文●Believe Japan 取材協力●公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会
「気になる!知りたい!福祉ワード」とは、福祉にまつわる「なんとなく知っているつもり……」になっている事柄について、あらためて調べてレポートするコーナー。今回は駐車場や公共施設などで見かける車いすがデザインされた「国際シンボルマーク」について、名前の由来やその役割について、ご紹介します。
国際シンボルマークってなに?
「国際シンボルマーク」は、車いすがデザインされていたり、駐車場などで見かけるため、歩行が不自由な方々へのサポートを表していると思われがちです。しかし、このマークが本来意味するのは、障がいを持つすべての方々が利用しやすい建物、施設であることを表すものなのです。たとえば歩行困難者のためにスロープが設置されていたり、施設の構造や案内などにさまざまな配慮が行われていることを示しています。1969年、それまで各国でバラバラにデザインされていたものを、世界統一デザインとすることで、国や言語に関わらず、障がい者にわかりやすく案内できるようにと定められました。
障がいを持つすべてのひとのためのマーク
日本において、この「国際シンボルマーク」の本来の意味を広め、正しく活用してもらうべく活動しているのが、「公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会」です。お話を伺った総務部 総務課 課長の村上さんによれば、「国際シンボルマークができたころは、主に公共的な建物や施設に使われていましたが、経済成長とともにモータリゼーションが発展し、歩行困難者の方々がクルマを利用することが増えたことで、駐車場にマークを利用したいというニーズが生まれました。また近年では、障がいのある方の社会進出が進んだことで、民間も含め幅広い施設で広く使われるようになってきました。しかしその一方で、マーク本来の意味が理解されず、車いすの方へ向けた表示であるような誤解や利用方法も生まれています。個人のクルマにマークを掲示する方もいらっしゃいますが、これは障害のある方がクルマに乗車していることを周囲にお知らせするという表示にはなりますが、駐車禁止を免れる、または障害者専用駐車場を優先的に利用するための証明にはなりませんので、ご注意頂けますと幸いです。外国ではマークの発行に資格が必要であったり、法律でルール化されているのですが、日本はまだ厳密にルール化されていません。我々としては今後も一層、国際シンボルマークについて正しい理解を広めていきたいと思います」。
クルマの利用に関するマークは?
駐車禁止の規制から除外されることを示すマークとしては、「駐車禁止除外指定車」の標識があります。また、障がいを持つ方が運転していることを表すマークとしては、「身体障害者標識(四つ葉マーク)」や「聴覚障害者標識」があり、ご高齢の方であることを示すものは「高齢者マーク」となりますので、それぞれ正しく利用したいものです。
また、国際シンボルマークを敷設している駐車スペースを、サポートが必要な方々にスムーズに活用してもらえるようにと、地方自治体が「パーキングパーミット制度(障害者等用駐車区画利用証制度)※」を採用するケースが増えています。障がいのある方だけでなく、高齢者、妊産婦の方についても、この制度を利用することで、国際シンボルマークの敷設されたスペースに優先的に駐車することができます。なお、パーキングパーミット制度は、地方自治体により実施の有無や名称、実施内容等が異なるため、まずはお住まいの地方自治体にてご確認ください。
正しい理解と利用が求められる
「国際シンボルマーク」は、より多くの人々が暮らしやすい社会を実現するために作られた世界各国で共通して使われているマーク。たとえば海外旅行などで海外に出かけた際にも、このマークがある建物なら安心して利用できる目安になります。一方で、海外からの旅行者にとってもそれは同じです。だからこそ、今後より一層、正しい理解と使い方が広まることが求められるのではないでしょうか。
「国際シンボルマーク」のまとめ
►国際シンボルマークとは、障がいのある方が利用できる建物や場所であることを示すマーク。
►国際シンボルマークは1969年に制定された世界共通のマーク。
►マークが敷設された駐車場をスムーズに利用するための取り組みも開始している。
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