ダイハツは、スマートフォンアプリのデイサービス向け送迎支援システム「らくぴた送迎」を開発した。
現在介護事業所では、利用者の送迎時に多人数乗車ができる大型車両を導入しているケースが多い。これは「一筆書き送迎」と呼ばれ、1台の大型送迎車が施設利用者の家を次々に訪問し、いちどにまとめて介護施設まで運ぶという方式だ。これは一見効率がよさそうに思えるが、実際は大型車両を運転できるドライバーの確保や車両コストの高さ、狭い路地への入りにくさなど、さまざまな問題も抱えている。
なにより利用者は送迎車に乗り込んでも、ほかの利用者の家を次々と経由してから施設に向かうため乗車時間が長くなり、それが大きな負担になっているという。しかしながら軽自動車のような少人数乗車の車両を複数台導入すると、より緻密な運行管理を行う必要があり、今度は担当者の負担が大きくなるという問題があった。
これらの悩みを一挙に解決すると期待されるのが、今回ダイハツが開発した「らくぴた送迎」。これは、「送迎前」「送迎中」「送迎後」の3つのシーンで、送迎業務をサポートするシステムだ。
送迎前
「送迎前」に車両情報と利用者情報を登録すると、最適なルートを表示してくれ、送迎計画の作成はもちろん、計画書の修正、コピーもワンタッチでできる。また相性のよくない利用者同士の同乗を避けるための「相性アラート」も導入するなど、現場の声に寄り添った機能が充実している。
施設のパソコン画面。迎えに行く施設利用者の情報がリスティングされる。
次に今回の送迎に適した車両を確認して選択することができる。
送迎の最適なルートは、ドライバーのスマートフォンにも表示される。
送迎中
「送迎中」は、施設のパソコンとドライバーのスマートフォンが連携し、施設からはドライバーの位置が地図上で確認できる。さらに利用者の急なキャンセル情報の共有や、ひとつ前の地点を出発する際、次の地点の利用者に自動電話を掛けるお知らせ機能なども設定できる。
施設のパソコン画面。ドライバーの現在位置が表示される。
次に迎えに行く地利用者に自動電話を掛ける機能がある。事前に予告することで、待機時間などロスを減らすことができる。また利用者の急なキャンセルなどの情報は速やかに反映され、最適に修正されたルートが表示される。
送迎後
送迎実績が運行データとして蓄積されるとともに、月々のレポートがグラフで表示され、今後の運行管理に役立てることが可能となっている。
利用者、ドライバー、送迎車両についてのデータが蓄積され、手軽に分析することができる。たとえば、写真は利用者の「平均乗車時間」を示したものだが、これによってルートの再考、改善ということも可能となる。
現在「らくぴた送迎」は、介護事業所「SOMPOケアネクスト株式会社」など一部施設で実証実験を行っており、すでに施設スタッフからは、「正確な時間で送迎できた」、「運行計画表作成の時間が大幅に短縮できた」、「今までは専門スタッフが管理していた運行をだれでも行えるようになった」など、導入を歓迎する声が上がっているという。
同社では今後首都圏の施設を対象に実証実験を拡大し、2018年度内のサービス提供に向けて、準備を進めていく考えで、Beliveでも引き続き注目していく。
ダイハツは創立110周年に合わせてグループスローガンを「Light you up」とし、世界中の一人ひとりが自分らしく、軽やかに輝けるモビリティライフを提供していくとしている。またユーザーや地域の方々との接点を拡大し、モノづくりを超えた「コトづくり」に取り組んでいる。
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