2022/4/27(水)配信
4月21日、国内にある車いす、車いす移動車、バスを開発製造するメーカー12社が協力して「車椅子簡易固定標準化コンソーシアム」を設立し、ISO(国際標準化機構)に規格化を提案する「車椅子簡易固定システム」の早期市場浸透、ならびに普及を目指していくことを明らかにした。
幹事社としてスズキ株式会社(車いす移動車メーカー)、トヨタ自動車株式会社(車いす移動車メーカー)、日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社(車いす移動車メーカー)、日進医療器株式会社(車椅子メーカー)、本田技研工業株式会社(車いす移動車メーカー)、株式会社松永製作所(車椅子メーカー)の6社(50音順)が参画し、ダイハツ工業株式会社(車いす移動車メーカー)が事務局を担う。そのほか、いすゞ自動車株式会社(バスメーカー)と株式会社カワムラサイクル(車椅子メーカー)、ジェイバス株式会社(バスメーカー)、日野自動車株式会社(バスメーカー)、株式会社ミキ(車椅子メーカー)が協力し、計12社によるコンソーシアムを形成。経済産業省が推進する事業「車椅子の自動車等へのワンタッチ固定機器に関する国際標準化」と連携していく。 車いすの車両における簡易固定標準化(ISO規格化)は、もっと安心して、スムーズに車いすのまま車両に乗れることが期待される。
160を超える世界各国の標準化団体で構成される国際標準化機構によるISO規格の発行は、新規提案後、通例、最短でも2~3年かかると言われるが、日本国内の高齢者の増加は待ったなしの状況にある。とくに団塊の世代が全員後期高齢者となる2025年以降、車いす利用者の急激な増加が想定される。
この「車椅子簡易固定標準化コンソーシアム」は、22年度内のISO規格提案(予定)に連動し、車いすメーカー、車いす移動車メーカー、バスメーカーが、「規格案」に沿って極力早期の対応商品の開発、市場投入ができるよう、また利用者に新しい規格とそのメリットを知ってもらえるよう、連携活動していくためのプラットフォームとなる。
グローバル化が当たり前となっている今日。ある国で設計、製造された工業製品がほかの国でも販売、流通できるようにするため、主に技術的な障壁などを取り除く方法として重要な役割を担うのが国際規格である。本来、通商上の障壁を取り除くためのものではあるが、今日においては、消費者が安心して購入、使用できるよう安全性を担保するものとしての役割もこれまで以上に重視されている。
今回、国内メーカーが団結してコンソーシアムが組織されたことにより、福祉機器メーカーだけでなく、利用者や消費者団体、中央行政や有識者にも強いメッセージが送られ、より安全で使い勝手の優れた車いす生活の実現が近づくことを期待したい。
No Comments