ホンダの歩行訓練機器「Honda 歩行アシスト」が、このほど欧州の「医療機器指令(MDD:Medical Device Directive)」の認証を取得した。これによって、EU域内で事業展開が可能になる。
欧州では、EU(欧州連合)域内で製品を流通・販売するために、製品をEUの定めた基準(EU指令)に適合させるとともに、それを示す適合マーク「CEマーキング」を製品に表示する義務がある。
「Honda 歩行アシスト」はすでに、国際規格「ISO 13482」の認定を取得しているが、今回の欧州での認証は日本でISO認証を担当する一般財団法人日本品質保証機構(JQA)と、ドイツの「TUV NORD CERT GmbH」が連携して認証された初めての医療機器指令認証となる。「TUV(テュフ)」は、ドイツ ハノーバーに本社を置き、世界 約70カ国・地域に展開する国際的第三者認証機関で、基準の厳格さで知られる。
長年にわたる研究の成果
ホンダは遡ること1999年から、ヒューマノイドロボット「ASIMO」で培った歩行理論をもとに歩行アシストの研究を開始している。この歩行アシストは、2015年11月からは日本国内の法人向けに歩行訓練機器としてリース販売を行っている。これまでに全国およそ250の施設に導入され、歩行訓練や歩行能力の計測などに利用されているという。
「Honda 歩行アシスト」は、二足歩行理論(倒立振子モデル)に基づいた「効率的な歩行を誘導」する機能を持ち、歩行訓練で効果を発揮する機器として大きな期待と注目を集めている。
Honda歩行アシストの特徴
◎ホンダ独自開発の薄型モーターと制御システムにより小型軽量化を実現。
◎シンプルなベルト機構の採用で、より簡単に装脱着ができる。
◎サイズ調節可能なフレームの採用で、幅広い体格のひとが使用できる。
◎タブレット端末(コントローラー)で、使用者の歩行の特徴、訓練状況を確認できる。
◎リハビリ効果のある訓練モードを設定できる。
2015年7月の製品発表時のデータでは、バッテリーを含んだ重量がわずか2.7kg、リチウムイオン電池(22.2V-1Ah)により駆動して、一充電で約60分稼働するとされている。
ちなみに「リハビリ効果のある訓練モード」とは、「追従モード:装着者の歩行パターンに合わせて歩行動作を誘導」と「対称モード:装着者の歩行パターンを基に左右の脚の屈曲、伸展のタイミングが対称になるように誘導」、「ステップモード:歩行中の重心移動をスムーズに行い、踵→足裏→つま先と重心移動をスムーズに行う動作への誘導」の3つとなり、短時間で効果的なリハビリが行えるとされる。
今回の欧州での認証取得により、国外での展開が広がることはもちろん、国内での普及も加速することが期待される。
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