文と写真●Believe Japan
2021/12/1(水)配信
昨年12月より法人や自治体向けに限定で販売されている「C⁺pod(Cポッド)」は、圧倒的なコンパクトボディで注目を集めているEVだ。
予想を超えるコンパクトサイズ
全長2.49m、全幅1.29m、全高1.55mということで、プリウス1台分の駐車スペースに2台を置くことができるCポッドは、実際に目にすると数値以上にコンパクトな印象を受ける。駐車スペースが限られている場合や周辺が狭い路地に囲まれている場所などでは、とても重宝するサイズだろう。最小回転半径は3.9mで立体駐車場にも収まる。そして、ドアは大きく開き、乗り込み口やシートも低くアクセスは極めて良好だ。高齢者をはじめ幅広いドライバーにとってやさしいというのが第一印象である。
極小ながら高い機能性
造形は塊感があって非常にシンプル。また、室内は必要十分な機能がわかりやすくレイアウトされ、すっきりした空間となっている。非常にスリムなボディだが、1.1mの室内幅に大人2人が並んでゆったりと座ることができる空間が上手に作り込まれている。シートの後ろにあるラゲッジスペースも、外観から想像するより広々としていて使い勝手もよさそう。快適装備としては、エアコンや温熱シートが備わっている。
充電は200Vが約5時間で満充電(100Vが約16時間)。走行可能な距離はおよそ150kmとされるので、職場移動や日常の活動には申し分ないだろう。バッテリーに蓄えられた電力は、車内のアクセサリーコンセントを通して使用ができ、オプションの外部給電システム(ヴィークルパワーコネクター付)を設定すると、災害時などいざというときの電源(1500W)としても活用できる。
自然なフィーリングの乗り味
走り出してみると、ボディがしっかりしていることがわかった。一体感に加え、減速時やコーナリング時においても、サイズを考慮すると安心感がある。パワーステアリングではないが、走り出してしまうと重さを感じる事はなく、むしろナチュラルなハンドリングが好印象だった。乗用車との違いとして気になるのは、静寂性の高いEVということもあり、路面によってはロードノイズが大きいが、手ごたえ感があり走っていてなかなか楽しい。
高い安全性と安心感
Cポッドの大きな特徴のひとつはその安全性の高さだ。軽自動車向けの基準をもとに、万が一の事故に備えて衝突エネルギーを多くの部材へ効率よく分散吸収させる構造となっている。前面、側面、後面など、全方向からの衝突に対して高い安全性を誇り、歩行者傷害軽減ボディも採用。また、車両や歩行者および自転車運転者(昼間)を検知可能なプリクラッシュセーフティも標準装備し、低速走行時における壁などの障害物との衝突回避、または被害軽減に寄与するインテリジェントクリアランスソナーも設定するなど、小さなボディに高度な機能が凝縮されている。
現在は法人や団体向けの販売にとどまるが、2022年度中には個人向けの販売も開始されるとのこと。日本には軽自動車というミニマムサイズのなかで最大限の機能性を実現している存在があるが、このCポッドはそのライバルとなる存在ではないだろう。国土交通省では超小型モビリティを「自動車よりコンパクトで小まわりが利き、環境性能に優れ、地域の手軽な移動の足となる1人~2人乗り程度の車両」と定義しており、最高速度は時速60kmに制限され、高速道路も走行できない。そのため乗用車というよりは、やはりコンパクトなパーソナルモビリティという位置付けになる。スペース効率や環境保全の観点から、企業や団体等がこれを利用することには大いに社会意義があるだろう。一方で、個人ユースで考えてみても移動範囲が限られている人にとっては、原動機付自転車などと比べれば、安全性や快適性が高い全天候型のモビリティとなりうることがわかった。
トヨタ C⁺pod 公式サイト
https://toyota.jp/cpod/
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