モータージャーナリスト熊倉重春が「できる!」を視点に、各メーカーの福祉車両の機能や使い勝手を徹底的に探るシリーズ。 記念すべき第一弾は、「最新の福祉車両を体験する」です。車いす仕様のトヨタ ノアのインプレッションをお届けします。 特別ゲストとして、トヨタ自動車で福祉車両の開発責任者をされている中川 茂さんにご登場いただき、 ・「福祉車両を考慮して車両設計を行う」という画期的な開発 ・スムーズに行える車いすの乗り降り ・車いす乗車のひとの、ほかの同乗者と同じ自然な目線 など、ノアをはじめとするトヨタの福祉車両「ウェルキャブ」やオリジナルの車いす「ウェルチェア」についてご説明、思い入を語っていただきます。 English subtitled movie (英語字幕付き動画) ...
On 2016年12月18日 / By wpmasterBelieverとは? 福祉分野を中心に活動する「明日を信じて今日を前向きに生きる」ひとたち「Believer」を紹介するコーナー。 文●Believe Japan 福祉車両のための車いす 「これはウェルキャブ専用に開発した車いす、ウェルチェアです」。 次に中川 氏が説明してくれたのは、トヨタが自動車乗車専用に開発した車いす、ウェルチェア。 一般的に車いすに乗ったまま福祉車両に乗車すると、次のような点に悩まされることがある。 目線が上がってしまい、外が見えづらくなる。車内から近くの景色しか見られなくなる。同乗者とのコミュニケーションも取りづらい。 座面が地面と水平なため、ブレーキがかかると前にずれて出てしまう。それを筋力で抑えるため、体に負担がかかる。 左右のサポートが弱いため、左右の揺れに弱い。 衝突時の強度に対する不安がある。 もともと車いすは、自動車に載せてその上に乗客が座って移動することを想定して作られていない。だからクルマに乗せればこのような問題が起こっても当然といえば当然のこと。でも、それならば一から自動車メーカーが作ってしまえというのがウェルチェアの考え方だ。 まず、車いすに座り駐車ブレーキをかけた状態で、介助する人が背部にあるチルトレバーを押し下げる。するとお尻の部分がぐっと下がり、リクライニングさせた状態になる。通常の背面だけのリクライニングと違うのは、膝部分はそのまま残るので、腰とお尻だけが下がった状態になることだ。結果、体重が背中と腰に分散される。チルトダウンされるのは、約10cm。シート全体は約15度傾く。 10cm頭上スペースに余裕ができるので、車いすに乗ったままの状態でのクルマへの乗降が楽になる。シートベルトの装着も考えられた作りになっているので、横からスポークやフレームを通してシートベルトを取り回す必要がなく、装着が短時間でできる。スポークの間にシートベルトを通すのは、急いでいるときには案外苦労するものだ。シートベルトのねじれ等も生じないため、しっかりとしたシートベルトの固定が可能。 こちらの動画にも紹介されているように、このチルトダウンを行うと、目線を車内のほかの乗客とほぼ同じ高さまで下げることができる。同時に、前後の動きに対して背面と座面の摩擦力がかかるため、筋力をそれほど使わなくても運転者のブレーキ操作に自然に対応ができる。 乗ってチルトダウンさせてみると、車内が広く感じて、たしかに遠くの景色まで見えるようになった。走行中の上半身の揺れが軽減され、座り心地も上々。これなら長距離のドライブにも対応できるように思えた。 「ブレーキをかけた状態で左右に曲がる動きをすると、一番安定度の違いがわかるのですよ。実際の交通の中で、交差点で右左折するような状況ですね」。中川 氏がステアリングを自分で握り、けっこう強めなデモンストレーションをしてくれた。たしかに揺れが少ない。座面が水平な通常の車いすでは、大きく左右に揺られるはずの場面だ。チルトされている状態だと重心が下がり、上半身の揺れが少なくなっているのが実感できる。何より無理な筋力で体を支える必要がないため、体への負担が少ない。これは快適だ。... ...
On 2016年12月10日 / By wpmaster手軽に乗れる小型パーソナルモビリティ「TOYOTA i-ROAD」(以下、「i-ROAD」)の実用化が迫っている。 トヨタは 2017年3月末まで、企業と生活者を対象に「i-ROAD」を一定期間貸し出し、試乗モニターとしてモビリティニーズの検証を目的とした「オープン ロード プロジェクト(OPEN ROAD PROJECT)」を、主として東京都内で実施している。 トヨタではこれを「本格的な実用化」に向けた実証プロジェクトと説明しており、さまざまな知見や技術を持つパートナー企業とも協業して、サービスの企画・提供等を通じて「i-ROAD」に関わる多様なニーズに対する実現性を検証する。 オープン ロード プロジェクトはすでに 第 1弾が、2015 年 7 月から 2016 年7月までの約1年間実施されており、今回が第2弾となる。第1弾では、合計96 名が実証モニターとして参加、「ちょっとしたスペースにも簡単に駐車できて便利」「どこにでも気軽に行けるようになり行動範囲が広がった」といった好意的な意見が寄せられている。... ...
On 2016年12月10日 / By wpmaster福祉車両を「普通のクルマ化」させること Believerとは? 福祉分野を中心に活動する「明日を信じて今日を前向きに生きる」ひとたち「Believer」を紹介するコーナー。 文と写真●Believe Japan 「現実的な話をすると、福祉車両は限られた短い期間しか使われないこともあります。福祉車両の役割を終えた後にも、クルマとしての機能を果たし、普通に使ってもらえるクルマ作りをする。私はこれを(福祉車両の)普通のクルマ化と呼んでいます。」 愛知県清須市にあるトヨタハートフルプラザ名古屋にて満面の笑みで迎えてくれたのは、トヨタの福祉車両製品企画主査、中川 茂氏。ショールームにはトヨタの福祉車両がずらりと一同に並ぶ。 椅子が取り外され、大型の装置が室内に取り付けられている福祉車両。ただでさえスペースが限られているクルマの空間から、乗車人数が減り、荷物スペースが減る。装置が増えれば車重は増し、乗り降りを補助するモーターはバッテリーを大量に消費し、飛び出した取り付けフックのため使い勝手は落ちる。さらに何より、全体のコストが跳ね上がる。 目的地まで素早く経済的に移動するという自動車の役割を、福祉車両は何重にも難しくする。これに正面から挑み、数限りない改良を加え、補助が必要な乗客にとって負担が最小になる状態に仕上げ、できるだけ多くの人が買える価格に抑える。最終的にはそのクルマの先の役割まで考え「普通のクルマ化」されることを目指して出来上がっているのが、このショールームに誇らしげに並べられたウェルキャブたちだ。 ポルテ/スペイドのチルト式 回転シート 例えば、このポルテ/スペイドに搭載されたチルト式の回転シートには、あえて電動の回転式ではなく、手動で回るシートを採用した。電動で回れば乗客は楽ではあるが、逆に時間がかかる。当然機械は大型化し、バッテリーも消費し、重量も増す。それならば、回しやすいシートを手でくるっと回した方がむしろ合理的で使いやすいのではないか、という逆転の発想があった。 乗降する位置でチルトボタンを押してもらうと、座面がひょいと持ち上がり、丁度いい角度に前傾姿勢をとることができる。足が弱った人が最初の一歩を踏み出すのに、これほど楽な姿勢はない。自然な前傾姿勢のまま自重で足を前に出せるからだ。また、両足を同時に地面につけるのも安心だ。座るときにも膝の角度が緩やかなので、膝への負担も少ない。 この機能を取り入れることによって、さらに乗降に必要な車の左側スペースを大幅に短くすることができた。電動式の回転シートには、駐車場に停まる横のクルマとのスペースが約1.1m程度必要であるものが、このチルト式回転シートではなんとたった約45センチ程度のスペースで乗降が可能になった。これなら通常の駐車場で隣に別のクルマが駐車されている状況でも十分に乗り降りができる。もともと広い開口部のスライドドアも乗降利便性に大きな役割を果たす。さらに、この回転シートは車外に出る部分が少ないため、雨の日もシートの濡れを最小に抑えることができる。急に雨が降り出してきた日に回転シートがびしょびしょになるのを嫌って外に出るのをためらうこともなくなる。介助者が一人で左手に傘をさし、右手でくるっとシートを回し、さらに二人でそのまま傘に入ってドアを閉めることができる。これは考えられた作りだ。 ポルテ/スペイドには、この手動の「助手席回転チルトシート車」のほかに、電動の「助手席リフトアップシート車」もある。それには100キロまでの重量に耐える力持ちな電動回転シートが装着され、リモコン操作で本人でも介助者でも簡単に操作ができる。 手動の「助手席回転チルトシート車」は助手席が回転して、シートはほぼ室内に収まったまま座面と背もたれがチルトするのに比べて、この電動の「助手席リフトアップシート車」は、助手席シートが電動で回転し、スライドダウンして、ほぼ完全に車外に出る。シートは地面に近い位置まで低く下がっていく。 強い雨の日に確かにシートは濡れてしまうが、車いすが必須な方はこちらの方が乗降には楽だと思う人が多いだろう。真横に車いすを置いて上下の移動が少なく座り変えられるからだ。ただ、雨の日でも、介助の人が大きめの傘をさして手伝えば、シートの濡れも最小に収められるだろう。(専用シートカバーには防水タイプも用意されている。) 「助手席回転チルトシート車」は、歩行器具を使っても自分で歩ける程度までの状態の方に向いているように思われた。比べて「助手席リフトアップシート車」は、独歩が難しい、または車いすの方に向いていると言えるだろう。 一つ気をつけなければいけないのは、電動の「助手席リフトアップシート車」は、回転するときに足をフットレストに載せる必要があるが、前面足元のスペースの関係で手前にグッと両足を寄せる必要がある。足のサイズにもよるが、体の状態によっては、そこまで足を引き寄せて回るのに無理がないかどうか試してみた方がよいだろう。ちなみに28センチの大きな靴を履いた状態でも回転させることには問題がないので、通常ならスペースが小さすぎて回せないということはほとんどない。... ...
On 2016年12月8日 / By wpmasterモータージャーナリスト熊倉重春が「できる!」を視点に、各メーカーの福祉車両の機能や使い勝手を徹底的に探るシリーズ。 記念すべき第一弾は、「最新の福祉車両を体験する」です。車いす仕様のトヨタ ノアのインプレッションをお届けします。 特別ゲストとして、トヨタ自動車で福祉車両の開発責任者をされている中川 茂さんにご登場いただき、 ・「福祉車両を考慮して車両設計を行う」という画期的な開発 ・スムーズに行える車いすの乗り降り ・車いす乗車のひとの、ほかの同乗者と同じ自然な目線 など、ノアをはじめとするトヨタの福祉車両「ウェルキャブ」やオリジナルの車いす「ウェルチェア」についてご説明、思い入を語っていただきます。 English subtitled movie (英語字幕付き動画) ...
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