トヨタは2018年7月23日、2020年に東京で開催されるオリンピック・パラリンピック競技大会を通じて、3000台以上の車両を大会公式車両として提供し、「すべての人に移動の自由を提供する」目標を達成するためのプランを発表した。
オリンピック・パラリンピックのワールドワイドパートナーであるトヨタは、国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会と連携し、競技会場や選手村、国際メディアセンターの間などでスムーズな移動を行えるモビリティソリューションを提案する考えで、大会のビジョンである「史上最もイノベーティブで、世界にポジティブな改革をもたらす大会」の実現に貢献していく意向だ。
すべての人へモビリティを
具体的には、モビリティサービス専用の次世代電気自動車「e-Palette」とその運行システムを提供し、選手村での選手や大会関係者の移動を支援することをはじめ、障がいを持つ方々のための福祉車両であるウェルキャブや今後公表される予定の「パーソナルモビリティ」などのバリアフリーな移動手段を提供していく。さらに、警備などの大会スタッフには立ち乗り型モビリティや「TOYOTA i-ROAD」などの小型モビリティを提供する。
e-Palette
TOYOTA i-ROAD
また、東京の臨海副都心地区、羽田地区の特定エリアにおいて、自動運転(SAEレベル4相当)の実証実験やデモンストレーションを行い、「だれもが自由に移動できる未来」を掲げるとしている。さらに、人工知能が人の感情認識を行い会話も行うエージェント機能を搭載した「TOYOTA Concept-愛i」のデモンストレーション走行も行われる予定で、新しい移動体験のカタチが示される。
TOYOTA Concept-愛i
トヨタの豊田章男社長は、「だれかが何かに挑戦したいと思っている時、もし、移動が障害になっているのであれば、トヨタは、その課題に正面から向き合いたい。移動が挑戦するための障害ではなく、夢をかなえるための可能性になってほしい。だからこそ、私たちトヨタは“Mobility for All”を目指します」と語っている。
環境と安全
3000台以上とされる大会公式車両には、燃料電池自動車の「MIRAI」や燃料電池バス「SORA」、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車といった電動車両が提供される。そのことで、大会史上最高レベルとなる環境負荷の低減を目指す考えだ。さらに大会公式車両には、予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」など、最新の安全装備も与えられるという。
MIRAI
SORA
ジャパンタクシー
さまざまな人に優しい快適なタクシー専用車として開発され、すでに導入されている「ジャパンタクシー」もさらなる台数の増加が見込まれている。
以上に加えてトヨタでは、大会公式車両に搭載した車載通信機からの走行データを分析し、交通状況を把握し、会場間の安全でスムーズな輸送、効率的な配車や輸送オペレーションをサポートするとしている。
これまでの車両供給の枠をはるかに超えた包括的なモビリティソリューションの提供は、まさにトヨタが描く未来のグランドデザインを体現する取り組みとなりそうだ。アスリート同様、大会において困難なハードルを越えようとするトヨタは、目下着々と準備を進めている。
No Comments