空港店」。リニューアルして間もないという店舗はビル内にあるため、天候を気にせず取り扱いの説明を受けることができる。
問い合わせ:トヨタレンタカー https://rent.toyota.co.jp
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