文と写真●Believe Japan
2025/12/9(火)配信
日本最大の福祉機器展「H.C.R.(国際福祉機器展)」に今回も行ってきました! ここではデイサービスの現場で車いす利用者を快適に乗降できる日産セレナ チェアキャブ リフタータイプをレポートします。
施設送迎を支える、実用性を突き詰めたモデル

近年、住宅地などでは朝になるとデイサービス施設の送迎車が行き交い、その影響で道路が混雑する光景が当たり前になった。こうした状況において、利用者を安全かつ効率的に迎えに行くための車両に対する需要は確実に高まっている。日産セレナのチェアキャブ リフタータイプは、まさにそうしたニーズに応えてくれる1台だ。
今回の国際福祉機器展では実車が展示され、リフターのデモンストレーションが行われると多くの来場者が足を止めて注視した。スライド式で滑らかに作動するリフト、車内レイアウトの使いやすさ、そして日々の送迎業務を想定した操作のシンプルさなどが、とくに介助・介護の現場に携わる人々の関心を集めたに違いない。

福祉車両市場では、軽自動車や小型車などさまざまなモデルに車いす仕様が設定され、その主流はスロープ仕様である。だが、デイサービスなどの事業用となると、さまざまな体格の利用者や種類が多様化する車いすに対応することは容易ではない。快適さや効率性からミドルサイズのワンボックスが選ばれやすいという。一般ユーザーに人気の高いコンパクトモデルではサイズが不足し、逆にゆとりのスペースを誇るハイエースやキャラバンとなると、取りまわしの観点から大きすぎるということだろう。そこでミドルサイズのミニバンとして絶妙なサイズ感なのが日産セレナである。現在、送迎ドライバーには女性スタッフが多くなっているという背景もあり、スロープタイプのように車いすを押し上げる体力が不要で、リフトの上昇・下降はリモコン操作で行えるリフタータイプの需要は少なくない。リフトの昇降能力は170kg(電動固定装置選択時は160kg)と力強く、リクライニング式の大きめの車いす(全長1245mm、着座全高1180mmまで)や、足が曲げられず座位の角度調整が必要な利用者にも対応できる安心感がある。リフターの突出も1670mmに収められ、スロープタイプの1415mmと比べてもさほど大きくはないのも魅力だ。
初めてでもわかるシンプルな操作方法

まず、後部のフラッパーを手動で開き、ロックを確実に行う。続いて車いすをプラットフォーム中央に載せ、手動式固定装置で4点を締め、乗員には腰ベルトを装着してもらう。そして、このリフタータイプの核となるのが「全自動リフター」である。操作はリモコンで上下の昇降を行い、リフターが上がるとプラットフォームが車内へスライドし、そのまま乗車スペースに移動する。車内へ入ると肩ベルトをして準備完了だ。降車時もこの手順を逆に行えばよく、動きは滑らかでストレスがない。毎日の送迎で繰り返しても負担が少ない操作性は、忙しい送迎の現場では大きなメリットになるはずだ。

価格は、2WDのベーシックモデルが327万5000円で、4WDは350万円台から。そして、e-POWERモデルは370万円台から。福祉車両特有の8ナンバー登録により、自動車税と自動車重量税が軽減され、任意保険が若干安くなる場合もあり、長期的な運用コストは抑えられる点も見逃せない。快適性の高さ、取りまわしのしやすさ、介助者負担の少なさ。セレナのチェアキャブ リフタータイプは、利用者だけでなくドライバーや介助者の負担にも配慮した場合、送迎現場を強力にサポートする実力派モデルとして最適解といえそうだ。

















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