文と写真⚫︎大音安弘
2024/1/10(水)配信
欧州最大の福祉機器展「REHACARE(リハケア) 2023」が、2023年9月13日~16日の期間、ドイツ・デュセルドルフで開催された。今年の出展社は700社を超え、来場者の総勢が3万人となる盛況ぶり。その会場で出会った福祉車両やモビリティを紹介したい。
身障者向け車両改造を手がけるMoblicenter zawatzky社は、1962年に創業した業界の老舗のひとつ。運転免許教習所からスタートし、1965年には、世界初となる身障者向けの運転訓練を開始した。さらに1967年には最初の身障者向けの車両を製作し、同教習所での運転訓練に活用するようになった。そこから車両改造のエキスパートの道を歩み始めた。そんな同社は、個別の改造だけでなく独自のコンプリートカーも提供している。

展示車の「プジョーリフターマキシ デュオ」は、日本でも販売されているプジョーの7人乗りMPV「リフターマキシ」をベースにしたもの。外観上は標準車とまったく同じだが、室内を眺めてみると、驚かされる。なんと本来は存在するはずのシートが見当たらず、広々した空間が広がっているためだ。これは電動車いすの利用者がそのまま、乗車かつ運転可能とした仕様なため。身障者ドライバーの乗車口は、テールゲートからとなるが、非常に快適なアクセスが可能。リモコンキーの操作ひとつで、テールゲートと折り畳み式スロープなど全ての動作が行われるからだ。さらにアクセス性を高めるために、後輪のサスペンションには車高調整機能も追加している。ユーザーは、完全にフラット化された車室を移動。ドライバーズエリアに収まると、ドッキングステーションが自動的に電動車いすを固定する。後はハンデキャップに合わせて装着されたドライビングサポートシステムを使い、ドライブに出かけることができる。

同仕様の優れた点は、助手席側シートがドッキングステーション対応仕様なため、自由に切り替えられること。身障者ドライバーが同乗者と運転を変わって欲しい場合、助手席を運転席側にセットすることで可能に。このシステムを活用し、電動車いす利用者が二人揃って快適に出かけることもできるのだ。もちろん、広々した後部空間を乗員スペースとしても活用できるように、2座もしくは4座の折り畳み式シートを装備できる。このため、MPVの強みはそのまま。だから、友人や家族など大人数でのドライブも楽しめるのだ。
130馬力の1.5L直4クリーンディーゼルエンジン搭載の8速AT車をベースにした価格は、79800ユーロからなので、約1250万円から。(※現在のドイツで販売されるリフターはEVのみのため、新車在庫での対応)

同社のコンプリートカーは、車いすのまま乗車可能な介護式車両と電動車いすのまま運転を行える自操式車両に力を入れているため、MPVのみをラインアップしているのが特徴。日本の自操式福祉車両は、車いすから乗り換えるものが基本。車両は高価だが、電動車いすの利用者が移動の自由を手にできる意義の大きさを感じた。
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