文と写真●Believe Japan
高齢者や障がいのある方の快適な生活を提案する総合福祉展「バリアフリー2018」が、4月に大阪で開催された。今年も開催3日間で、延べ8万8260人が来場する大きな盛り上がりを見せ、自動車メーカーのブースには、最新の福祉車両を見るため、来場者が詰めかけていた。
ここでは、注目を集めていた福祉車両を紹介していく。まずはミニバンの人気モデル日産「セレナ」から生まれたコンセプトモデル「アドベンチャーログキャビン(Adventure Log Cabin)」。福祉車両をはじめ、日産の特装車を手がけるオーテックジャパンによるこのモデルは、多くの来場者に衝撃を与えるものとなった。モーターショーでは、近未来的なフォルムや斬新な機能をうたったコンセプトモデルがメーカーから発表されることが多いが、福祉車両としては非常に珍しい。
遊び心あふれるスタイリング
「アドベンチャーログキャビン」は、福祉車両「セレナ チェアキャブ スロープタイプ」をベースとしたコンセプトカー。ボンネットからルーフにかけてブラックに装飾したボディラッピングに加え、「冒険」をイメージさせるルーフキャリア、オフロードタイヤの装着など、アクティブかつワイルドなルックスで、アウトドアの雰囲気を明るく演出している。
バリアフリー展の直前に開催された子どもの福祉用具展「キッズフェスタ 2018」にも展示され、好評だったというアドベンチャーログキャビン。ベースのチェアキャブ スロープタイプは、「車いすに乗る子ども」の快適さを第一に考えたレイアウトであったが、このコンセプトモデルでは、さらに「一緒に出かけることをもっと楽しむ」というメッセージが込められているようだ。車いすスペースにベージュ系の内装色に調和する、明るい木目調のフロアマットが装着されている。「明るい子供部屋」をイメージしたということで、見た目だけでなく、乗る人の気持ちも明るくなるように考えられている。
ドライバーから近い距離に座れるよう、車いすのポジションは、前に、そして中央寄りになっている。スライドドアからは、車いすの後ろを通って、3列目にアクセスできる。
スウェーデンのカーキャリアブランド「THULE(スーリー)」のルーフキャリアを装着する。マットブラックのカラーが絶妙なアクセントとなっている。
車いすスペースのフロアマットは通常ブラックだが、明るい木目調に変更されている。3列目シートを自在に展開することで、車いす2名の乗車にも対応する。
電動ウインチで、車いすを簡単、確実に固定できる。
近年、多くの新型車が発売当初から設定するようになった福祉車両。機能が進化するだけでなく、好みのモデルを自由に選ぶことができるようになっているが、今回のコンセプトモデルによって、その認知はさらに広がりそうだ。
コンセプトモデル「アドベンチャーログキャビン」のベースとなった「セレナ チェアキャブ スロープタイプ」。広々とした室内と乗り降りの快適さで高く評価されるが、待望の電動パワートレイン「e-POWER」を搭載して、大きな注目を集めている。
そのほか、日産のブースでは、エクストレイルの福祉車両「助手席スライドアップシート」が人気を集めていた。SUVらしく、アクティブなレジャーをイメージさせるデザインが好評とのこと。
ラゲッジスペースには折り畳タイプの車いすが、ネットでしっかりと固定され収納できるようになっている。
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