文と写真●Believe Japan
そのほかに注目したいのが、マツダ ブースで参考出品されていた「アテンザワゴン」の手動運転装置付車だ。すでにロードスター RFとアクセラに手動運転装置付車が設定されているが、アテンザワゴンも大きな注目を集めていた。
市販車では福祉車両が設定されていないアテンザワゴンだが、この展示車には左手でアクセルならびにブレーキ操作が可能な「コントロールグリップ」と右手で変速ができる専用の「ステアリングシフトスイッチ」が装備され、足でのペダル操作が困難な方、車いすを利用する方が自身で自由に運転することができる。シフトノブの横にあるコントロールグリップは、前に押し込んでブレーキ、引いてアクセル、となっていて一本で加減速を操作できるのが特徴だ。また、コントロールグリップの進行方向側の前面には、ウインカーやホーンのスイッチがある。
すっきりとしたデザインで、いかにも機能性が高そうなコクピット。手動運転装置はワンタッチでキャンセルすることも可能で、家族などで共有する場合にも便利だ。
リモコン操作で開閉できるラゲッジルームには、車いすの積み降ろしをサポートする電動の車いす収納装置「ウィンチェア(ニッシン)」が装備されている。大型の車いすにも対応して簡単に収納できる。
そして、後部座席にも車いす収納用のカバーがある。この展示車は、車いすバスケなど競技用の車いすをラゲッジに積んで練習や試合に行くユーザーをイメージしているという。日常移動用の車いすは、ドライバーが運転席から後席に自分で積むことを想定していて、そのために2台分の収納が用意されているのだ。アクティブなユーザーには非常に頼もしいパートナーといえる。
マツダは、福祉車両の開発において単なる移動手段に留まらず、クルマの運転を通じてより多くのひとに「自由に移動すること、運転することの楽しさ、走る歓び」などを体験する機会の提供を目指してきた。そうして、心豊かな人生を味わってもらい、ユーザーとの間に特別な「絆」を持ったブランドになることを目標としているという。手動運転装置付車の開発もその一環なのだ。
今回の国際福祉機器展、マツダ ブース最大の話題はリトラクタブルハードトップモデル「ロードスター RF」の手動運転装置付車であった。しかし、まばゆい輝きを放つソウルレッドのアテンザワゴンの周囲にも、つねに多くの来場者がつめかけ、その注目度の高さをうかがわせた。また、スタッフに販売の可能性をたずねるひとも少なくなかった。今後の展開に大いに期待したい。
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