文と写真●Believe Japan
2023/3/15(水)配信
2022年5月に登場して人気を集めている6代目ステップワゴン。その改良点の多くは、福祉車両としての使い勝手や快適性に直結するものが多く、ビリーヴカー(福祉車両)としても注目のモデルだ。今回は「車いす仕様車」をチェックして、その実力を探った!
1996年にファミリームーバーとして誕生して初代以来、ステップワゴンは家族みんながくつろげる広々とした室内空間を標榜してきた。6代目となる最新モデルでは、「国内ホンダ車史上最大の室内空間」を掲げている。
福祉車両にも生かされる新型ステップワゴンのレベルアップ
車いす仕様車は、2列目に車いす乗車するタイプ、3列目に乗車するタイプ、2列目と3列目に車いす2台で乗車するタイプの3タイプが設定されているが、このクルマは2列目に乗車するタイプ。新型ステップ ワゴンの福祉車両は全車「スパーダ」をベースにしている。先代モデルから受け継ぐ3列目の分割床下格納シート「マジックシート」とフローリングフロア、電動ウインチに加え、パワーテールゲート(メモリー機能付き)が福祉車両に全車標準装備されているが、 各部さらに改良が加えられている。
・「安心」と「自由」を表現したというスタイリングは、クルマ全体的に凝縮感、カタマリ感があり、シンプルでスタイリッシュなデザインからは、使いやすさや機能性が感じられる。
・「国内ホンダ車 史上最大の室内空間」というキャッチフレーズだが、全席で快適な居住性を誇る。
・ 搭載されている1.5L直噴VTECターボエンジンは力強く、車体は走行中の振動が抑えられ静粛性も高められている。車内での会話がより快適になっている。
・車両感覚をつかみやすい視界のほか、サイドウインドウの下端を前後水平にし、1列目より2列目、さらに3列目と着座位置を高くするなど、乗り物酔いをしづらくする工夫も施されている。最新の安全運転支援機能も標準装備される。
気軽に出かけたくなる抜群の乗降性
スロープはスロープ脇にあるロックを引っ張って展開する。 スロープにはダンパーが取り付けられていて、ロックを引いてもスロープが急に倒れていたりする事はなく、安心の設計となっている。スロープは力を必要とせずスムーズに伸ばすことができる。
画期的なのは3列目シートの収納。ショルダー部分についたベルトを上に軽く引っ張るだけで、シートは畳み込まれストンと床下に収まる。 思わずあっけにとられてしまう素早さだ。そしてシート裏とスロープのパネルを展開すれば、車いす乗車ができるフラットなフロアができあがる。一般的な福祉車両では3列目シートを窓側に跳ね上げる構造のため、車いすで乗車すると両側面の視界が遮られてしまうが、ステップワゴンでは3列目シートが床下に収納されるので、車いすで3列目に乗車しても車窓からの景色を楽しめる。また、3列目でも車いすの横に乗車することもできる。
続いてウインチをリリースするボタンを押し、車内にあるベルト(2本)を持ってきて車いすに取り付ける。 次にリモコン操作をすると自動で車いすを車内に引き込んでくれる。ウインチの対応重量は120kg、スロープの許容重量は200kgと大柄な車いすユーザと介助する方でも安心して使える設計だ。 車いすの固定もベルトでしっかりと行えて乗り込み動作は簡単だ。
フラットな床はフローリング仕上げで、落ち着いた木目柄は上質感がある。汚れにも強く清掃も簡単なことから、車いす仕様車に適している。
使い勝手については、そのほかにもさまざまな改良が施されている。バックドアの裏側にはライトもつけられ、オープン状態で真上から照らしてくれる。暗い場所での乗り降りをする際には安心感につながる。また、リモコンキーでバックドアの開閉ができる事もポイント。荷物を持って乗車しようとするときにはこの上なく便利だ。
車いすの乗車空間は極めて快適だ。先代と比べて室内幅は25mm拡大され、頭上や足元の空間も広くなっている。隣の座席とアイポイントが同じなのも嬉しい。 車いすから窓やドアの開閉もでき、エアコンや充電装置などにも容易にアクセスできる。また便利なのは車いすが乗車した状態で、3列目にもしっかりと乗車スペースが確保されている事だ。
大幅に機能性を向上させた新型ステップワゴンは、通常時はもちろん、福祉車両としての使用についても申し分ない仕上がりだ。 日常生活のさまざまなシーンで大活躍してくれるだろう。デザイン性も高められ、素直にカッコいいと感じられる。福祉車両を検討される方は、ぜひ実際に見て触れて確かめていただきたい。
●価格帯
ステップ ワゴン スパーダ 車いす仕様車:355万5000円〜383万円(消費税非課税)
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