文●Believe Japan 写真●コヤマドライビングスクール
2022/12/20(火)配信
師走のこの時期、川崎のCLUB CITTA′(クラブチッタ)で毎年開催されていた「D′LIVE(ドライブ)」。発売後にチケットが即完売する人気イベントとして注目される日本最大級の手話ライブは、この2年間コロナウィルス感染防止拡大のため、開催が自粛されていたが、この冬、完全復活を遂げた。3年ぶりのステージでは、出演者たちの熱い思いを込めたパフォーマンスが繰り広げられた。
自動車教習所のコヤマドライビングスクールが2004年にはじめて開催したD′LIVEは、「カッコイイ、スタイリッシュな、健聴者もろう者とともに楽しめるイベント」として従来の福祉イベントの概念を打ち破るものだった。以来大きな支持を受け、17回目を迎えた今回も会場は熱気に包まれ、健聴者も多く訪れた観衆は大いに盛り上がった。
その感染予防対策は徹底したもので、ライブ出演者やスタッフ全員が事前に抗原検査を受け、パフォーマンス中を除いてマスク着用を厳守。入場に際しては検温とアルコール消毒を行い、飲食の禁止や会話の自粛要請も行われた。運営側の尽力もあり、ステージ上で繰り広げられたパフォーマンスはエネルギーに満ちあふれ、「聴覚に障がいのある人もない人も楽しめる」ステージプログラムは2時間以上にわたって繰り広げられた。
見るものを魅了する質の高いエンターテイメント
音楽にあわせて表現される手話歌は、手話を知らない人も思わず引き込まれてしまう華麗でダイナミックなもの。流れるようなダンスに溶け込んだ手話パフォーマンスは洗練されていて、練習に費やされてきた情熱と時間はもはや想像もできない。
D’LIVEではお馴染みでファンも多いアーティスト「Nyanko」。春に急逝されたお母さんへの感謝の気持ちを込めて感動的な手話歌を披露。
「Three Pieces」手話、表情、ジェスチャーなど体全体を使ったパフォーマンスで、だれでも楽しめる音楽を届けてくれる。
大阪から来た「ザ・オイオイズ」は、”きこえる人”と”きこえない人”の間にある「心のバリア」を壊すために活動している。
4人組の「ひっぽぽ星人」は「今夜だけは嫌なこと全部忘れちゃおう!」という意気込みで底抜けに明るくリズミカルなパフォーマンスを見せてくれた。
D′LIVEのステージスクリーンには歌詞も映し出されるのだが、手話を知らなくても出演者から目を離せないほどに、彼らのパフォーマンスは洗練されていた。曲のタイミングとステージ上のパフォーマーの様子を見て的確にカウントサインを出す「カウントマン」もまた影の立役者である。
熱を帯びたイベントのフィナーレは西城秀樹さんの「YOUNG MAN(ヤングマン)」。出演者全員と観客が一体となり、会場のボルテージは最高潮に達した。
聴覚障がいを持たれる方が「観客」としてのみでなく「演者」としてステージに上がり、集まった観衆をパフォーマンスで魅了するD′LIVEは、エンターテイメントとして純粋に楽しめ、手話が伝えられる感情の豊かさを思い知らせてくれた。今後もこのイベントが続きさらなる盛り上がりを見せることを期待せずにはいられない。
「手話や障がいのある方に関わるきっかけのない若い人たちに、手話で表現する楽しさを知ってもらいたい、健聴者とろう者のコミュニケーションを広げる活動ができないか」という想いでこのイベントを開催しているコヤマドライビングスクールでは、全校合わせておよそ120名のインストラクターが手話対応を行うなど、聴覚障がいのある方のための運転教習を熱心に行っている。
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