文と写真 ●Believe Japan
「狭い日本、そんなに急いでどこへ行く」などと言われるが、日本は世界の中でそれほど小さな国でない事はご存知のとおり。だが、山が背骨のように細長い国土を貫き、面積の70%以上が山地になっている。
そこに住み、日々移動するとなると、農村部はもちろん、都市部や住宅地においても狭い道が入り組み、ボディサイズの大きなクルマでは曲がることや対向車とのすれ違いで何かと気を使う場面が多いのが実情だ。こうした地域では、以前から生活の足、日常の移動手段として軽自動車が重宝されてきた。「軽」は日本特有の自動車企画で、税制上の優遇など、コスト面での利点が大きいが、近年は安全性や快適性でのクオリティが著しく向上し、一般のユーザーからも高い人気を集めている。
抜群の使い勝手のよさと維持費の安さ。軽自動車のコストパフォーマンスの高さはもはや言うまでもないだろう。そして今日、福祉車両としもさまざまなモデルを選ぶことができるようになっている。その中心となって積極的なモデル展開を行っているのがダイハツだ。2016年には合計約4600台の福祉車両を販売している。そのなかで圧倒的な主力となっているのが「タント」。助手席が回転する「ウェルカムシート」とリヤハッチを開けてスロープから車いすで乗り込むタイプの「スローパー」というふたつの仕様がある。人気が高いのはスローパーで、販売台数はウェルカムシートの約3倍に上る。
タント「ウェルカムシート」
タント「スローパー」
タントの魅力を簡単にまとめてみると
◎Bピラーがスライドドアに内蔵されていて、大きく開くミラクルオープンドアの圧倒的な利便性。
◎スロープが短く、狭いスペースでも乗り降りができる。
◎電動ウインチにより、女性やお年寄りの方でも、簡単に車いすの乗り降りすることができる。
◎ウェルカムシート(助手席回転)は、助手席が前後にスライドするので余裕の乗り降り。
◎進化し、車両と歩行者を的確に認識するセイフティ機能「スマートアシストIII」による安心感。
タント最大の特徴は、Bピラーがスライドドアに内蔵されていていること。これは開口部を最大1490mmと大きくすることを可能にし、乗り降りを決定的にラクにしてくれる。また、開口部の「高さ」も1370mmと、こちらも余裕だ。また、ウェルカムシートでは、「ミラクルオープンドア(両側スライドドア)」と車外からも簡単に前後スライドできる助手席と相まって、通常のフロント側からはもちろん、中央部からの乗り降りも可能で、助手席の左右どちらからでも介助できるのが特徴となっている。これはほかにはないタントの大きな美点といえるだろう。
一方のスローパーも、スロープの張り出しがわずか1115mmとなっていて、乗り降り時の「省スペース化」が実現されている。スロープの角度は13度であるが、電動ウィンチによって素早く手軽に、車いすでの乗り降りができる。スローパーの魅力は、試乗動画でもチェックしてほしい。
車いすの乗車の際に身体を支える「手すり」は、回転式で簡単に向きを変えることができる。
シート下部に収納でき、片手で簡単に操作できる「折り畳み式フットレスト」。
ダイハツの福祉車両は、パッケージングや装備において、実際の使い勝手が追求されているが、それは初期段階から福祉車両を考慮して開発されていることも大きく影響している。福祉車両としても人気があるのは当然といえるだろう。
今回訪れたのは、半世紀以上の歴史を誇るというダイハツ東京販売株式会社の「Dモール月島店」。2016年にリニューアルした同店は、明るく広々としたフロアに、1台1台にゆったりとしたスペースが与えられ、実際に回転シートやスロープといった福祉機能を快適に試すことができるお薦めのお店だ。
清潔で広々とした展示フロア。店内は完全バリアフリーだ。
Dモール月島店の鈴木勝店長は、「店舗では、スタッフひとりひとりが、実際に乗る人の意識や感情まで考慮して、ライフスタイルに合った最適なモデルを紹介することを心がけています。それぞれが、モビリティライフプランナーとなることを目標に掲げています」と熱く語る。
Dモール月島店の鈴木勝店長。
たとえば、歩行が難しいユーザーの場合でも、慎重にニーズや使用状況を見定めて、できるかぎりウェルカムシートを勧めるという。これは、シートレイアウトも通常のクルマと変わらず、スローパーと比べて、日常的な使い勝手がいいから、という理由だ。鈴木店長は「これからも安全性、デザイン、価格に優れたダイハツ福祉車両の魅力をみなさんにもっと知ってもらい、万全なサポートを心がけていきます」と語る。
ミラクルオープンドア(両側スライドドア)の開放感は、ほかにはないタントの魅力。
ダイハツは女性ユーザが多いことで知られているが、乗り降りがラクにできるシート高や良好な視界を得られる低いダッシュボードなど、ユーザー目線でのこだわりが文化となり、福祉車両にも存分に生かされている。実際の使い勝手を重視するダイハツの姿勢を、タントは今回改めて思い知らせてくれた。
ダイハツ Dモール月島店
住所:東京都中央区月島2-15-1
電話:03-3531-5381
定休日:火曜日
営業時間:9:00〜18:30
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