文と写真⚫︎大音安弘 2024/1/11(木)配信 欧州最大の福祉機器展「REHACARE(リハケア) 2023」が、2023年9月13日~16日の期間、ドイツ・デュセルドルフで開催された。今年の出展社は700社を超え、来場者の総勢が3万人となる盛況ぶり。その会場で出会った福祉車両やモビリティを紹介したい。 ドイツ・ヴァンセルベルクに本社を置く「Automobile Sodermanns」は、1996年に創業した身障者向けの車両改造に特化した企業で、あらゆる身体的疾患を持つ同乗者にも最適となるモビリティを提供している。改造の対象となるのは、乗用車にもちろん商用車や作業用機械などのビジネスニーズに加え、オートバイやキャンピングカーといった趣味性の高いものまで対応している。同社のスタッフは、医学的および技術的な訓練を受けているため、個々の車両の改造が、どのような要件を満たす必要があるかを正確に理解することができるという。 展示車のFIAT500Xは、身障者ドライバー向けの仕様のもの。運転席には、いずれもドイツVEIGEL社のハンドコントロール「eクラシック」とマルチファンクションノブ「マイコマンド」が装着されている。 eクラシックは、電子制御式のハンドコントロールで、ハンドルをひねることでアクセルを、ハンドルをプッシュすることでブレーキを操作する仕組み。人間工学に基づいた設計で、ハンドル角度の調整も可能だ。ステアリングに装備された「マイコマンド」は、ステアリングのグリップ操作に加え、ウインカーやライト、ワイパーの操作など最大14個の機能を手元のボタンで操作できるため、ステアリングから手を放さずに運転操作を行える。 ドライバーが車いすをスムーズかつ簡単に収納できるように、収納機能は運転席側の後席部に設置されている。この車いす積載システムは、ドイツTECHNIK RAUSCH社の「Ladeboy S2」で、市場でもっとも実績のあるシステムのひとつとのこと。運転席側の後部ドアを電動スライド式ドアに改造し、リモコンまたはスイッチを使用したワンプッシュ操作で、スライドドアを含む積み込み作業を行ってくれる。対応する車いすの重量は、最大38kgまで。車種にもよるが、基本的には後席1座分のスペースがあれば、搭載可能であり、ラゲッジスペースもしっかりと活用できるのも強みとなっている。 同社ではMINIのようなコンパクトカーからメルセデス・ベンツGクラスとった大型SUVまで幅広い車種に対応。すでにEVでの実績もある。そのなかにポルシェ911やBMWアルピナといった趣味性の高い車種が含まれるのは、さすが自動車大国ドイツを感じさせるところ。また同社ではメンテンナンスはもちろんのこと。身障者向けの運転免許の取得のサポートなどのサービスも提供している。 ...
On 2024年1月11日 / By wpmaster文と写真⚫︎大音安弘 2024/1/9(火)配信 欧州最大の福祉機器展「REHACARE(リハケア) 2023」が、2023年9月13日~16日の期間、ドイツ・デュセルドルフで開催された。今年の出展社は700社を超え、来場者の総勢が3万人となる盛況ぶり。その会場で出会った福祉車両やモビリティを紹介したい。 日本の車いす利用者の多くは、手動車いすを愛用している。もし簡単に電動化できれば、手動式と電動式の両方のメリットが得られ、行動範囲を広げることができる。それを実現させるのが、車いす用電動アタッチメント(電動牽引装置)だ。 イタリアのTRIRIDE社は、車いす用電動アタッチメントに特化したメーカーで、多彩なラインアップを誇る。その電動牽引装置の基本構造は、舵取りが可能な電動駆動式1輪車だ。手動車いすの前方に装着することで、車いす側の前輪がリフトアップし、電動3輪スクーターへと変身させることができるのだ。 用途に合わせた幅広いラインアップを誇り、タイヤサイズだけを見ても、10インチから20インチまでの仕様を用意。そこには子供用のものも含まれる。 同社の電動牽引装置のエントリーモデル「LIGHT」は、最大トルク40Nmを発揮する電気モーターを搭載し、平坦な道なら最大50kmの航続距離を備える。軽さも持ち味で、重量は8.5kgに留められていて運搬性にも優れる。道路状況や用途に合わせて、タイヤサイズを12インチと14インチから選択可能。タイヤの種類も、走行路面に合わせて、シティとクロスが選べる(交換も可能)。そう、TRIRIDEは自転車で走れる未舗装路での走行も可能な性能も有しているのだ。また独立したブレーキシステムなどの独自開発の機能を盛り込むことで、安全性の高い製品に仕上げている。 上記以外にも、LIGHTと同等性能で軽量化を図った10インチタイヤ仕様の「LIGHT 10」、子供向けの「Kids」、50Nmまでパワーアップを図った「SPECIAL LIGHT」、75Nmまで性能を上げた高性能仕様「SPECIAL COMPACT HT」、16インチの大径タイヤによる高い走破性で長距離移動に挑む「SPECIAL HP16」、スポーツ仕様の「Mad Max」、クロスタイヤを装着したオフロード愛好家向けの「T-Rocks」など個性豊かなモデルを展開する。また飛行機での移動を行う人向けに折り畳み機構を備えた「FOLDABLE」は、旅好きなユーザーや忙しいビジネスマンのニーズにも応えてくれる。 TRIRIDEのユニークな製品が、ハンドバイク仕様も用意していること。このハンドバイクとは、足ではなく、手で漕ぐタイプのものだ。こちらも電動牽引装置と同様に、自身の車いすに取り付けて使用することができる。タイヤは、16インチと20インチの2つの仕様を用意。タイヤはチェーン駆動となり、スポーツサイクルのように8段もしくは11段のギアが備わっている。ハンドルもスポーツタイプとなり、もちろんブレーキも装備。これによりエクササイズやツーリングといった楽しみ方も可能だ。さらにTRIRIDEでは、ハイブリッドモデルも設定。そう、手動と電動の切り替えができるモデルが用意されているのだ。機能追加のため、7.5kg~9.5kgのマニュアルモデルよりも重量は増加し12.5kgとなるが、電動アシストモードならば最大100kmまで航続距離を伸ばすことができる。これならツーリングを趣味とした長距離移動も問題なくこなせる。 同社では、車いすに簡単に装着できる後輪用電動駆動システムも用意。愛用の車いすの電動化に加え、TRIRIDEの電動牽引装置やライドバイクとの組み合わせることで、走行性能を高めることができるのもユニーク。これらのシステムを使えば、いつも愛用している車いすが別物に生まれ変わったような体験ができるといっても過言ではないのだ。 ...
On 2024年1月9日 / By wpmaster文と写真⚫︎大音安弘 2024/1/7(日)配信 欧州最大の福祉機器展「REHACARE(リハケア) 2023」が、2023年9月13日~16日の期間、ドイツ・デュセルドルフで開催された。今年の出展社は700社を超え、来場者の総勢が3万人となる盛況ぶり。その会場で出会った福祉車両やモビリティを紹介したい。 日本でも自動車運転免許返納後の高齢者の移動手段として注目が集まるのが、シニアカーと呼ばれる電動カートだ。近年、日本メーカーである「WHILL」のように、機能だけなく、デザイン性も重視したモデルも登場するようになってきた。ただ電動カートに遊び心が足りていないのも正直なところだ。そんな魅力を高めた電動カートに、会場で出会うことができた。 それがスイスのRehabilitations-Systeme AGが開発製造する電動カート「ギャツビー」と「チャンピオン」だ。いずれもクラシックカー風のデザインを纏ったレトロなモデルである。 ギャツビーは同シリーズ初のモデル。そのデザインモチーフは、なんとフォードモデルTで、立派なフロントグリルやヘッドライト、バンパーなどが備わっている。最大速度は15km/hで、航続距離は最大50kmを実現。ボディサイズは、全長1550mmと全幅665mmだ。乗員は1名にかぎられるが、体重200kgまで対応可能に。小さなクルマと呼べる本格的な作りもあり、車両重量は150kg(電池を含む)にもおよぶ。ボディカラーも選択可能で、写真のブラック、レッド、ブリティッシュレーシンググリーンの3色。さらに特注で、ピンクのオーダーも可能。価格は税込で4450ユーロ。日本円だと70万円ほどだ。 チャンピオンは、第2弾のモデル。デザインは同じくアメ車がモチーフだが、こちらは1950年代のピックアップトラックだ。そのため、荷物が積載可能な荷台も装備する。第2弾となるだけに、性能面も強化。バッテリー容量の拡大で、航続距離を最大60kmまで延長。さらにモーター出力も強化され、最大使用者体重を220kgとしたうえで、荷台に最大30kgまでの積載を可能に。さらに快適機能として、シートヒーターまで加わっている。また便利なキーレススタートシステム、パートナーや家族が現在位置を確認できるスマホアプリによるGPS追跡機能といった安全かつ便利な機能もある。ボディサイズは、全長1990mm×全幅740mmと立派に。ボディカラーは、クラシックブルー(青)とロッソコルサ(赤)の2色を設定。価格は、5950ユーロ。日本円だと約94万円と値が張るが、荷物を積めることもあり、より使い勝手もよさそうだ。 同社では、オーソドックなデザインの1人乗り電動カートや、かつてのミニカーを彷彿させる1人乗りのキャビン付き4輪スクーター。そして、折り畳み可能な電動カートも手掛けている。 ...
On 2024年1月7日 / By wpmaster文と写真⚫︎大音安弘 2024/1/5(金)配信 欧州最大の福祉機器展「REHACARE(リハケア) 2023」が、2023年9月13日~16日の期間、ドイツ・デュセルドルフで開催された。今年の出展社は700社を超え、来場者の総勢が3万人となる盛況ぶり。その会場で出会った福祉車両やモビリティを紹介したい。 身障者ドライバーにとって、車いすの収納は重要だ。日本では、車いすを自身で持ち上げ助手席側に積み込む方を多く見受けるが、体力やコツが求められる。やはり安全かつ快適なのは、車いすの自動収納装置だ。いくつかタイプがあるが、運転席側後席に積載するタイプは、後席ドアの改造も必要。ルーフに設置した車いす自動収納装置では、キャビンやラゲッジスペースを有効活用できる反面、高さ制限がある道路や建造物ではデメリットに繋がることも……。それらの課題を解決する第3の選択として提案されたのが、ラゲッジスペースに収める車いす収納装置だ。 イスラエルのTMN社が開発製造する「R11ロボット」は、トランクやリヤラゲッジスペースに装着した格納装置が伸縮するアームによって運転席まで運ばれるシステム。格納時と取り出し時も操作は、ボタンひとつで完了。格納時と拡張時もいずれも作動時間は、約40秒とスピーディだ。 デモカーは、チェコの自動車メーカー「シュコダ」のCセグメントステーションワゴン「オクタヴィア コンビ」で、日本で販売される車両でたとえれば、VWゴルフクラスとなる。 デモンストレーションで驚かされたのは、そのスマートな動き。ラゲッジスペースに、横向きに収納した車いすを、運転席にまわり込ませたうえ、正しい向きに直して運転席脇まで運んでくれる。しかもアームの動きも滑らか。まさにロボットの名がふさわしいクレバーな動きを見せてくれた。 作動に必要なスペースは、周囲1mほど。後部はテールゲートおよびトランクの開口に必要なスペースと、横にフロントドアを全開にできるスペースがあればいい。車いすの重量は最大22kgまで対応可能だが、最大重量を30kgまで強化することもできる。そして、機能ではないが、装着車の外観上の変化はなくラゲッジスペースも活用できるため、家族との共用もしやすい。また愛車の乗り換えの際には、別車種への載せ替えにも対応しており、長く利用することができる。 対応車種は、トヨタカローラやVWジェッタなどのコンパクトセダンを始めとしたセダン形状のクルマから、SUVやミニバンなどまでと幅広い。ただし、SUVなど乗車位置が高いモデルでは、回転昇降機能付きシートなどの乗車補助装置と兼用すると、より使い勝手がいいようだ。日本の駐車場事情は狭いことがネックだが、車いす利用者の乗降には、基本的にはドアを大きく開けるため、問題なく利用はできそうだ。 ...
On 2024年1月5日 / By wpmaster文と写真⚫︎大音安弘 2023/12/30(土)配信 欧州最大の福祉機器展「REHACARE(リハケア) 2023」が、2023年9月13日~16日の期間、ドイツ・デュセルドルフで開催された。今年の出展社は700社を超え、来場者の総勢が3万人となる盛況ぶり。その会場で出会った福祉車両やモビリティを紹介したい。 小型スーツケースが、あっという間に電動車いすに変身してしまうというユニークさに驚かされたのが、イスラエルのメーカー「movinglife(ムービングライフ)」社の「ATTO(アトー)」だ。 展示品の「ATTO SPORT」は、「ATTO」の上級モデル。一見、タイヤの大きい小型スーツケースといった印象であり、デザインもお洒落。その存在を知らなければ、きっと電動車いすとは気づかない人がいても不思議ではない。ハンドルも折り畳み可能で、収納時もスペースを取らない。総重量は30kgだが、クルマなどで本体を運ぶ際は、前輪付きのステアリング部(12.5kg)と本体(17.5kg)を分割可能。高さを抑えるだけでなく、持ち上げも容易となる。またハンドル部を傾けて固定できるトロリーモードでは、まさにスーツケース感覚で転がして運べる。さらにスーツケースモードから車いすモードへの展開も、いすとハンドルを引き出すだけと容易。その稼働もスムーズだ。 電動車いすモードでの性能は、最高速度10km/h(※海外仕様の場合)。標準バッテリーで最大20kmの航続距離を確保し、オプションの大型バッテリーを装着すれば、最大40kmまで延長可能。充電時間は、標準バッテリーで4時間~5時間という。モーターは前輪に内蔵されており、ハンドルにあるアクセルレバーで速度調整を行い、ブレーキも装備している。快適なドライビングポジションが得られるように、座面の高さは3段階あり、ハンドルの高さと角度も調整できる。街中の走行で重要となる最低地上高は、12cmを確保している。最大乗員重量は120kgだが、最大136kgまで対応する「ATTO SPORT MAX」もラインアップする。 装備も豪華で、前方を照らす「LEDヘッドライト」、段差の衝撃を吸収する「エアレスタイヤ」、後方に存在を知らせる「LEDテールランプ」、スマホなどが充電可能な「USBポート」などが備わる。走行面では、速度固定が可能な「クルーズコントロール」に加え、ブレーキシステムは、「ディスクブレーキ」を採用。前進と後退が可能で、後退時は警告音を発する。さらにアクセルレバー連動の「自動ブレーキシステム」や急こう配や急旋回時の「自働減速機能」など安全装備も充実している。 オプションアイテムも豊富で、より快適なシートクッション、乗員をサポートするベルト、より大型なバックレスト、シート下を小物入れとするバック、スマートフォンホルダーなどがある。座面に回転機能を設けて条項をサポートするシートアタッチメントまであり、より多くの人が快適に使えるように配慮されている。 同社の創業者は、自身もポリオ患者でありながら、ビジネスマンとしてアクティブに活動をする人物。ストレスなく、どこでも自由に移動できる製品がなかったことから、自身で必要なモビリティを生み出した。このため、クルマのトランクや飛行機の上部収納部にも簡単に収納できるなどの便利な機能が盛り込まれている。販売については、各国にある正規販売店に加え、世界中にオンライン販売も行っているとのことだ。 だれでも受け入れやすいデザインと、スパイの秘密兵器のようなワクワク感もある「ATTO」は、移動に課題を抱えていた多くの人をアクティブにさせる次世代モビリティのひとつといえそうだ。 ...
On 2023年12月30日 / By wpmaster文と写真⚫︎大音安弘 2023/12/29(金)配信 欧州最大の福祉機器展「REHACARE(リハケア) 2023」が、2023年9月13日~16日の期間、ドイツ・デュセルドルフで開催された。今年の出展社は700社を超え、来場者の総勢が3万人となる盛況ぶり。その会場で出会った福祉車両やモビリティを紹介したい。 車いす利用者との日常生活や、旅先でのシームレスな移動を実現させるエコなモビリティがドイツのスタートアップ企業「enlitec」の「roll e-bike(ロールイーバイク)」だ。 「roll e-bike」は、簡単にいえば車いす用の自転車で、車いす利用者と同行者(介助者)がいっしょに移動できるだけでなく、移動の自由度を高めるものだ。自転車部は電動式となっており、最高速度25km/h。後輪と荷台の間にセットされるリチウムイオンバッテリーの航続距離は最大50kmと、少し遠くへのサイクリングにも出かけられる性能を持つ。モーターの最大トルクは80Nmと力強く、8段ギアを組み合わせる。ブレーキも前輪ドラム式、後輪コースター式を備える。前輪は車いすのタイヤと兼用となるが、サイズも自転車同等をキープしている。海外のため、フル電動機能も備えており、6~7km/hに速度を固定させて走ることもできるという。 最大のポイントは、車両を簡単に分解できること。本体は車いす部、車いすのフットレスト、前輪×2、ハンドル、接続用プレート、電動自転車部の7分割が可能。車いすだけでなく、自転車もフレームが折り畳み式となっているため、自動車のトランクにも収めることができる。組み立ても分解も工具は一切不要な構造で、慣れれば2分程度で完了するシンプルさだ。組み上げた際に、車いす部の前輪がリフトする構造となっており、車いすの後輪が操舵輪となる仕組みだ。自転車モードは、組み上げた状態のみ利用できるが、アルミニウム製の軽量な車いすは、単独利用も可能。だから、車いす利用者が出先で単独行動することもできる。 自転車の運転は、通常の自転車と同様。さらに電動アシストだから、アップダウンのある郊外路でも快適に移動できる。ほかにも同様の製品も見られるが、一体感あるデザイン性のよさや、車いすだけで利用可能としているのが特徴といえる。担当者に想定ユーザーを尋ねると、家族などの利用だけでなく、カップルにも気軽にサイクリングを楽しんでもらえればと話す。まさにハンディキャップのある人の生活を豊かにする願いが込められているのだ。 車両の種類は、車いすのサイズ別に子供用、標準用、ワイド用の3つを用意。最高車速の設定はナンバーの取得を不要とするため、25km/h以下(※ドイツ国内法規への適合のため)としているという。もちろん、車いす部には、安全ベルトも装備されている。 製品の特徴について担当者は、「電動アシスト付きの車いす用自転車では、これほどコンパクトに分割できるものはほかにはない。そして、圧倒的に低価格だ」と説明する。現在、2024年1月~3月の欧州地区での発売を予定しており、価格は5000ユーロだという。ドイツ在住者の情報では、前方に大きな荷物入れ付きの3輪電動アシスト自転車でも5000~7000ユーロするというから、かなり破格といってもよさそうだ。低価格の秘密は至ってシンプル。薄利多売がねらいなのだ。同社は2022年夏に起業したばかりで、「roll e-bike」が初の商品化だという。すででさまざまなアイデアが動いているが、市販化が決定しているのは、現時点では同製品だけというから、驚きの戦略的価格も納得だ。 公式サイトhttps://enlitec.de/ ...
On 2023年12月29日 / By wpmaster文と写真⚫︎大音安弘 2023/12/28(木)配信 欧州最大の福祉機器展「REHACARE(リハケア) 2023」が、2023年9月13日~16日の期間、ドイツ・デュセルドルフで開催された。今年の出展社は700社を超え、来場者の総勢が3万人となる盛況ぶり。その会場で出会った福祉車両やモビリティを紹介したい。 デンマークのDAHL ENGINEERING社は、自動車向けのシートおよび関連する安全装置の開発や製造を行っているメーカーだ。2005年にデンマーク唯一の動的試験の施設を建設するなど、社内で徹底した安全試験を行える環境作りを行い、開発から製造まで取り組んでいる。実際に多くの車いすと固定装置を用いた衝突試験を行い、車いすの安全性能を含めた検証をしている。 リハケア2023では、さまざまな車いすに対応する固定装置「DAHLドッキングシステム」を展示した。同システムは、車両側に装着したドッキングステーション(固定装置)と車いす側に取り付けたロックプレートを挿入することで、自動的にロックされる仕組み。降車時は、コントローラーのボタン操作で、ロックを解除することができる。 汎用性の高さの秘密は、ドッキングステーション自体が高さ調整できること。これにより車いすの形状で変化するロックプレートの取り付け位置に対応できるのだ。高さ調整も電動式となっており、リモコンにより1mm単位で調整が可能なため、ロックプレートを装着した異なる高さの車いすにも、瞬時に対応させることもできる。またこのシステムならば、ロックプレート対応のシートベースを装着した標準シートを用意すれば、電動車いすドライバー向けの運転装置が装備されたクルマでも、運転席側に標準シートを取り付けることで、健常者も運転できるようにできる。さらにドッキングシステム対応のシートやシートベルトシステムなどの専用アイテムの提供も充実しており、すべての座席をユーザーがそのときどきのニーズに合わせて変更できるのは大きな魅力といえる。 同社のドッキングシステムをテストした車両と取付キットの情報も公表し、ユーザーに提供。だれでも安全性と最適な仕様を知ることができることも、大きな信頼に繋がっている。 担当者は、「現在は日本には未進出だが、車いすユーザーの簡単な固定やシートレイアウトの自由度が増すドッキングシステムのニーズはあると思う。取付に必要なデータなど提供できる情報は積極的に開示している。ぜひ関心があれば問い合わせを願いたい」とのことだった。 既存の自動車のキャビンレイアウトに自由度をもたらす「DAHLドッキングステーション」。メーカー側の安全第一の取り組みや充実した情報提供は、今後の高齢者社会において、人手不足となる介護業界の移動手段の改善にも繋がりそうだ。 ...
On 2023年12月28日 / By wpmaster文●Believe Japan 写真●Believe Japan、ホンダ 今回のREHACARE(リハケア)2018では日本の「ホンダ」が初出展した。そのブースを訪れてみると、同社が開発する歩行訓練機器「Honda 歩行アシスト」が展示され、来場者による体験歩行が行なわれていた。すでに国内の福祉機器展ではおなじみの光景だが、この会場でも大きな注目を集めていた。 ホンダの歩行アシストは、歩行者の「股関節の動き」を左右のモーターに内蔵された角度センサーで検知し、制御コンピューターがモーターを駆動するもの。二足歩行理論である「倒立振子モデル」に基づいて、股関節を曲げる下肢の「振り出し」と伸ばす「蹴り出し」の誘導を行う。素早く装着でき、手軽に自然な歩行をアシストしながら、反復仕様でリハビリ効果が認められるという画期的なアイテムだ。歩行アシストを実際に体験した来場者は皆やや興奮気味に、「自然に足を誘導してくれ、とてもラクに歩ける」、「バランスのとれた歩行で安心感がある」などと好感を語っていた。 すでに日本国内およそ250の施設に導入され、歩行訓練や歩行能力の計測などに利用されている歩行アシストだが、先ごろ欧州の「医療機器指令(MDD:Medical Device Directive)」の認証を取得したことによって、EU域内での事業展開も可能となっている。 リチウムイオン電池(22.2V-1Ah)の駆動により、一充電で約60分間稼働する。アシストは自然で、あくまで「自分で歩いている」感覚を持ちながら、歩行できる。 作動の滑らかさ、静粛性からクオリティの高さが感じられる。 独自開発の薄型モーターと制御システムによって小型軽量化を実現。バッテリーを含めて3kgを切る歩行アシストは、装着した感じも違和感がなく快適だ。 本田技研工業のパワープロダクツ事業本部で歩行アシストを担当する芝田 誠氏は、「ホンダはヒューマノイドロボット「ASIMO(アシモ)」の開発で培われた歩行理論をベースに、20年近く歩行アシストの研究を続けています」と語り、蓄積されたノウハウに自信を見せる。 医療施設での使用を想定して開発された歩行アシストは、サイズ調節が可能なフレームを採用し、幅広い体格のユーザーにも対応している。また、シンプルなベルト機構を採用することで簡単に装脱着も可能とし、短時間で複数のユーザーが使用できるようになっている。 歩行時の速度や左右対称性、可動範囲などを計測し、 タブレット端末(コントローラー)ですぐに確認でき、さらに使用者ごとに計測履歴の参照や比較をパソコンで集計できる。得られた歩行パターンデータに合わせて、歩行動作を誘導する「追従モード」と左右の屈曲・伸展のタイミングが対称になるように誘導する「対称モード」、さらに連続歩行ではなく、下肢の振り出しや蹴り出し、重心移動の反復練習をサポートする「ステップモード」といった、「リハビリ効果」の期待できる3つの訓練モードを選択できる。 より多くの人に「移動する喜び」を提案するため、ホンダは長年「二足歩行ロボット」の研究を行なってきた。アシモにまでつながる独自の歩行理論をもとに、1999年には研究をスタートさせ、この歩行アシストに漕ぎ着けた。実際に使われている歩行アシストからデータがフィードバックされ、今後さらなる改良が期待される「Honda 歩行アシスト」。ヨーロッパでの展開にも大いに注目したい。... ...
On 2019年1月9日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 軽量化による操作性の向上や電動化による車いすの進歩は目覚ましく、ユーザーの活動範囲は、今日急速に拡大している。介助者が手押しするタイプの車いすでも、斬新なアイデアによる製品が登場して使い勝手が大幅に改善されている。ここでは、その中から車いすを自在に脱着できる電動アシスト自転車「Van Raam(ヴァン・ラーム)のOPair Wheelchair bike(オーペア ホイールチェアバイク)」を紹介する。 自身で車いすを動かすことが難しい方は、介助者が押すタイプの車いすを使うことが多い。その場合、建物内や近くでの移動は問題ないが、距離が長くなると介助者の負担は増大する。そのため、外出を躊躇してしまうこともあるだろう。しかし、このホイールチェアバイクならば、自転車のフロント部分に車いすユーザーが乗車し、目的地に着いたら、それをそのまま取り外して車いすとして使用できる。自転車は電動アシストなので、自転車を漕ぐ介助者の負担も軽く、遠出も苦にならない。 脱着の手順はレバーを引くだけのシンプルなもので、操作には力も必要なく気軽に扱うことができる。また、自転車のハンドルは、取り外された車いすのハンドルも兼ねるなど、無駄なく設計されている点にも注目したい。介助者は走行中、フロント部分(車いす)に座る方の様子を常に確認できると同時に、着座位置が高く保たれるため、前方視界も良好だ。車両重量は58kgで、車いすユーザー、介助者の許容体重はそれぞれ120kgとなっている。 車いすユーザー、介助者双方の気持ちを前向きにしてくれる個性的なモビリティだ。 車いすを脱着できる電動アシスト自転車は、コンパクトで取りまわしが簡単なうえ、3輪で安定感がある。フロントの車いす部分は後方に若干傾斜してジョイントされる。車いすの小さな前輪が路面から離れ、自転車走行を妨げないようになっている。 レバーで簡単にフロント部分を取り外すことができる。 脱着時にはリヤ部分が倒れないように、備え付けのスタンドを立てておく。 自転車のハンドルは、右側のスイッチ部分を取り替えるだけで、車いすのハンドルとして使われる。 フロントの車いす部分は、シートとサイドレストが細かく調節でき、フットレストも折り畳み式なので、子供から大人まで快適に使用することができる。 ジョイント部分にはセーフティロックも付いているので安全性が高い。 リチウムイオンのバッテリーは36V、12Ahタイプ。 電気によるアシストレベルは3段階でギヤは8段。道の状況や自分に合った走りが可能だ。バックギヤも備え、狭い場所での方向転換も容易にこなす。 オランダのファルセフェルトに本拠を置く「Van Raam」では、このホイールチェアバイクを直販せず、代理店ネットワークでの販売とサービスの対応を行なっている。価格は3500ユーロから4000ユーロだが、同社では製品のポテンシャルに大きな自信を持ち、「ひとりでも多くの人に試乗してもらいたい」としている。... ...
On 2018年12月31日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan ヨーロッパでは、車いすを後部座席に載せて自ら運転するタイプの福祉車両が多い。この車いす格納システム「Petri+Lehr Ladeboy S2(レイドボウイ S2)」もそのひとつ。運転席後ろのドアがスライドして開き、車内からアームが伸びて車いすを積み込む。ただ眺めているとなんの変哲もない仕組みで、思わずブースの前を素通りしてしまいそうになるのだが、よく見ると2つの非凡なことに気がつく。ひとつは、「車いすを搭載するスピードの速さ」、そしてもうひとつは「車いすを折り畳まないで搭載できる」ということである。 レイドボウイ S2は、車いすを折り畳むことなく車内に格納することができる珍しいタイプだ。その時間はわずか10秒。下ろす場合も同じ速さで、畳まれた車いすを展開するという手間もなく、そのまま座れるので非常にスムーズだ。実際の動きを見ると、10秒よりももっと短い時間に感じるほどスピーディ。日々の乗り降りにかかるストレスが大幅に軽減されるはずだ。 格納可能な車いすの重量は50kgまでで、折り畳み機能がない車いす、電動車いすにも対応する。また、人間工学に基づいたレイアウト、簡単なリモコン操作で、車いすユーザーが不安なく、そして素早くクルマの乗り降りを行えるように考えられている。 折り畳み機能がない車いすでも、専用のアタッチメントによって、自動的にアームに固定される。 車いすを宙に素早く持ち上げるアーム。剛性感のあるしっかりとした動きからクオリティの高さが伝わる。 車いすの角度を変えて、後ろに倒した状態にする。 後ろに90度倒された状態で、車いすはスライドしながら車内に引き込まれていく。 車いすがスッポリと車内に収まると同時にスライドドアが閉じる。 スムーズな格納を支えるレール部分。精度が高く、静かにスライドする。 折り畳まずに車いすを格納するのだが、コンパクトなメカのため、右横に一人乗車することができる。4ドアタイプのほぼすべての車両に取り付けることが可能だという。 1902年、フランクフルト近郊のディーツェンバッハに設立された「Petri+Lehr(ペトリ・レール)」は、「EDAG(エダック)」や「Rausch Technik(ラウシュ・テクニック)」といった福祉機器大手の提携企業として、車いす格納システムだけでなくさまざまな運転補助機器・システムを開発している。 Petri+Lehr(ペトリ・レール)は最大140kgの車いすを持ち上げ、格納することができる「Carolift(カロリフト)」も展示していた。 提携企業のRausch... ...
On 2018年12月25日 / By wpmaster© 2016-2020 Believe Japan, Inc. All rights reserved.