文と写真●Believe Japan
2021/11/20(日)配信
トヨタから新たなモビリティが発売された。歩行領域におけるモビリティシリーズ「Cウォーク(C+walk)」の立ち乗りタイプである「Cウォーク T(C+walk T)」だ。
このCウォーク Tは空港やショッピングモール、博物館、倉庫や工場といった広い場所での移動をサポートするモビリティとして開発されている。パーソナルモビリティをサポートする製品はさまざまなメーカーが参入し、最近では国内でも電動キックボードやセグウェイなどを目にしたり、またビリーヴでも以前から紹介してきた電動車いすを見かけることも多くなった。それらのほとんどは公道や歩道を走行することができるが、Cウォーク Tは現段階では走行することができず、当面は敷地内や施設内での利用が想定されている。現状では、倉庫や空港など広いところなどの警備や案内係などの移動手段としての需要で、主に法人ユースとなる。
歩行サポートを必要とする個人に向けてではなく、いわば「施設インフラ」の1つとして考えられるわけだ。高齢者など歩行が困難な人でなくとも、広い施設での移動はそこで働くスタッフにとってかなりの負担で、場合によってはその仕事を断念したり、定着率が低下してしまうことも考えられる。上述のとおり、パーソナルモビリティにはベンチャー企業なども参入し、すでに多くの商品が流通しているが、トヨタはさらに施設や公共インフラという大きな視点で次世代の快適なモビリティを考えていることがわかる。
そんなこれまでにないモビリティの「Cウォーク T」を実際に試乗してみた。
まず目の前にして思うのはそのデザイン性。近未来の洗練された移動が、高い質感で表現されているのが伝わってくる。ハンドルの中央に取り付けられたモニターは非常に見やすく、人間工学に基づいてレイアウトされた操作系は説明を受けなくても使えてしまうほどシンプル。だれもがすぐに利用できる機能性がある。もちろん、電源をオンにするには認証スイッチが必要だ。
ハンドル左右にあるアクセルレバーを押すと進み、離すと減速、停止するので、自然な感覚で操作できる。ブレーキレバーも付いているので、制動を思いのままに調整することもできる。
2輪タイプモビリティは上手に操作できるようになれば楽しい乗り物だが、なかには安定性が低いものもあり転倒などの事故も報告されている。また、販売などの現場でもその説明や慣れるまでの時間を考えると、効率が悪さは否めない。しかし、前1輪で駆動する3輪タイプのモビリティ「Cウォーク T」なら、それらの心配は必要ない。コーナリングはなめらかで小まわり性能も抜群(最小回転半径0.59m)、急なハンドル操作にも安定感があり、高齢の方でも安心して走行できるはずだ。対象のーザーとしては身長185cm、体重100㎏までを想定されているが、身長184cmの筆者が乗っても違和感なく快適に走行できた。時速10kmで走行することが可能だが、スピード調整が非常に自然にできるので不安感はなかった。ちなみに、高さが150mmと低く段差のないステップを採用しているので、歩行者と横に並びながら走行して自然な目線でコミニケーションが取れるのも素晴らしい。
さて、今回は平地での試乗だったが、この「Cウォーク T」は6度の傾斜を登ることができるという。これはショッピングモールの駐車場などでの勾配のきつい坂に相当し、かなりの登坂能力。また、逆に急な降坂時には自動で減速する急斜面検知機能も採用されている。今回は試せなかったが、前方に人や障害物を感知すると、警告音とパネル表示で警告し時速2kmまで自動で減速するなど、セーフティーサポートも充実しているという。
気になる走行距離は、1回の充電で14kmが可能。交換可能な予備のリチウムバッテリーを準備しておけば、すぐに交換して走行し続けることもできるので、サービスや運行は非常にスムーズだ。付属の専用充電器(AC100V)に接続し、およそ2.5時間で充電が可能だ。
価格は標準タイプが税込みで34万1000円、センサーなどセーフティ機能がついた「セーフティサポート(Safety support)」が35万4200円となる。すでに販売されているが、トヨタレンタリースでも取り扱いが開始されている。現段階では法人ユース、スタッフ向けの製品と考えられているが、一度、Cウォーク Tの快適性とクオリティの高さを体感してしまうと、病みつきになってしまうかも。
トヨタ C⁺walk T 公式サイト
https://toyota.jp/cwalkt/
No Comments