急な用事や荷物が増えたとき、スマートフォンに、(来てほしい)時間を入れるだけで、無人タクシーが自分のいる場所まで迎えに来てくれる。クルマ自身が、周囲のクルマや歩行者などを捕捉しながら安全に自動走行するので、移動中に家族のお世話だってできる。高速道路に走行しながら充電できる車線が設けられ、EV(電気自動車)に乗りながら、充電や航続距離を気にせずに走り続けられる。
これは、自動車メーカーが真面目に描き出した近未来のモビリティ。どのアイデアも、我々の生活をより便利で快適なものへと大きく変えてくれそうだ。
毎年1月にラスベガスで開催されるハイテク産業の見本市「CES(セス、Consumer Electronics Show)」。そこにおいて日産が発表した未来のクルマ作りの指針「ニッサン・インテリジェント・モビリティ」は、「クルマでの移動をより安全、よりスマートに、より楽しいものとする」ことをスローガンにしたもの。日産は、これからのクルマ作りを「インテリジェンス」にフォーカスして進めていくという。
ニッサン・インテリジェント・モビリティは、クルマが「エネルギーをどのように使い(インテリジェント・パワー)、どのように走り(インテリジェント・ドライビング)、そして社会とどのようにつながっていくのか(インテリジェント・インテグレーション)」を具体的に実現するものとなる。それら「未来のモビリティ」を描く動画も公開された。
すでに、関連した具体的なプロジェクトがいくつも始動していて、たとえば「無人運転車」の開発。日産では、過疎部における無人タクシーサービスの実証実験を重ねる「株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)」と共同で、2017年中に実証実験を行う予定だ。両社はまず、無人運転技術の開発を集中的に取り組み、2020年までには、首都圏や都市部にてモビリティ・サービスでの技術活用の検証を行う見通しを立てている。
また同様に、日産は「シームレス・オートノマス・モビリティ(SAM)」と呼ばれる革新的なシステムも発表している。これはNASA(アメリカ航空宇宙局)の技術をベースに日産が開発したもので、完全自動運転のクルマの市販化に大きく役立つとされている。
そのほかにも、自動運転技術「プロパイロット」を搭載したEV「日産リーフ」の新型車が、近くリリースされることも明らかにするなど、モビリティの未来化を加速させている。
日産は以前から、排出ガスを無くし(ゼロ・エミッション)、事故を無くす(ゼロ・フェイタリティ)ことを最終目標としているが、今回のニッサン・インテリジェント・モビリティが描くクルマの姿は、同時に多くのひとにとってやさしい、バリアフリー的な発想であることが見てとれた。この指標がゴールまでの明確な道しるべとなり、移動の自由がよりあまねく提供されることを期待したい。
完全自動運転だけでなく、周囲の歩行者やドライバーにも気を使ったメッセージを表示。(”After you”は、「お先にどうぞ」の意味。)
クルマは、自ら駐車スペースに移動し、ユーザーが呼び出せば速やかにやって来る。
「EVレーン」では、非接触で、走行しながら路面から充電を行うことができる。
無人配送システムが確立され、ユーザーの要望に細かく対応できるようになる。
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