文と写真●Believe Japan 世界的に見ても、日本の自動車メーカーがラインアップする福祉車両(ビリーブカー)は非常に数が多い。しかし、実際に福祉車両が必要になったとき、これまで輸入車に慣れ親しんできたひとなら、「福祉車両でも輸入車を選びたい」と思うことは想像に難しくない。今回取材したヤナセオートシステムズの福祉車両は、そんなユーザーの夢を実現してくれる。 ご存知のように、ヤナセは日本における輸入車市場拡大のきっかけとなった老舗中の老舗で、その歴史は、なんと100年以上におよぶ。その間、数多いブランドの輸入車を取り扱い、現在に至っている。ヤナセで新車、中古車を購入した、あるいは整備をお願いしたなど、お世話になったことのあるひとは思いのほか多いはずだ。 福祉車両への本格参入を発表したのは、2017年9月。それまでは個別にユーザーと相談しながら車両を架装するスタイルをとっていたが、すでに始まっている超高齢化の現状や問い合わせにも対応しやすいように、「バリアフリーな輸入車で、車のある人生をもっと長く」というコンセプトのもと、全国の販売店でサービスを展開している。 今回は、すでに全国の福祉機器展で展示実績のあるデモカー2台を借り出し、実際の使い勝手をチェック、Vクラスは試乗も行った。 1台目はメルセデス・ベンツ Vクラスに車いす用の昇降リフト(イタリアのフィオレラリフト社製)を装着した車両。このクルマのポイントは、耐荷重が360kgあるリフト。国産メーカーの福祉車両では対応しきれないことの多い、重量級の電動車いすをストレスなく載せることができる。 操作方法はいたって簡単。テールゲートを開け、ユニット本体のボタンを押すだけ(詳細は動画にて確認してほしい。また、この仕様は一部手動での作業が必要だが、完全電動のタイプもある)。こちらは付属のリモコンを使って操作することも可能。車いすが入ったら、固定金具で車いすをしっかり固定するだけ。このリフトのいいところは、横に回転させることができ、車いすを載せないときなど、荷物の出し入れが手軽に行えるところが便利。 リフトの使い勝手のよさに加え、このクルマの美点はやはりドイツ車らしい走りだろう。速度無制限区間のあるアウトバーンを連続走行するためには、そもそもクルマがタフでなければ話にならない。筆者も同じVクラスで現地を数千km走りまわった経験があるが、フロア剛性の高さくるしっかり感は、安心感に直結する。それは車いすに乗っていても同じことで、リラックスして乗り続けられることができた。車いすに乗車したスタッフの184cmという身長でも、頭上スペースは問題なし。カップホルダーに加え、エアコン吹き出し口が側にあるのも嬉しいポイントだろう。 続く2台目はメルセデス・ベンツ Cクラス ステーションワゴンに、車いす自動収納装置(イスラエルのTMN社製 R11ロボット)を装着した車両。この装置は運転席からトランクへ、車いすをワンタッチで運んでくれるというもの(こちらも詳細は動画で確認してほしい)。まさに現代のロボット技術がなせる装置で、その華麗な動きに思わず見入ってしまうが、車両の改造範囲が少ない点、後席をそのまま使える点などメリットも大きく、欧州ではすでに2000機の販売実績をもつという。 操作は運転席に移乗し、車いすをアームにセットしたら(少々慣れが必要)、手元のスイッチを押すだけ。この装置は汎用性が高く、車いすを収納できるスペースがあれば装着可能だが、取り付けには詳細な現車確認が必要となる。 こちらは自操式装置(イタリアのKivi srl社)。リング&レバータイプの手動運転装置で、リングでアクセルをコントロール、右のレバーを下げるとブレーキがかかるというもの(実施の商品は黒色)。 今回紹介した2台の仕様以外にも、吊り上げ収納用リフトや着脱式スロープ、補助ステップ、回転シートなどが用意されているヤナセの福祉車両。かつては「いいものだけを世界から」。現在は「クルマはつくらない。クルマのある人生をつくっている」というキャッチフレーズのヤナセ。ヤナセの福祉車両は、たしかな商品を厳選し、それを好きなクルマに装着するという、これまで培ってきたグループの強みが発揮されている。新車はもちろん、ヤナセで販売されている中古車でも装着の相談ができるというから嬉しい。また、上記の車両はH.C.R.2019(第46回... ...
On 2019年8月30日 / By wpmaster© 2016-2020 Believe Japan, Inc. All rights reserved.