文と写真●Believe Japan
2021/4/15(木)配信
福祉用具の活用で、障がい者の自立支援や安全・安心な介護の実現を目指すアビリティーズ。今回彼らが独自輸入したビリーヴカー(福祉車両)を試乗することができたので、ご報告したい。
車両は「フォクルクスワーゲン キャディ マキシ」。このクルマは欧州ではかなりポピュラーな存在で、商用利用を目的としているだけに、ガッチリと作られているのが特徴。実際、現地では宅配サービスや花屋さん、警察や工事現場など、あらゆるところで活躍している。ちなみに、5人乗りのスタンダードボディと7人乗りのロングホイールベース版があり、後者は「マキシ」と呼ばれている。そして、この車両をイタリアのフォカッチャグループがビリーヴカーとして架装した「ジニアスランプ(5名+車いす1台)」が、今回試乗したモデルである。
導入の背景を、販売責任者である中村さんに伺った。
「日本には優れた福祉車両がたくさんありますが、単体重量で200kgにもなる電動車いすを載せることができる車両となると、主に施設が使用するリフト型に限られてしまいます。そこで、もっとファミリーユースに適したモデルはないかと検討し続け、最終的にこのモデルを輸入することに行き着きました」。
この車両は右ハンドル仕様で、スリーサイズは全長4850mm×全幅1793mm×全高1868mm。経済的な直列4気筒2Lディーゼルターボで、トランスミッションにはツインクラッチの6速DSGが搭載されている。「耐荷重300kg、車いすを載せないときのスロープの床面収納、そして、故障リスクの少ない手動式にこだわりました」と中村さん。事実、日本ではスロープに電動式が採用されることがほとんどだが、欧州では、手動式が選ばれることが多い。
早速、高速道、一般道をじっくり走らせてもらったが、素直に運転しやすい!というのが第一印象。運転席からのボディの見切りがいいことに加え、1800mm以下の全幅だから、コンビニやちょっとしたところでの駐車でストレスがない。また、2Lディーゼルターボと6速DSGとの組み合わせも絶妙で、アクセルを踏み込めば1810kgの車重をグイグイと加速させる。このDSGは、ある程度車速がのったときにコースティング機能が働くため(アクセルをオフにするとニュートラルに入る)、さらなる燃費性能も期待できそうだ。
そして、次に関心したのが優れたボディ剛性感。とくに高速走行中にはステアリング、シート、ボディがひとつの塊としてしっかり体に伝わってくるので、疲労感が少ない。これは、制限速度無制限区間のあるアウトバーンがある、ドイツ車ならではの美点だろう。あらためてクルマというのは基本的なところがいかに重要か感じ入った。
最後は気になる後席についても触れておきたい。担当したスタッフは「広さと開放感がある」ところが美点。あえてデメリットをあげてもらうと「運転席との会話は十分できるが、遮音性がさらにアップすると魅力が増す」という感想だった。
車両価格は600万円(消費税免除)。納車後の点検整備は、日産自動車販売株式会社が行うという。既存の大型国産ミニバンに電動車いすを載せる加工をすると、800万~1000万円近くすることもあるというだけに、コストパフォーマンスに優れた1台だと思うが、いかがだろうか。
アビリティーズの問い合わせ先:
https://www.abilities.jp/blog/event/caddy_maxi_Presentation20210416
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