文と写真⚫︎大音安弘
2024/1/7(日)配信
欧州最大の福祉機器展「REHACARE(リハケア) 2023」が、2023年9月13日~16日の期間、ドイツ・デュセルドルフで開催された。今年の出展社は700社を超え、来場者の総勢が3万人となる盛況ぶり。その会場で出会った福祉車両やモビリティを紹介したい。
日本でも自動車運転免許返納後の高齢者の移動手段として注目が集まるのが、シニアカーと呼ばれる電動カートだ。近年、日本メーカーである「WHILL」のように、機能だけなく、デザイン性も重視したモデルも登場するようになってきた。ただ電動カートに遊び心が足りていないのも正直なところだ。そんな魅力を高めた電動カートに、会場で出会うことができた。
それがスイスのRehabilitations-Systeme AGが開発製造する電動カート「ギャツビー」と「チャンピオン」だ。いずれもクラシックカー風のデザインを纏ったレトロなモデルである。
ギャツビーは同シリーズ初のモデル。そのデザインモチーフは、なんとフォードモデルTで、立派なフロントグリルやヘッドライト、バンパーなどが備わっている。最大速度は15km/hで、航続距離は最大50kmを実現。ボディサイズは、全長1550mmと全幅665mmだ。乗員は1名にかぎられるが、体重200kgまで対応可能に。小さなクルマと呼べる本格的な作りもあり、車両重量は150kg(電池を含む)にもおよぶ。ボディカラーも選択可能で、写真のブラック、レッド、ブリティッシュレーシンググリーンの3色。さらに特注で、ピンクのオーダーも可能。価格は税込で4450ユーロ。日本円だと70万円ほどだ。
チャンピオンは、第2弾のモデル。デザインは同じくアメ車がモチーフだが、こちらは1950年代のピックアップトラックだ。そのため、荷物が積載可能な荷台も装備する。第2弾となるだけに、性能面も強化。バッテリー容量の拡大で、航続距離を最大60kmまで延長。さらにモーター出力も強化され、最大使用者体重を220kgとしたうえで、荷台に最大30kgまでの積載を可能に。さらに快適機能として、シートヒーターまで加わっている。また便利なキーレススタートシステム、パートナーや家族が現在位置を確認できるスマホアプリによるGPS追跡機能といった安全かつ便利な機能もある。ボディサイズは、全長1990mm×全幅740mmと立派に。ボディカラーは、クラシックブルー(青)とロッソコルサ(赤)の2色を設定。価格は、5950ユーロ。日本円だと約94万円と値が張るが、荷物を積めることもあり、より使い勝手もよさそうだ。
同社では、オーソドックなデザインの1人乗り電動カートや、かつてのミニカーを彷彿させる1人乗りのキャビン付き4輪スクーター。そして、折り畳み可能な電動カートも手掛けている。
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