文●Believe Japan 写真●Honda、Believe Japan
2020/12/29(火)配信
「主に筆談だった聴覚障がいのある従業員と健聴者のコミュニケーションを、より円滑にできないものか……」。かねてからこの課題に直面していたHonda。発表された「ホンダ・コミュニケーション・アシスタンス・システム(以下Honda CAシステム)」は、Hondaの先端科学技術の研究を担う、株式会社ホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパンとホンダ太陽株式会社、ホンダR&D太陽株式会社が共同開発したもので、社内利用が2020年9月から本格的に開始されたとして、今回報道陣に披露された。
会議の場などリアルタイムに双方向のコミュニケーションが求められる状況では、意思疎通の正確性、そしてスピードなど、多くの課題があるもの。このHonda CAシステムは、発話内容をリアルタイムかつ高い正確性でテキスト表示することができ、会議の流れやコニュニケーションを妨げることがない。
マイク、音声認識サーバー、テキスト配信PC、テキスト表示用タブレット・スマートフォン等で構成されているHonda CAシステムは、発言者がマイクに向かって発言すると、AI音声認識システムが発話内容をテキストに変換、テキスト配信PCを通じてタブレットやスマートフォンにテキスト表示するもの。社内業務を考慮したチューニングで、社内専門用語も高い正確性をもって変換可能で、発話から表示までの時間も約2秒と素早い。また、音声認識に加えて、キーボード入力や手書き入力でも発言可能で、図面やイラストなども表示することができる。
現場ではすでに「筆談負荷が大幅に減り、会議に集中できる」、「リアルタイムに理解でき、タイミングよく意見を主張できるので、会議参加の実感が得られ、モチベーションにつながる」、「仕事の経緯が分かるので、納得して仕事に取り組める」などと高評価。会議時間も2~3割短縮される効果も確認できているという。
「技術は人のためにある」。このHondaの研究開発の信念が具現化したHonda CAシステムは、現在はHonda内での活用にかぎられているが、今後、さまざまな状況に使用される可能性を秘めたシステムといえるだろう。
本田技研工業株式会社 人事部 多様性推進室
室長 町 潤 氏
Hondaの基本理念である「人間尊重」は、自立した個性を尊重しあい、平等な関係に立ち、信頼し、持てる力を尽くすことで共に喜びをわかちあいたいという理念(自立、平等、信頼)で成り立っていると町潤氏。
ホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパン
プリンシパルエンジニア 住田直亮 氏
今後も、すべての人々が働きやすい環境をつくるべく「完全ハンズフリー音声入力」、「自動学習・自動登録」、「図表入力、変換」、「手話認識・生成」などの展開を実現したいと住田直亮氏。
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