文と写真●Believe Japan 取材協力●社会福祉法人 日本盲人会連合
「気になる!知りたい!福祉ワード」とは、福祉にまつわる「なんとなく知っているつもり……」になっている事柄について、あらためて調べてレポートするコーナー。今回は駅、バス停、公共施設周辺の歩道でよく見かける、黄色い突起のあるブロック「点字ブロック」です。点字ブロックの意味や機能について、ご紹介します。
点字ブロックとはなにか?
点字ブロックの正式名称は「視覚障害者誘導用ブロック」。バリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)によると「視覚障害者に対する誘導又は段差の存在等の警告若しくは注意喚起を行うために路面に敷設されるブロックをいう。(※1)」とあります。つまり、視覚障害のある方のためにつくられた、歩行をナビゲーションするような機能をもったブロックです。
点字ブロックには、線状の突起をもった「誘導ブロック」と、点の突起をもった「警告ブロック」の2種類の形状があり、それぞれに役目があります。
誘導ブロック:移動を示す。進行するイメージ、動くイメージ。
警告ブロック:注意を示す。止まるイメージ、先が行き止まり・曲がるなどの警告イメージ。
なぜ黄色いのか?
バリアフリー法でも「視覚障害者誘導用ブロックの色は、黄色その他の周囲の路面との輝度比が大きいこと等により当該ブロック部分を容易に識別できる色とするものとする。(※2)」とあります。極めて視力の低い状態でも、できるかぎり点字ブロックが見つけられる輝度の高いブロック色ということで「黄色」が採用されています。視覚障害のある方にとっては、色も大切な情報なのです。
点字ブロックは日本の発明品だった!
点字ブロックは世界中で見かけるものですが、いったいどこで生まれたものなのでしょうか。じつは日本の岡山県で生まれた、日本発祥の発明品だったのです。発明したのは「三宅精一」という発明家。杖をついた視覚障害の方が横断歩道を渡る際に、クルマが勢いよく通り過ぎ、その場で座り込んでしまうという場面に遭遇したことをきっかけに「盲人の安全歩行」を目指すこととなります。これが点字ブロックのはじまりです。点字ブロック第1号は1967年に岡山県立岡山盲学校の近くの国道の交差点に敷設。以後、改良と普及活動が行われ、現在の発展を遂げることになりました。
まだまだ問題が山積み
点字ブロックの現状について、社会福祉法人 日本盲人会連合 常務理事の橋井正喜さんに伺いました。そのなかで、点字ブロックの突起が高齢者や車いすの方、ベビーカーなどの進行の妨げになってしまうという問題があるが、点字ブロックをすべてなくすわけにはいかず、議論が繰り返され、今の突起の高さや形状になっていることを教えていただきました。また、駅の近くで自転車が多く駐輪されているところに敷設されている点字ブロックが、誤って駐輪区域の目安のような使われ方をしていることがあり、点字ブロックに沿って自転車が並んでいると、杖や体が当たってしまい大変危険だということも……。こういった問題解決のポイントを、橋井さんは「マナー」と仰っていました。日ごろのちょっとした気配りが、周りの人の生活を過ごしやすくしてくれるのかもしれません。
橋井さんは最後に「すべての道路に点字ブロックが敷設されているわけではないので、もし視覚障害の方を街で見かけた際には、暖かい心で『どこまで行かれますか?』と、やさしく声がけをいただけるとうれしいですし、大変助かります。」と仰っていました。
点字ブロックとは日ごろよく視覚障害の方にとっては、大切な「道しるべ」ということが、あらためてわかりました。
「点字ブロック」のまとめ
►点字ブロックには「誘導ブロック」「警告ブロック」の2種類。
►黄色には目立たせる意味があり、大切な情報。
►日本発祥の発明品で、第一号は岡山県。
►点字ブロックは視覚障害の方にとっての「道しるべ」。
※1:移動等円滑化のために必要な道路の構造に関する基準を定める省令(平成18年12月19日国土交通省令第116号)より抜粋。
※2:移動等円滑化のために必要な道路の構造に関する基準を定める省令(平成18年12月19日国土交通省令第116号)第三十四条より抜粋。
No Comments