文と写真●Believe Japan
2022/11/7(月)配信
「国際福祉機器展H.C.R.2022」のトヨタブースで、新たな電動車いすの提案が行われた。「JUU(ジーユーユー)」と名づけられた車いすは、これまでなかなか走行できなかった場所や状況、使用方法などをカバーして、ユーザーにさらなる快適性と安心感をもたらすコンセプトモデルだ。主に以下が特徴となる。
・安全で快適な乗り降りをアシスト
・未舗装路や荒れた道も走行
・階段や急勾配も力強くクリア
・前傾姿勢で座り仕事もサポート
この「JUU」は日本語の「自由」に由来しているネーミングで、ユーザーに移動や仕事、行動の選択の自由を提供することを目指している。大口径の大きなオフロードタイヤを装着したJUUは、17センチの段差も乗り越えられるという。階段を上るという特徴以外に、車いすとしての作りも秀逸で、小まわり性能も高く、狭い建物内での移動にも重宝する。
力強くフレキシブルな走行を支えるのは、高トルク、高精度そして耐久性を誇るデンソー製の車載モーターである。
今までにないユーザーフレンドリー
乗り込むときには、まず「乗り降りモード」に。
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背もたれが起きて座面が前傾して前に出る。
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しっかりした作りのサポートバーなどもあり、安心感を持って乗り込むことができる。
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前に進む際は「通常モード」に戻す。ほとんどの操作はワンタッチで済むシンプルなもので、だれもが最初から親しみやすい。
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操作はジョイスティックで行う。レバーを倒す方向に進んでくれる。倒す角度によって速度が調整できるので、ごく自然な感覚で移動ができる。
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背もたれがしっかりしているので、常に安定した姿勢で移動できる。
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階段を上るときには「上りモード」に変換する。すると後方にある「しっぽ」が降りてきて車いす全体を支える。
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しっぽで後ろをしっかりと支えながら上っていく。
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段差を降りる際も姿勢は安定していて安心感がある。
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姿勢も自動的に制御されるので、勾配によって後ろに倒れたり前のめりになることもない。
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降り際にも座面が前傾して前に出るので非常に楽だ。
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片付けで手を指により移動させたいときなどは、台車モードを選択するとメインの大きな車輪が上に持ち上がり、キャスターが代わりに下に降りてくる。手軽に移動させることが可能だ。
JUUのアプリによって、車いすの状態(バッテリーやモードなど)を常にモニタリングすることができる。さらにこのアプリを使って、リモートで車いすを操作することもできる。車いすを置いた場所から、自分がいる場所まで操作して来させることも可能だ。この操作もタッチパネルを使いながら、前進や回転などが自然なフィーリングで行える。さらに特筆すべきは、車いすに乗ってる人が疲れていたり自身で操作ができない状況でも、近くにいる人が代わりに移動させることができる点。姿勢なども操作でき、ユーザーと介助者双方の快適性に配慮されている。動きも非常に静かでスムーズで、例えばユーザが眠ってしまった際など、起こすことなく背もたれを倒すこともできそうだ。
現在もさらに開発が進行しているということで、市販されるのはまだ先になりそうではあるが、「これまで行ったことのない場所に行ってみたい」、「諦めていた仕事に挑戦したい」など、ユーザーに前向きなエネルギーをもたらしてくれるであろう素敵なモビリティである。
■データ
サイズ:幅660mm、全長1048mm、高さ1135mm
最高速度:時速6km
バッテリー容量:24V/15.2Ah
充電時間:5時間
走行可能斜度:10度
走行可能段差:200mm
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