文と写真●Believe Japan 2023/5/15(月)配信 すべての人に自由なモビリティを目指し、製品や技術を紹介するBelieveが注目する福祉車両。前回に引き続きトヨタの人気ミニバンの中から、今回は「ノア」の車いす仕様車に注目し、責任者である野首福利(のくび ふくとし)氏に、開発に込めた想いを聞いた。 広い室内空間とスムーズな乗降を実現! トヨタの「ノア」は、あらゆるシチュエーションに対応する頼もしいミニバン。ラインアップはタイプI「車いす1名仕様(セカンド席)」とタイプI「車いす2名仕様(セカンド席とサード席)」、そしてタイプII「車いす1名仕様(サード席)」があり、タイプIIには標準車と同じシートレイアウトの「サードシート付」仕様が選べる。さらに、このタイプII「サードシート付」仕様には、助手席リフトアップチルトシートを標準装備したタイプも設定されている。撮影車はタイプIの「車いす1名仕様(セカンド席)」仕様だ。 新型モデルは、車いすの乗車から固定までの操作を大幅に簡単にして、操作の時間を半減させている。たとえば、これまで車内のスイッチ操作でリヤの車高を上下させていたが、バックドアの開閉と連動して自動的に車高が上下。後退防止のセーフティモードへの切り替えも自動化され、乗車した車いすのベルトのたるみ取りも必要なくなった。 大きなゆとりに加え、使い勝手が劇的に進化したことで、ノアの快適さはいっそう増している。 バックドアを上げると車高が自動に下がり、簡単に引き出せる手動スロープは角度9.5°と非常になだらか。車いすの乗車から固定まで、一連の動作がとてもシンプルになっている。 室内スペースにゆとりがあるノアは、リクライニング機構が付いた車いすや電動車いす、さらにシニアカーにも対応する(スロープ耐荷重200kg)。「タイプI」はストレッチャーでの乗車も可能。 荷物の取り出しで邪魔となる収納時の「立ったままのスロープ」が、車内に倒れてフラットなフロアとなる「前倒れ機能」も旧型同様に採用されている。 車いすユーザーがコミュニケーションを取りやすい「タイプI」、セカンドシートが標準車同様に使用できる「タイプII」など、使い方に合わせてさまざまなバリエーションが用意される。 関連記事:フルモデルチェンジで乗降操作が簡単に! 大幅進化した新型トヨタ ノア/ヴォクシーの車いす仕様車 新型を開発するにあたり、とくに注力したことを教えてください。 今回ノアの福祉車両について調査をした結果、老老介護をしている女性の方が非常に多いことがわかりました。 そして、旧型ではありますが、問題点などを尋ねると、多かった回答のひとつは「価格が高い」ことと、もうひとつは「操作が難しそうで不安」ということでした。新型の開発にあたって、この2点については確実に改善しなければならないという意識で臨みました。まず価格設定を低めに改めました。ベース車と変わらない感覚で購入できることを目指し、旧型では35万円ほど高くなったものを、グレードによっては10万円アップ位にまで近づけました。そして操作についてですが、おおまかに言えば、操作手順は8回から3回に減り、乗り込むのに必要な時間も120秒から60秒へと半減しています。迷うことなく自然に操作できる、とにかく覚えることが少なくて済むように配慮しました。 機能以外で変わったところはありますか? 旧型との大きな違いでは、新型では新たにハイブリッドを設定しています。これもあくまで普通のクルマであることの証ですが、新型では型式認証を取ることで通常のラインアップとなっています。それにより今までカタログを見たときに、「改造されたクルマ」との印象がありましたが、新型では通常のカタログモデルであることを認識してもらい、福祉車両への心理的なハードルをまたひとつ取り除くことができたと思っています。... ...
On 2023年5月15日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 2023/5/12(金)配信 超高齢化社会に突入して久しい日本では、近年、在宅介護が推奨されている。そして、そうしたなか、 自宅からデイケア施設や医療機関へ通う高齢者が増え、 福祉車両の使用頻度は、これまでになく高まっている。 「すべての人に自由なモビリティ」を紹介するBelieveが今回注目するのは、トヨタの新型シエンタ「ショートスロープ仕様」。開発責任者である稲熊幸雄(いなぐまゆきお)氏に、そのこだわりのポイントを聞いた。 ショートスロープで、乗り入れ動作をシンプルに! 両側スライドドアに広々とした室内、低床設計でアクセスが良好なトヨタシエンタは、2022年8月にフルモデルチェンジして3代目となった。ビリーヴカー(福祉車両)は3タイプあるが、もっとも注目したいのがタイプIIIの「ショートスロープ仕様」。バックドアを開けると同時に車高が降下し、リヤバンパーと一体型のショートスロープが展開。リアエンドからスロープが突出する長さはわずか17cmで、省スペース&短時間での乗降を可能とする。 バックドアを開けると自動的に車高が下がる。そして、ショートスロープが展開。 車いすの前輪をショートスロープに乗せ、後輪をスロープに押し当てながら車内へと進む。 車いすの前後左右にフックをかけて固定スイッチを押す。あとはハンドルを引いてショートスロープを収納、バックドアを閉めれば自動的に車高が戻る。 関連記事:難点だった乗り込み時間を大幅に短縮! 新型シエンタの「ショートスロープ」がすごい シエンタ福祉車両開発時のこだわりを教えてください 現在、福祉車両のシェアはトヨタが日本国内の約7割を占めています(除:軽自動車)。そのため、我々には「スタンダードを作っている」という自負があります。 「トヨタでしかできない福祉車両の在り方とは何か」をつねに意識し、介護施設などでお客様のご使用になっている様子から本当の困り事はなにか見極め、自分たち自身で仮説を立て検証して開発しています。また、標準車との同期開発やインライン生産対応などのコスト低減も積極的に実施しています。 今回の新型シエンタ タイプIII「ショートスロープ仕様」で改善したのは、以下の3つの点です。 まずひとつ目は「車いすにお乗りの方の孤立を防ぐ」ことです。 たとえば病院のエントランス。迎えにきたドライバーがクルマを離れ戻ってくると、別のクルマがすぐ後ろに停めてしまい、車いすで乗り込むことができないという事態があります。今までの福祉車両では、車両の後方に2.4メートルのスペースがないと乗り降りできませんでした(通常、停車している前のクルマとの間隔は、1.7メートルほど)。ところがこのショートスロープ版では1.3メートルあれば乗り降り可能ですから、クルマを移動させなくてもよくなります。これまで車いすユーザーの方は、ドライバーがクルマを移動させて戻ってくるまでの間、そこに一人で待たなければなりませんでした。認知症の方がブレーキを外して、後ろのクルマにぶつかったり、どこかに移動してしまうなどのトラブルも報告されています。そのような事態を改善したいと考えました。... ...
On 2023年5月12日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 2023/4/28(金)配信 介助する側、介助される側、双方の立場になってビリーヴカー(福祉車両)をインプレッション! レポートするのは、介護経験があり自身も福祉車輌取扱士の資格を持つタレント・モータージャーナリスト 竹岡 圭。今回は、トヨタ ノア 車いす仕様車 タイプIをご紹介します。 トヨタ ウェルキャブ(福祉車両):https://toyota.jp/welcab/ ...
On 2023年4月28日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 2023/4/24(月)配信 介助する側、介助される側、双方の立場になってビリーヴカー(福祉車両)をインプレッション! レポートするのは、介護経験があり自身も福祉車輌取扱士の資格を持つタレント・モータージャーナリスト 竹岡 圭。今回は、トヨタ シエンタ 車いす仕様車 タイプIIIをご紹介します。 トヨタ ウェルキャブ(福祉車両):https://toyota.jp/welcab/ ...
On 2023年4月24日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 2023/4/21(金)配信 介助する側、介助される側、双方の立場になってビリーヴカー(福祉車両)をインプレッション! レポートするのは、介護経験があり自身も福祉車輌取扱士の資格を持つタレント・モータージャーナリスト 竹岡 圭。今回は、トヨタ ウェルチェアをご紹介します。 トヨタ ウェルキャブ(福祉車両):https://toyota.jp/welcab/ ...
On 2023年4月21日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 2022/11/23(水)配信 近年、朝の日常風景ともいえるのが、高齢者の方などを迎えにくるデイケアサービスのクルマ。そして、車いす乗車のために交通を遮断してしまっている現場を目の当たりにすることもあるかと思う。 低い角度で乗り込めるスロープ仕様車は、車いすユーザーを介助する人にとっては一般的な装置である。しかし、一連の動作による乗り込みを完了するため、それなりに時間がかかってしまうのも事実。 両側スライドドアと広々とした室内、低床設計によるアクセスのよさから、ビリーヴカー(福祉車両)でも高い人気を誇るトヨタ「シエンタ」が、2022年8月に7年ぶりのフルモデルチェンジを遂げた。3代目となったシエンタは、車いす仕様が3タイプ用意される充実ぶりだ。9.5°のなだらかな角度のスロープを持つタイプI。運転席のすぐ後ろに車いすで乗り入れる上、ストレッチャーの乗車も載せられるタイプII。そして、今回もっとも注目したいのが、新たなショートスロープを持つタイプIIIだ。 バックドアを開けると同時に車高が降下し、ショートスロープが展開。省スペース&短時間での乗降を可能とするもの。今回はこのショートスロープ車の使い勝手を実際に試してみた。 ショートスロープで動作を簡素化 操作手順は大きく分けて以下の3ステップ。 Step 1:後部の車高を下げるバックドアを開けると自動的に車高が下がる。そして、ショートスロープが展開。 Step 2:車いす乗車車いすの前輪をショートスロープに乗せ、後輪をスロープに押し当てながら車内へと進む。 Step 3:車いすを固定車いすの前後左右にフックをかけて固定スイッチを押す。あとはハンドルを引いてショートスロープを収納、バックドアを閉めれば自動的に車高が戻る。 介助者役として実際に体験してみたところ、ショートスロープは地面から19cmの高さまで下がるが、前輪を持ち上げる際に若干の力が必要となる。しかし、コツさえつかめてしまえばいたって簡単。何度かトライして慣れると、劇的な早さで車いす乗車を完了させられることに、感心せずにはいられなかった。 車いす乗車をスムーズに行えるということは、車内の暖房や冷房のロスも少なく、周囲の交通を止めているストレスからも解放されることにつながる。さらに手動でのスロープ展開が不要なため、介助者は車いすユーザーから目を離す時間が少なくてすみ、その点でも安心だ。ちなみに乗車人数は車いすユーザー1名を含めて4名となる。 スロープ車の場合、まずスロープを引き出し → (ウインチで引き上げるために)車いすの前輪付近にフロントフックを取り付ける... ...
On 2022年11月23日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 2022/11/15(火)配信 「国際福祉機器展H.C.R.2022」では、今回もさまざまな提案や新製品が見られ、盛り上がりを見せていた。その会場で、「これは多くのユーザにとって朗報だ!」と感じたのが、トヨタの「いつでもウェルキャブ」だ。その正体は、生活スタイルに合わせて現在乗っているクルマをビリーヴカー(福祉車両)に変身させることができる、後付け可能なトヨタ純正品。需要の大きい車いす収納装置と助手席ターンチルトシートがラインアップされている。 車いす収納装置 「車いすが重く、外出のたびに上げ下げがとても大変」という車いすユーザーの家族の声などにこたえた車いす収納装置は、スイッチひとつの操作でだれもが簡単にラゲッジスペースに車いすを収納することができる。重量35kgの車いすまで収納可能で、手動のほとんどのタイプに対応している。 使用するときにはレールを装置に差し込む。電動でスムーズに格納されるため、クルマを傷つける心配が減るのも嬉しい。操作スイッチは上下2つのボタンで迷うことなく使える。 収納装置は簡単に取り外しができるため、家族は通常のクルマと変わりなくラゲッジスペースを有効活用することができる。 装置は比較的コンパクトで軽く、使わないときには取り外しができるため、ラゲッジスペースを有効活用できる。生活のさまざまなシーンでクルマを便利に使うことができ、新たに福祉車両を購入する必要がないため、多くのユーザーから歓迎されるだろう。 ■車いす収納装置 装着可能車種 ・シエンタ(年式:2022年8月〜)・シエンタ(年式:2015年7月〜2022年7月)※2022年11月予定・アクア(年式:2011年12月~2021年6月)※2022年11月予定・アクア(年式:2021年7月〜)※2022年11月予定・ヤリス(年式:2019年12月~)※2022年11月予定・プリウス(年式:2015年12月~)※2023年1月以降予定・ルーミー/タンク(年式:2016年11月~)※2023年1月以降予定 ■価格 14万9600円(消費税込み) 助手席ターンチルトシート スムーズなクルマの乗り降りを可能にしてくれる助手席ターンチルトシートも後付けが可能だ。 助手席のシートが車外に回転して座りやすい向きになり、同時に座面と背もたれが前傾することで、乗り降りがとてもラクになる。足が地面につきやすくなり、乗り降りの際にかがむ必要もなくなる。またシートを跨(また)いで座る必要がなくなるので、多くの高齢者にとっても快適な装備となる。 ■ 助手席ターンチルトシート 装着可能車種... ...
On 2022年11月15日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 2022/11/7(月)配信 「国際福祉機器展H.C.R.2022」のトヨタブースで、新たな電動車いすの提案が行われた。「JUU(ジーユーユー)」と名づけられた車いすは、これまでなかなか走行できなかった場所や状況、使用方法などをカバーして、ユーザーにさらなる快適性と安心感をもたらすコンセプトモデルだ。主に以下が特徴となる。 ・安全で快適な乗り降りをアシスト・未舗装路や荒れた道も走行・階段や急勾配も力強くクリア・前傾姿勢で座り仕事もサポート この「JUU」は日本語の「自由」に由来しているネーミングで、ユーザーに移動や仕事、行動の選択の自由を提供することを目指している。大口径の大きなオフロードタイヤを装着したJUUは、17センチの段差も乗り越えられるという。階段を上るという特徴以外に、車いすとしての作りも秀逸で、小まわり性能も高く、狭い建物内での移動にも重宝する。 力強くフレキシブルな走行を支えるのは、高トルク、高精度そして耐久性を誇るデンソー製の車載モーターである。 今までにないユーザーフレンドリー 乗り込むときには、まず「乗り降りモード」に。↓背もたれが起きて座面が前傾して前に出る。↓しっかりした作りのサポートバーなどもあり、安心感を持って乗り込むことができる。↓前に進む際は「通常モード」に戻す。ほとんどの操作はワンタッチで済むシンプルなもので、だれもが最初から親しみやすい。↓ 操作はジョイスティックで行う。レバーを倒す方向に進んでくれる。倒す角度によって速度が調整できるので、ごく自然な感覚で移動ができる。↓背もたれがしっかりしているので、常に安定した姿勢で移動できる。↓ 階段を上るときには「上りモード」に変換する。すると後方にある「しっぽ」が降りてきて車いす全体を支える。↓しっぽで後ろをしっかりと支えながら上っていく。↓段差を降りる際も姿勢は安定していて安心感がある。 ↓姿勢も自動的に制御されるので、勾配によって後ろに倒れたり前のめりになることもない。↓降り際にも座面が前傾して前に出るので非常に楽だ。↓片付けで手を指により移動させたいときなどは、台車モードを選択するとメインの大きな車輪が上に持ち上がり、キャスターが代わりに下に降りてくる。手軽に移動させることが可能だ。 JUUのアプリによって、車いすの状態(バッテリーやモードなど)を常にモニタリングすることができる。さらにこのアプリを使って、リモートで車いすを操作することもできる。車いすを置いた場所から、自分がいる場所まで操作して来させることも可能だ。この操作もタッチパネルを使いながら、前進や回転などが自然なフィーリングで行える。さらに特筆すべきは、車いすに乗ってる人が疲れていたり自身で操作ができない状況でも、近くにいる人が代わりに移動させることができる点。姿勢なども操作でき、ユーザーと介助者双方の快適性に配慮されている。動きも非常に静かでスムーズで、例えばユーザが眠ってしまった際など、起こすことなく背もたれを倒すこともできそうだ。 現在もさらに開発が進行しているということで、市販されるのはまだ先になりそうではあるが、「これまで行ったことのない場所に行ってみたい」、「諦めていた仕事に挑戦したい」など、ユーザーに前向きなエネルギーをもたらしてくれるであろう素敵なモビリティである。 ■データサイズ:幅660mm、全長1048mm、高さ1135mm最高速度:時速6kmバッテリー容量:24V/15.2Ah充電時間:5時間走行可能斜度:10度走行可能段差:200mm ...
On 2022年11月7日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 2022/11/1(火)配信 今年で49回目を数える「国際福祉機器展H.C.R.2022」。このアジア最大規模の福祉機器イベントでひときわ注目されていたのが、トヨタが展示した、車いすユーザーが「ひとりで乗り込んで運転できる」コンセプトモデル「C+pod plus Concept(シーポッドプラス・コンセプト)」だ。 ベースとなるモデルはトヨタの超小型EV「C+pod(シーポッド)」。2020年に一部企業や自治体への提供がスタートシーポッドは、2021年12月より一般向けに販売開始。高齢者が安全安心に移動ができることを目指してつくられた小型モビリティだ。 車いすドライバーの深刻な悩みを解消 開発にあたって、トヨタでは自身でクルマを運転する車いすユーザーにヒアリングを行い、クルマ移動については以下の3点がもっとも大きな問題であるとの結論に至った。 ・駐車場でのスペース・車いすの乗せ降ろし・運転姿勢の維持 最初の問題「駐車場でのスペース」は、車いすで乗車しようとすると、車両の横にある程度のスペースが必要となる。しかし福祉車両優先ゾーンは近年利用者が増え、埋まっていることが多いといった問題である。次の「車いすの乗せ降ろし」については、運転席に座ったユーザーが、乗り込み時に畳んだ車いすを自分の身体の前を通して座席に収納するタイプが多いが、これでは服を汚してしまったり車内を傷つけたりすることがあるという。そして最後は「運転姿勢の維持」について。既存のモデルは両手で運転するものが主流であるが、交差点や曲がり角では体制を崩してしまうことがあるという。 そうした問題に対応すべく考えられたのが、このコンセプトモデルとなる。前幅が1.29mと極めてコンパクトで、一般的な駐車場スペース(2.5m)のおよそ半分。そのためドアをフルオープンにすることができ、優先スペースを探す必要も、隣のクルマを気にすること必要もない。 また、折り畳んだ車いすはシートの横にフックで引っ掛け、シートが電動で左側から右側にスライドするのを利用して、車内に車いすを引き上げる。そのため服が汚れたり車内が傷む心配もないわけだ。 さて最後の「運転姿勢の維持」だが、ハンドルにアクセルレバーを取り付け、さらに少なめの舵角で大きく曲がるようにセッティングされているので、ハンドルを手で大きく回転させる必要がなく、常に安定した姿勢で運転することができる。動画でスムーズな乗り降りを確かめてもらいたい。 ユーザーに負担の少ない乗り降り 実際の乗り込みは、まずリモコン操作で左側のドアを開き、車いすに乗りながらアプローチする。↓ターンチルト機構のシートが車いすに近づくことでスムーズな乗り込みが可能。ちなみに、ドア開口部とシートの後ろには若干の隙間があり、そこからラゲッジスペースに手持ちの荷物などを入れることができる。↓車いすは折り畳み、シート横に付いているフックに引っ掛ける。↓電動でシートが左側から右側に移動するのを利用して、車内に車いすを引き上げる。↓車いすを固定してドアを閉め、完了。↓以上の逆の手順による降車もスムーズに行える。 このコンセプトモデルには、現在トヨタが開発している車いす連結ユニット(車いす前方に付けられる電動ユニット)を取り付けるためのキャリアも備えられている。連結ユニットによって車いすの移動範囲は格段に伸び、また疲労も大幅に軽減される。 人(骨格)の動きに合わせて座面と背もたれが可動、遠心力を使ってドライバーの身体をサポートする「キネティックシート」が搭載されている。これまでのようにホールド性を高めるという発想ではなく、シート自体が動くことでドライバーの身体的な負担を軽減する。荒れた路面や、コーナリング時の姿勢を安定させてくれる。キネティックシートは、もともと備わるシートの上に置いてカバーのような形で使用が想定されている。現在、重量が20kgほどだが、今後軽量化を課題としている。 このコンセプトモデルは現在も開発が進行中で、今回の展示で得られるさまざまな反応や意見をフィードバックしていくとのこと。今後さらに完成度を高め、ぜひ販売してほしいコンセプトモデルである。 ...
On 2022年11月1日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 2022/3/18(金)配信 トヨタは、ノア/ヴォクシーをフルモデルチェンジし、2022年1月13日から販売を開始。同時に福祉車両(ウェルキャブ)も設定し、同時に発売となった。今回は、車いす仕様車と助手席リフトアップチルトシート車の実車に触れられる機会があったのでレポートしたい。 乗り降りが劇的にシンプルに 新型の車いす仕様車は、乗車から車いすを固定するまでの動作を徹底的に簡略化することで、操作手順がこれまでの「8回から3回に」、かかる時間を「120秒から60秒に」半減させている。具体的には以下の3つのポイントによって、手間と時間を大幅に節約している。 「車高調整の自動化」 これまで車内のスイッチ操作で車高を調整していたが、バックドアの開閉と連動して自動的に上げ下げが行われるようになった。※スイッチによる操作も可能。 「モード切り替えの自動化」 これまで車内のスイッチ操作で後退防止のセーフティモードに切り替える必要があったのが自動化された。 「ベルトの巻きだるみ取りの廃止」 乗車した車いすを3回引いて行っていたベルトのたるみ取りが必要なくなった。 これまでは乗り降りのプロセスがやや複雑で、若干のコツも必要であった。しかし新型は操作が非常にシンプルで、だれもが気軽に行えるようになっている。増加する老老介護にとってもハードルが大幅に低くなった。また、車いすの乗り降りは周囲の交通を遮断したりする場合が多く、精神的なストレスがかかるため、スピーディに行えることのメリットは極めて大きい。また、9.5°の緩やかなスロープに加え、荷物の取り出し時に邪魔になっていた「立ったままのスロープ板」が車内に倒れるように改良されているのも注目に値する。 省スペースのサイドリフトアップチルトシート サイドリフトアップチルトシート装着車は、従来までのリフトアップシートが車の横に110cmほどの乗り降りスペースを必要としていたのに対して、チルトすることでわずか55cmのスペースで、乗員もよりスムーズに立ち上がることができる。普通の駐車場スペースを使用できることも心理的なハードルを下げてくれる。 全面的に進化を遂げた新型 新型ノア/ヴォクシーは、ボディ骨格を最適化することで左右Cピラーの間の距離を拡大し、室内空間がより開放的になっている。パワースライドドア装着車にはユニバーサルステップが設定(全車オプション)され、乗降性をさらに高めている。また、左右Bピラーにロングアシストグリップを標準装備。そのほか、バックドア開閉時、任意の角度で保持できる「フリーストップバックドア」も初採用されている。 パワートレインは、1.8L 直4DOHC(2ZR-FXE)のハイブリッドと2.0L 直4+CVT(10速シーケンシャルシフトマチック)の2つから選べる。要望の高かったハイブリッド仕様が今回ついに設定された。安全面も抜かりなく、最新の予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」が設定された。つねに最新のソフトウェアに更新可能な「ソフトウェアアップデート」も導入され、購入後も使い勝手などがさらに進化していくことが期待される。 以下の仕様を型式指定自動車として設定し、持ち込み登録の手間が省け納車までの時間を短縮した。車いす仕様車には、型式指定自動車に加え、持ち込み登録のタイプⅡ(サードシート付)+助手席リフトアップチルトシートとタイプⅡ(サードシート無)の2種類も設定されている。... ...
On 2022年3月18日 / By wpmaster© 2016-2020 Believe Japan, Inc. All rights reserved.