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IAA TRANSPORTATION 2026で見つけた注目モデル「フォルクスワーゲン カラベル スタイル」

By wpmaster · On 2026年11月2日

文と写真⚫︎Believe Japan

2026/11/2(月)配信

2026年秋、ドイツのハノーファーで開催された商用車の国際見本市「IAA TRANSPORTATION 2026」。世界各国の自動車メーカーや商用車関連の企業が次世代のモビリティを展示して盛り上がりを見せた。ここでは会場で関心を集めていたビリーヴカー(福祉車両)を紹介したい。

「質実剛健」商用バンの乗用タイプ

 今回紹介するのは、フォルクスワーゲンの「カラベル スタイル」をベースに、チェコの架装メーカー「API CZ」が車いす対応の架装を施したモデルである。注目したいのは、車いすで乗り込めるという基本機能だけではない。車内の座席配置に工夫があり、車いす利用者を中央に、その左右に同乗者が座れるレイアウトを実現している点だ。

 カラベルは、代々フォルクスワーゲンの商用車部門が製造する「トランスポーター」の乗用バンである。広い室内空間と高い積載性を誇り、物流を中心にさまざまな分野のプロから厚く信頼される商用バンであるトランスポーターに対して、乗員の移動や送迎に適した内装と装備を備えている。空港やホテルの送迎、観光ツアーなど幅広い用途で活躍しているモデルだ。1980年頃のT3世代が日本名「ヴァナゴン」としてヤナセなどで輸入されていたのを覚えている方もいるかもしれない。その後、T4の前期モデルは正規販売されたものの、それ以降、T5、T6、T7などは基本的に日本未導入となっている。代々、質実剛健が謳われて品質に対する評価が高いが、日本で購入したい場合は専門業者を通じた並行輸入かすでに流通している中古車を探す必要がある。

 現行モデルは、標準で8人乗り、オプションの助手席ダブルシートを選択すれば最大9人が乗車できる。フラットなフロアにレールが備え付けられ、シートの折り畳みや取り外し、さらには2列目シートの360度回転など、多彩なシートアレンジも行えるなど優れた機能性を備えている。通常、2列目には独立した3席を採用し、折り畳みや取り外しにも対応。3列目も取り外し可能なベンチシートとなっている。乗車人数や荷物の量に合わせて室内を変更できる柔軟性が特徴である。また、ディーゼル、プラグインハイブリッド、電気自動車と複数のパワートレインが用意され、ホイールベースも2種類から選択できる。こうした車体の広さや室内レイアウトの自由度は、福祉車両のベースとしても評価が高い。

車いすを中央に配置する室内レイアウト

車内後方から見た架装部分。床面中央に車いす用のスペースを確保し、2列目では車いすの左右に座席を配置。3列目は跳ね上げ式の座席を配置し、車いすの前後2台乗車を可能にしている。

 さて今回の展示車でとくに目を引いたのが、後席のシート配置である。車いす利用者が中央に乗り込み、その左右を通常の座席で挟むように同乗者が座れるレイアウトに架装されている。そればかりではなく、2列目、3列目シートに車いすを2台、前後に配置して乗車することが可能になっている。また、一般的に車いす仕様車では、車いす利用者がほかの乗員と離れた位置に乗車するレイアウトがほとんどであるが、この展示車では2列目の車いすの左右両側に座席があり、家族や介助者が同じ列に並んで座ることができる。移動中も自然な会話を楽しめるようになっているのだ。今後の福祉車両の室内設計を考えるうえで、興味深いアプローチといえる。

チェコの架装メーカーが手がけた負担の少ないクルマ

 この車両の架装を手がけたチェコの架装メーカー「API CZ」は、車いす利用者向けの車両改造を専門とし、スロープや車両への乗降を支援する装置を開発・製造している。そして主力製品のひとつが、この展示車両の、車両後部から車いすで乗り込むための「FlexiRamp」だ。

 「API CZ」は、スロープを自社施設で設計、開発、試験、製造している。「FlexiRamp」には、スロープ自体の重さを支える「ZeroEffort」技術が採用されており、スロープの展開・収納操作に必要な力は平均およそ3kgとされている。また、電動式ではボタン操作による作動も可能。車いすの乗降時に、介助者がスロープを扱う負担を極力軽減するために工夫されている。

 今回のカラベルでは、車両後部にスロープを設けるだけでなく、床面を低くする加工も行われている。「API CZ」によると、この架装はディーゼル車だけでなく、プラグインハイブリッド車にも対応する。とくにPHEVでは、床面を下げるために駆動用バッテリーの位置を調整する必要があり、車両構造にまで踏み込んだ改造となっている。同社の説明では、今回の仕様は車いすを最大2台、前後に配置して輸送することも可能である。日常的には2対2対2の6人乗りとして使用し、必要に応じて、最大2台の車いす利用者の送迎にも対応する。

ベース車の特性を引き出す架装

 「API CZ」はフォルクスワーゲンとの関係が深く、同社の商用車架装におけるプレミアムパートナーとして認定されている。欧州では、車両メーカーと架装メーカーが連携し、車両の構造や安全性を考慮しながら改造が一般的に行われている印象を受ける。

 今回のカラベルは、日本国内で正規販売されていないモデルである。しかし、欧州ではカラベルのような大型乗用バンをベースに、専門メーカーが用途に合わせた架装を施す選択肢が用意されている。フォルクスワーゲン自身も、障がいのある人や車いす利用者の輸送に向けて、認定パートナーによるリフトやスロープなどの架装を案内している。広い室内空間や柔軟なシート配置を持つベース車と、車いすの乗降や固定を支える専門技術。その組み合わせによって、移動の自由度だけでなく、乗車中の過ごし方にも配慮した福祉車両が生まれている。今回のカラベルは、車いす利用者と同乗者が同じ空間を共有するための設計という点でも、注目すべき一台といえるだろう。


展示車両データ

フォルクスワーゲン カラベル スタイル
エンジン:2L ディーゼルターボ 110kW(150PS) 
トランスミッション:8速AT

主な装備
インフォテインメント:ナビゲーションシステム 33cm(13インチ)タッチカラーディスプレイ、ワイヤレス App-Connect(Apple CarPlay & Android Auto対応)
ホイール:17インチ アルミホイール「Le Mans」(6.5J x 17、シルバー、4本)
2列目・3列目シート:2列目独立可倒式シート×3、3列目ベンチシート(ISOFIXおよびTop Tetherアンカーポイント×4装備)
運転席周りパッケージ:「Style」人工皮革シート、シートヒーター、サイドエアバッグ付きフロント2人乗り座席
運転支援パッケージ:ドライバーアシスタンスパッケージ Premium Plus
スライドドア:運転席側および助手席側電動スライドドア(ハンズフリー「Easy Open」機能付き)
API CZ社製 架装装備(抜粋)
車いす移動車用リアカットアウト(Flexi Rampスロープ付き) 


価格
カラベル KR(標準ホイールベース/税抜):4万5290€ 
展示車両の価格(税抜):5万6901€

※2026年8月18日時点

IAA TRANSPORTATION 2026フォルクスワーゲンミニバン福祉車両
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