文と写真●Believe Japan 今日は不可能だと思われていることでも、将来は実現する可能性がある。自動運転もそのひとつで、今日や明日ではないけれども、近い将来、新しい交通手段として我々の生活を支えてくれることになりそうだ。 公益社団法人自動車技術会が主催する『人とくるまのテクノロジー展2019 横浜』が5月22日(水)から3日間、パシフィコ横浜で開催された。これは、技術者や研究者のために開催される専門展で、会場には自動車を構成する部品や開発を助けるためのシステムがずらりと並ぶ。そんな、プロ向けの展示会のなかで目を引いたのが、運転手なしで自動的に巡回するという自動運転バス「NAVYA ARMA」だった。 これは、主催者である公益社団法人自動車技術会による未来のモビリティ社会を見据えた企画展示のひとつで、クルマと社会インフラが融合することで、移動とエネルギーにまつわるコストを最小限に抑え、地域創生を実現するという理念に基づいている。この自動運転バス「NAVYA ARMA」は、フランスNavya社が開発したもので、世界14カ国以上で使われている電気自動車。日本ではSBドライブがシステムを設計し、すでに北海道上士幌町で実証実験が行われているという。 前方、後方の区別がないデザインが特徴的な「NAVYA ARMA」は、前にも後ろにも走行可能だ。あらかじめ設定されたルートを自動で走行し、バス停に到着すると停止し、ドアも自動で開く。従来のクルマよりも運行コストが安い電気自動車をさらに無人化することで、これまで路線バスが運行できなかったような過疎地や路線でも安全な移動の提供が可能になると考えられている。 さまざまな理由から自分で運転できない人々にとって、路線バスというのは重要な社会インフラとなる。高齢者が免許を返納したあとの移動手段をどうやって提供するのかは社会にとって重要な課題だが、無人運転バスの実用化は、そのひとつの回答になるだろう。自動運転がどのような形で実現し、我々の暮らしを変えていくのか、今後も注目していきたい。 ...
On 2019年5月24日 / By wpmaster自動車部品メーカーのアイシン精機は2018年7月10日、ドラッグストアチェーンのスギ薬局と共同で、愛知県豊明市仙人塚地区において、主に高齢者を中心とした市民の健康維持、増進を目指した移動支援サービスの実証実験を行うことを明らかにした。 実証実験は近年社会問題となっている、自力での通院が困難なため適切な診療・服薬指導を受けることが困難な「医療難民」、自分で買い物をすることが難しい「買い物難民」といった問題の解決を目指す。具体的には、市民の居住地域と医療機関や公共施設、スーパーマーケットなどを結ぶ「乗り合い送迎サービス(名称:チョイソコ) 」を提供し、より多くの市民がよりよい医療を受けられ、さらには社会活動や買い物にも気軽に出掛けられる環境を創出していくという。実験は、2018年の7月24日から12月25日の期間で行われ、豊明市健康長寿課が支援する。 サービスの実施時間は平日の午前9時から午後4時とされ、アイシン精機では、「事前に利用者の希望目的地や希望到着時刻などを専用システムで計算し、効率的な送迎サービスの運行を行う」としている。予約受付センターに集められた利用者の行きたい場所と希望の到着時間をもとに、システムが、地理的、時間的に実現可能な乗り合いのルートや乗り降り順を運行予定としてまとめる。 急速に高齢化が進む中、モビリティの制限による生活クオリティの低下が大きな問題となっているが、その有効な解決策として大きな期待が集まる。 ...
On 2018年7月11日 / By wpmaster文●Believe Japan 写真●Believe Japan、トヨタ トヨタのブースでは、ミニバン「ノア」の福祉車両「ウェルジョイン」が展示されていた。これは高齢化によって過疎化が進み、利用者が減少した路線バスが廃止される地域への、新たなモビリティの提案だという。 現在、数多くの地域で路線バスが廃止され、「買い物ができない」、「通院できない」といった交通難民ともいわれる深刻な問題が引き起こされている。 「ウェルジョイン」は、3列目シートへスムーズにアクセスできるように、手すりなどが使いやすい場所に設置されているほか、乗降時の通路幅を確保した専用セカンドシートを導入。トヨタではこれを、交通が空白化している地域での、新たな移動手段としていく考えだ。さまざまな用途に対応する使い易い車両となっている。 過疎地域におけるモビリティの担い手 5ナンバーサイズのミニバン「ヴォクシー/ノア/エスクァイア」は、多人数の送迎を快適に行いながら、狭い道でも気軽に走行できる。 シートレイアウトを最適化し、2列目シートの左席を廃止することで、3列目シートにスムーズにアクセスできる乗降スペースが確保されている。これにより、3列目シートに座っている方が乗り降りする際、2列目に座っている方が、一々外に出る必要がなくなる。また、2人掛けになった2列目は、シート幅を拡大し、よりゆったりと座れるようになっている。 乗降時や車内の移動、シートから立ち上がる時にも便利な手すりが、2列目シートの横とドア付近にある。シート横にある手すりは、走行中の横揺れ時に、座っている人の上体をサポートする形状にもなっている。 介護施設の送迎に便利な、助手席リフトアップシート付車も設定される。 日本は平均寿命が伸びたことに加え、出生率の低下により少子化が進んでいる。2017年に、すでに総人口の4人に1人が65歳以上の高齢者となっている。そして、遠からずして3人で1人の高齢者を支える時代がやってくるとされる。過疎地域の高齢化はより深刻で、老人の移動をサポートするのも高齢者という「老老介護」の状況となっている。トヨタでは、そうした過疎地域にマッチした交通手段として「ウェルジョイン」を開発したとしている。 ... ...
On 2018年5月31日 / By wpmasterトヨタは、「SORA」の型式認証を燃料電池バスとして国内で初めて取得し、2018年3月7日から販売を開始した。 SORAは、燃料電池自動車「MIRAI」向けに開発した「トヨタフューエルセルシステム」を採用し、走行時に二酸化炭素や環境負荷物質を排出しない環境性能、騒音や振動が少ない乗り心地を実現した次世代のバスである。また、SORAには大容量外部給電システムを搭載しており、災害時などの非常用電源として電力を供給(最高出力9kW、供給電力量235kWh)することも可能。 車内は、未使用時に自動的に格納されるシートを採用するのが大きな特徴。これにより、ベビーカーや車いす利用者と一般利用者の居住性を両立している。 車体には8個の高精細カメラが備わり、運転席のモニターで周囲の状況を確認できる。さらにバス停車時には周囲の歩行者やクルマなどの動体を検知し、バス運転手に音と画像で知らせる「視界支援カメラシステム」が搭載され、安全性を高めた。 2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、東京を中心に100台以上の燃料電池バスの導入が予定されている。今回発売されたSORAは、その大きな役割を担うモデルとなっている。 ...
On 2018年4月2日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 独創的な造形のコンセプトカーが数多く展示されるモーターショーだが、なかでもでひときわ異彩を放っていたのがトヨタが発表した次世代バスのコンセプトモデル「SORA(そら)」だ。 近未来的なデザインのSORAは、水素を燃料として電気で走行する燃料電池バスで、車いす利用の快適性も大きく高められている先進性が特徴だ。おおよそのサイズは全長10.5m、幅2.5m、高さ3.3m。定員は座席22名、立席56名、運転手1名の計79名となる。 排出されるのが「水」だけという優れた環境性能を誇る。また、コンセプトモデルではあるが、2018年の春先に発売される予定ということで、事実上の完成形ともいえる。 ボディ内外の各部から伝わってくる質感の高さと先進性に、マスメディアだけでなく一般の来場者も興奮の面持ちで車内に乗り込んでは、座席に腰掛けたり熱心に写真を撮影していた。車両中央部は、進行方向左側の一列のみを座席として、車いすやベビーカーでの快適な乗車に対応している。 車いす2台を簡単に固定できる装置が備えられている。手すりや停車ボタンもそれぞれの利用者が使いやすいように配置されている。 大気中から取り込んだ「酸素」とタンクから供給される「水素」を「FCスタック」という発電装置に送り、化学反応によって「電気」と「水」を取り出すのが、燃料電池「トヨタフューエルセルシステム(TFCS)」だ。発生した電気を動力源としてSORAは走行する。水素の充填にかかる時間はガソリンや軽油の給油とほとんど変わらず、EV(電気自動車)の充電と比べてはるかに短い。 SORAは「受け継がれていく街のアイコン」という開発コンセプトによって作られ、「社会の奉仕車」と「人を中心に据えたユニバーサルデザインと機能」という2つのテーマを追求している。開発主査を務めるトヨタ自動車先進技術開発カンパニー BR次世代車両企画室の権藤憲治氏は、「2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、東京都を中心に100台以上のSORAを導入する予定です」と語る。 まず、SORAは「社会に奉仕」する車両として、燃料電池車として走行時にCO2や環境負荷物質を排出しないという優れた環境性能を実現していること、大容量の外部給電システムを搭載し、災害時に電源としての利用が可能となっている。 そして「ユニバーサルデザインと機能」という観点では、以下に挙げるとおり利便性と安全・安心にこだわり、すべての利用者が「乗ってよかった。また乗りたい」と思えるバスを目指している。 車両の内外に配置された8個の高精細カメラが、周囲の歩行者や自転車などの動体を検知して運転手へ音と画像で知らせる周辺監視機能を搭載し、安全性が向上する。 モーター走行のため変速ショックがなく、急加速を抑制して緩やかな発進を可能にする加速制御機能を採用、車内で立っている乗客の安全性にも配慮している。... ...
On 2017年11月4日 / By wpmaster© 2016-2020 Believe Japan, Inc. All rights reserved.