文と写真●Believe Japan
2025/10/6(月)配信
欧州最大の福祉機器展「REHACARE(リハケア)」に、今年も行ってきました! ここではあらゆる車種に対応する老舗メーカーの運転補助装置をレポートします。
リングを押すとクルマが加速し、ドライブフィールも自然

70周年を迎えた運転補助装置メーカー KEMPF(ケンプフ)。ブースの主役は、同社を代表するデジタル・アクセラレータリング「DARIOS(ダリオス)」だった。展示されたメルセデス・ベンツ Cクラスのドアを開けると、ステアリングの内側にリングが取り付けられているのがわかる。 「足を使わなくても、こんなに自然にアクセル操作ができるんだ」。操作を試した来場者が思わず声を上げる。リングを押す力加減で加速をコントロールでき、手だけで運転しても違和感は少ない。まるで通常のアクセルを踏んでいるかのようだ。ブースの担当者は次のように説明する。「DARIOSは車両のECU(電子制御ユニット)と直接つながっています。だからレスポンスが正確で、従来の補助装置にありがちな“もたつき”がありません。ハンドルを握ったまま直感的に操作でき、純正アクセルに近いフィーリングを実現しています」。実際に車内をのぞくと、DARIOSはインテリアに違和感なく組み込まれ、まるで純正装備のよう。少し触れただけでも、その高いクオリティが伝わってくる。

片腕・片足で操作できる装置

KEMPFでは、DARIOSのほかにも身体的制約があるドライバー向けに多様な装置を提供している。そのひとつが「PICADO(ピカド)」。片腕での運転を想定したステアリングノブで、このノブからウインカーやライトなど最大16種類の車両機能を操作でき、安全で快適な運転を実現する。また(写真はないが)、右足に障害があるドライバーには「Electronic Left Foot Accelerator」が用意される。左側に新しいアクセルペダルを設置し、ブレーキはそのまま使用。スイッチで「右足アクセル/左足アクセル」を切り替えられるので、家族などが運転する場合も安心だ。

国内での可能性
日本国内でもホンダが自走車両向けに運転補助技術を提供しており、車両と一体化した安心感ある操作性を実現している。一方、KEMPFは多様な車種に対応する改造型の補助装置として、自然で違和感のない操作感を実現している点が特長だ。KEMPFはフランスにルーツを持ち、創業70年以上の歴史を誇る。とくに運転補助装置の分野では40年以上の実績を持つスペシャリストである。現在ではフランス本社に加え、ドイツやアメリカにも拠点を展開し、世界中のドライバーに「自由な移動の可能性」を届けている。現時点では左ハンドル車のみの設定だが、その自然な操作感や幅広い車種への対応力を考えると、日本市場での導入も大いに期待される。高齢化や身体に制約のあるドライバーが増えるなか、KEMPFの運転補助装置は、より多くの人々に「運転の自由」を届ける存在となるだろう。













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