文●Believe Japan 写真●WHILL クルマの世界では自動運転技術が大きく進化し、今日、世界中のメーカーがその開発にしのぎを削っている。「自動運転」は高性能なセンサーやカメラ、電子制御技術によってドライバーの運転をサポートするもので、事故の減少やドライバーの疲労軽減、交通渋滞の解消などが期待される。 一方、近年電動化がめざましい車いすの分野でも、自動運転技術がついに登場した。毎年1月に世界中から最先端の技術が発表されることで知られる「CES(セス)」。アメリカのラスベガスで開催される世界最大といわれる電子機器の見本市で、今回ひときわ大きな注目を集めたのが、空港をはじめとする商業施設などでの導入を見据えた「電動車いすの自動運転」だった。「WHILL自動運転システム」と名付けられたコンセプトを発表したのは、スタイリッシュなデザインでだれもが手軽に操作できる電動車いすを開発するWHILL(ウィル)。斬新なアイデアによって世界中から幅広い支持と投資を集め、意欲的な活動を展開している、神奈川県横浜市に拠点を置くベンチャー企業だ。 多くの人が行き交う空港や大規模な商業施設では、手動、電動にかかわらず車いすユーザーは障害物や人との接触を避けながら、目的地までのアクセスを確認して移動しなければならない。とくに空港では、搭乗時刻が迫っている乗客などが小走りで移動したり、スーツケースやカートなども行き交うため、車いすでの移動は大きな心労を伴う。 今回WHILLが提案する自動運転の車いすシステムは、初めて電動車いすを操作するという方でも不安なく移動できるように設計されている。もともと直感的な操作によって移動できることが魅力だったウィル各モデルに自動停止機能が付き、ユーザーが認識しない障害物との接触を防ぐことができるようになっている。車いす利用者のさらなる増加が見込まれる空港においては、今後深刻な混雑が予想されているため、車いすの自動運転化はその有力な解決策としても注目を集めそうだ。 自動停止、自動運転を行うパーソナルモビリティは、周囲の歩行者との距離を計算、柱などの障害物を想定し、周囲全体を視野に入れる必要がある。この車いすには前方と側方を監視するためのステレオカメラが、左右のアーム部分に1個ずつ装備され、広い視野角度を実現している。後方にはセンサーが備わり、後退の際の衝突防止にも配慮。 周囲の状況を検知し、その情報とあらかじめ収集した地図情報を照らし合わせ、安全に自動走行を行う電動車いす。それぞれが通信回線を搭載することで、どの場所にどの車いすがあるかが常に把握でき、サービスの運用負担が大幅に軽減される。さらにユーザーが乗り終えると、自動で保管場所まで戻るため、回収にかかっていた人件費を減らすこともできるなど、導入、実用化のハードルを下げるための工夫が随所に施されている。 乗車しながら運転状況を確認できるタブレット端末や背面のスーツケース格納するアタッチメントが装着されたタイプ。提供される「車いすを自分がいる場所まで呼び寄せるアプリ」は、使用シーンに合わせて施設側が柔軟に改良することもできるという。 WHILLでは今後の展開について、3段階での進行を予定している。 【現在】ハードウェアとしての電動車いすと開発に必要なオプションやライブラリの提供が可能。自動運転システムを開発できるパートナー企業や、カメラやセンサーなどの研究を行う大学などへ、研究開発モデル「Model CR」として提供を行う。 【2020年の実用化】空港、商業施設、博物館や美術館、駅などにおいて、シェアリング事業を行うパートナー企業を想定。モビリティの提供および自動運転システムの開発はWHILLが行い、モビリティプラットフォームや支払いシステムなどの構築はパートナー企業が担当する。 【2020年以降の実現】モビリティの提供から、フロントエンドシステムまで、すべてWHILLが提供。自治体など特定のエリアにおいて、WHILLがシェアリング事業を行う。 WHILL自動運転システムは今回のCES 2019で、Accessibilityカテゴリーで最優秀賞を受賞するなど、大きな注目を集め、高く評価された。今後多くの空港での導入が見込まれ、オランダのスキポール空港やイギリスのヒースロー空港、アメリカのラガーディア空港においては、実用化に向けた検討がすでに開始されている。また、空港以外でも積極的な導入を目指しているWHILLでは、小田急グループやスポーツ施設、商業施設での実用化も順次進めていく考えを明らかにしている。 新しい移動のスタイルを提案するWHILLは、2012年5月に日本で創業し、2013年4月にはアメリカ、2018 年8月にはオランダに拠点を設立。世界全体で約200名のスタッフが、「すべての人の移動を楽しくスマートにする」ことを目標に活動している。 ...
On 2019年1月18日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 車いすユーザーにとって、旅行で気になるのがトイレと入浴。今日、バリアフリー化が進み「段差がない」、「手すりが設置されている」宿泊施設は多くなっているが、日頃から車いすで浴室やトイレにアクセスしている方にとっては、やはり心配の種だろう。 今回紹介する折り畳み式のバスチェアー「Wheelable(ホイーラブル)」は、そんな不安を解決してくれる製品だ。とても簡単に、コンパクトに折り畳むことができ、狭いバスルームやトイレ内でも移動することができるように考えられている。実際に座ってみると、動きの軽さに驚かされる。 また耐水性で汚れにくい樹脂製なので、ユーザーは水を気にすることなくシャワーを浴びることも可能だ。重さわずか12kg未満だが、体重130kgのユーザーでも使えるように頑丈に設計されているので、安心感も高い。 ところで、ホイーラブルがさらに優れているのは、通常のトイレ(洋式)で、便座に座り変えることなくそのまま使用できること。ホイーラブルがトイレに向かって後退し、トイレの上にそのまま覆いかぶさる格好で使用できるのだ。介助なしにシャワーやトイレを使用できる車いすで、これまで諦めていた旅行もずっと身近になるに違いない。 横幅わずか49cm 。バスルームやトイレなど、スペースの限られた屋内での使用がメインに考えられているので、通常の車いすと比べてスリム。コンパクトに折り畳むために、肘掛けも小さめだ。 座面は通常のものと、バス・トイレ用と簡単に交換が可能。簡単に水洗いできる材質で、サウナでの使用も考えられている。 折り畳んでみる。まずは両側の肘掛けを畳む。 次に背もたれを前に倒し込む。 一体化して薄くなった座面と背もたれを取り外して、タテにして左右両方の車輪の間に置く。 続いて、左右の車輪を外側から押して、本体をスリム化する。 これで軽々と持ち運びができるようになる。 折り畳んだ肘掛けを引き上げれば、キャスターが付いた旅行用スーツケースのように楽に移動させることも可能だ。折り畳んだ幅はわずか23cmという薄さで、 樹脂製のボディは11.6 kgという軽量ぶりだ。 輸送や預け荷物に便利な専用ケースも用意されている。 折り畳まれたホイーラブルを車いすに座ったままの状態で展開するデモンストレーション。... ...
On 2018年12月3日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan リヤから伸びてきた長いアームが車いすを運んでいき、ラゲッジルームに収納する。今回の会場でもっともインパクトのあった展示が、この車いす収納支援ロボット「ROBOT R11(ロボットR11)」だ。 自身が乗ってきた車いすを収納する場合、その場所はルーフの上か助手席、または後部座席が一般的で、ラゲッジルームに収納する場合は、介護者が行うのがほとんどだ。ところがこのロボットR11は、車いすから運転席に移乗したドライバーが、自分ひとりで車いすをラゲッジに収納できる。ダイナミックなアームの動きで見る者を魅了するロボットR11は、座席を車いすが占めることなく、また介助を必要とせず乗り降りできる優れものだ。 収納にかかる時間は約40秒。高度なエンジニアリングが生み出す独創的なムーブによって、それもずっと短く感じる。複雑な機構だが、信頼性の高さとメンテナンスコストの低さが特徴という。また、ロボットを搭載するために、クルマのボディを改造する必要はなく、簡単な取り付け作業だけで済むというのも大きな魅力だ。 リヤから伸びた長いアームが車いすをラゲッジルームに収納する。降車時には、運転席の近くまで収納した車いすを運んできてくれる。 ほとんどのタイプに対応し、普段使う車いすを収納可能。許容重量は最大25kgとされる。 収納のシーン。まずは、アームが車いすをつかんで持ち上げる。 アームの動きはいたって滑らかで、スムーズに車両後方に移動する。 ラゲッジの近くで車いすを回転させる。 ラウンドしながらラゲッジルームに収納する。 ロボットと車いすが共にラゲッジルームに収まる。メカはコンパクトで、ドライバーの後方視界も良好に保たれる。 このロボットを開発したMoshe Ofsek(モシェ・オフェック)さん。イスラエルのカイサリアにあるエンジニアリング会社TMNの代表でもある。 最初の試作品は15年前に完成したというこのシステム。オフェックさんは、「ある日、ひとりの男性が私のラボにやってきて、外から見て福祉車両だとわからないクルマを作れないか? と聞いてきたのがきっかけでした。いろいろ試行錯誤して、ようやくこのタイプにたどり着きました」と振り返る。屋根に収めるタイプだと、高さ制限があるパーキングなどで不便。また、後席に収納するタイプだと乗員が1人減ってしまうという理由で、採用を断念したという。「開発で苦労したのは、アームが長いので、風が吹いてきてもボディにぶつからないように強度を持たせることでした」と彼。また、「ロボットに複雑な動きを行わせるために400を超えるオペレーションを記憶させ、1万回を超えるテストを行いました。おかげで、ずいぶんと時間がかかってしまいました(笑)」と語る。 現在のロボットは3世代目で、小売価格はおよそ1万4000ユーロ。年間1000台以上のコンバージョンをしているというTMNだが、オフェックさんは「日本車はまだ経験がないので、ぜひやってみたいですね。今後は日本をはじめ、アジア市場に進出したいです」と意気込みを語る。 TMN公式ページ ...
On 2018年11月29日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan ヨーロッパを移動していて感じることは、「体の大きなひとが多い」ということ。REHACAREの会場でも、大柄なユーザーが多く来場し、彼らのための福祉機器も展示されている。とくに歩行が困難な方に向けた製品が目立つが、ここではその中から、ラージサイズの車いすを紹介したい。 現在日本国内で販売される車いすの多くは、耐荷重が100kgとなっている。これをオーバーする体重の方は、車いすを特注するほかはなく、否応なく出不精になってしまうのが現状だ。また重さだけでなく、座面や背もたれのサイズも小さすぎて、車いすを断念する場合もある。 ドイツのDIETZ(ディエーツ)は、高品質で安心して使えるラージサイズの車いすを製造、販売している。大柄な方、肥満の方が快適に座れるように、フレームやサイドパネル、クッションを中心に人間工学の見地から開発されていて、「横幅80cm」、さらに「最大250kg」の重さに耐えうる設計で、荷重による車いすの損傷を気にせず使用できる。頑丈に作られているが、フレームはアルミニウム製で重量が抑えられているのも特徴だ。 tauron rsi(タウロンrsi) とくに肥満症の方の使用に最適化されているタイプで、アームレストの位置を調整することによって、シートの幅を簡単に調整(+2cm/-7cm)することができる。そのため体重の増減などにも対応できる。 介護者用のハンドルがあり、ブレーキも装着されている。大きな重量に負けないようディスクブレーキとなっている。 出不精となると、体重の増加が進みやすい傾向があるため、自分のサイズに合った車いすは、健康維持に不可欠なアイテムといえる。 CANEO XL(カネオXL) ヘビーデューティーモデルながら、重量28kgと軽量で、幅わずか34cmにまで折り畳める。ISO 7176-19にも準拠し、旅客輸送用として承認されている。アクティブなユーザーにフィットする車いすだ。 座面はゆとりのサイズで、快適な移動はもちろん、長時間くつろぎながら座ることもできる。 DIETZの製品設計は、ドイツ北部にあるハンブルクで行われる。「自分たちはだれのために働いているのか」を常に意識し、コスト計算からではなく、必要な機能、品質を達成してからはじめて製品価格を決定するというこだわりぶりだ。 DIETZ公式ページ ...
On 2018年11月26日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 今日、福祉車両の主流は、リヤのスロープから電動ウインチベルトによって車いすを乗り降りさせるタイプ。体力に自信のない方でも介助を行えるとして、日本国内では広く人気を集めている。しかし、車いすを手動で乗車させることができるユーザーにとっては、もっと手軽で素早い乗り降りが可能だ。事実、ヨーロッパでは乗り降りを手動で行うタイプのスロープ仕様が多く販売されている。ここで紹介するのは、そんな手軽で素早い乗降をサポートする「車いすの固定ベルト」だ。 AMF PROTEKTOR(AMFプロテクター)は、福祉機器の大手AMF-Brunsが数多くの福祉車両に供給する半自動巻き取り式の車いす固定ベルト。その魅力は簡単で確実な操作感。「カチッ」とフロアのレールに取り付け、フックを引いて車いすにかけ、ダイヤルを回してベルトのたるみを取る、という一連の工程を素早く行えること。ベルトはセルフロック式で、自動巻取りの機能も備える。固定ベルトという1つのパーツであるが、実際に使ってみると、その使い勝手のよさに感心させられる。 ベルトでしっかりと固定される車いす。ヨーロッパでは手動ベルトの需要が高い。 車いす固定ベルト「AMFプロテクター」は、車いすを固定する際、ある程度までは自動で巻き取る「半自動巻き取り式」。 精度、剛性感が高く、フロアのレールにカチッと簡単に固定できる。 赤のレバーを押すと、ベルトをリリースできる。 横のダイヤルを回すことで、簡単にベルトのたゆみを取ることができる。固定までが非常にスピーディで使い勝手のよさが好評を博している。 ブースには、さまざまなタイプのAMFプロテクターが展示され、需要の高さをうかがわせる。 AMF-Brunsは、1970年に車いすと乗員のための4点固定システムを開発し、1975年からは衝突試験も行うなど、車いす車両技術の分野をリードする大手メーカーだ。 AMF公式ページ ...
On 2018年11月21日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 車いすユーザーにとっては、たとえ数センチの段差であっても通行に支障をきたすもの。そして無事に段差を通過できても、そのときに感じる「ショック」を不快に感じる人は少なくない。そんな悩みを解消してくれるのが、この「SOFTWHEEL(ソフトホイール)」。衝撃を吸収するための「サスペンション」機構がスポークの代わりに車輪に内蔵される画期的な車いすホイールだ。 段差が多い街中での使用をメインに考えられており、車いすの重量を増やすことなく快適性を向上できるように開発されている。車いすの多くには、メンテナンスが簡単でパンクの心配がないチューブレスタイヤが使用されているが、そのウイークポイントが「乗り心地」。柔らかい素材の採用で改善されてはいるものの、路面の衝撃をダイレクトに感じることに変わりはない。ソフトホイールは片輪に3本ずつ備えられたインホイールサスペンションが、タイヤから伝わる衝撃を効率的に吸収するように設計されている。腰や背中への不快なショックが大幅に緩和される。また、滑らかに動くサスペンションに対し、ホイールリムは強固に作られているため、ソリッドで正確なフィーリングがもたらされている。 目の前に階段状の段差がある状態。わずか数センチずつの段差だが、車いすで下りるとなると、ユーザーには不快なショックが伝わる。 デモンストレーションでは前輪を上げ、少し勢いをつけて下りていく。 一段ずつ下りるとき、本来伝わるはずの衝撃が、ホイールの中心から等間隔に設置された3本のダンパーによって優しく吸収されていく。ソフトホイールは、段差や階段、荒れた路面などで、あらゆる角度からの衝撃を吸収することができる。つねにソフトな乗り心地をもたらし、ユーザーはギャップを恐れることなく、アクティブな気持ちで車いす外出を楽しめるはずだ。 いくつかのタイプがあり、軽量のカーボンタイプも用意されていた。ブースを訪れ、その場で購入する来場者もいるようで、売り切れの製品も続出していた。 ソフトホイール社は、これまでにない高機能な車輪を開発するため2011年に設立。現在、北米およびヨーロッパの車いす市場を中心に販売を急拡大している。車いす以外に自転車のホイールも手がけており、メンテナンスが簡単ということで、自転車シェアリングサービスの分野にも積極的に進出する姿勢を見せている。同社では、あらゆる段差や路面状況で滑らかな乗り心地もたらすソフトホイールを今後さらに改良していく考えだ。 SOFTWHEEL公式ページ ...
On 2018年11月19日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 協力●MEGA WEB、トヨタハートフルプラザ東京 近年、数多くのモデルに設定される福祉車両は、高齢の方、歩行が困難な方の移動を快適にするべく、目覚ましい進化を続けている。そこで、福祉車両をタイプ別に分けて、その機能を解説しよう。 こんな方に: 常時車いすを使用する方、クルマのシートへの移乗が困難な方に適しているのが、車いすに座ったままで乗車できる「車いす仕様車(スロープ車)」。近年は急速に軽自動車のワンボックスモデルにもスロープ車が設定されるようになった。車いすのほか、ストレッチャー(寝台)で乗車できるタイプもある。 特徴: スロープ車は、電動ウインチで車いすを引っ張るタイプが主流で、ウインチの機械部分を小型化することによって室内環境の改善や、スロープの軽量化、傾斜角度の減少などの改良も積極的に行われている。このタイプはミニバンが多く、広い室内スペースによって、高い機能性と快適性を備えるモデルが多いのも特徴。また、最近では車いすを利用しないときに、ベース車とほぼ同じシートレイアウトが可能なタイプも増え、購入のハードルが大幅に下がっている。 購入の際の注意点: 駐車場や自宅の出入り口にスロープを展開する十分なスペースはあるか、実際に介助者が使用できるかなどを確認しておきたい。 まず、スロープを展開し、電動ウインチのフックを車いすにかけて、スロープを登っていく。乗車位置に到達したら車いすを固定する。 ※この車両は、トヨタ エスクァイア 車いす仕様車(スロープ)タイプ... ...
On 2018年9月26日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 協力●MEGA WEB、トヨタハートフルプラザ東京 近年、数多くのモデルに設定される福祉車両は、高齢の方、歩行が困難な方の移動を快適にするべく、目覚ましい進化を続けている。そこで、福祉車両をタイプ別に分けて、その機能を解説しよう。 こんな方に: 身体の不自由な方が自ら運転するために必要となるのが「運転補助装置」。もっとも多いのが、足が不自由な方が運転できるように手動でアクセルやブレーキ、ハンドリングなどが行える手動運転補助装置で、ドライバーそれぞれの障がいの部位や程度、さらには車種によって、機能や取り付け位置など細かな調整が行われる。これら運転補助装置が付いた「運転補助装置付車」は、その多くが、ひとりで車いすを収納することが可能なタイプを指す。ドライバーが安全、スムーズに乗り降りや運転操作を行えるように設計された福祉車両だ。 特徴: 運転補助装置には、手のみで運転操作できる「手動タイプ」、足のみで操作できる「足動タイプ」がある。右手だけで操作できるステアリング、前後の動きでアクセル/ブレーキ操作ができるレバー、さらにはステアリング操作を行えるペダルなど、ユーザーに合わせて多種多様な装置があるので、販売店で相談したい。また、「運転補助装置付車」は、車いすの収納と運転席への乗り込みが快適に行えるものが多く、ルーフの上もしくはラゲッジに、車いすを電動で持ち上げて収納するタイプが主流となっている。 ステアリンググリップなどの手動運転補助装置が取り付けられたステアリング。どの種類の装置が必要かは、免許センターで行う「臨時適性検査」で決定される。グリップだけでもさまざまな用途、形状のものがあり、セッティングは、ドライバーに合わせたセミオーダーメイドとなることが多い。 購入の際の注意点: 運転補助装置での運転に慣れておくことは大前提として、車いすの収納、乗り降りに関する注意点も少なくない。車いすから乗り込む場合、「運転席への移乗がスムーズか?」、「車いすの積み下ろし操作に無理はないか?」、「安定した運転姿勢を保つことができるか?」などを確認したい。ルーフ上の収納ボックスは横にスライドするので、操作を行うときは十分なスペースを確保する必要がある。ちなみにルーフ上のボックスに車いすを収納するタイプのほか、運転席に座りながら自分で持ち上げて、助手席に積み込むタイプの運転補助装置付車もあるので、もっとも適したタイプを選びたい。また、折り畳み式の電動車いすに対応しているモデルもある。オーダーの内容によっては時間がかかる場合もあるので、事前に納車時期を確認しておこう。 自分で車いすを収納する... ...
On 2018年9月15日 / By wpmaster2017年、日本国内の新車販売台数でナンバー1となったホンダ N-BOXシリーズから福祉車両が登場。今回は「N-BOXカスタム G・スロープL Honda SENSING」を試乗。実際に車いすで利用してみて、その実力を全方位的にチェック。 関連記事:ホンダN-BOX福祉車両の進化を体感する! ...
On 2018年8月31日 / By wpmaster文●Believe Japan 写真●Believe Japan、ホンダ 2017年、日本国内の新車販売台数でナンバー1となったホンダN-BOXシリーズは、軽自動車の新車販売では3年連続首位に輝いている。そんな大人気モデルに新しく設定された福祉車両も、2018年4月の登場以来大きな注目を集めている。今回はその実力を、全方位的にチェックしてみようと思う。 車いすで乗車される方に「快適である」ことは当然のこと、介護する方にも「我慢してほしくない」。そんな思いで開発された福祉車両が、ホンダ N-BOX、N-BOXカスタムのスロープ仕様車だ。開発当初から「スロープ仕様」を想定してデザインされたというだけあって、日常使い(4人乗車)、介護(車いす乗車)のどちらにも簡単に素早く対応できるのが魅力だ。 試乗したのはN-BOXカスタム Gのスロープ仕様。標準車同様のボディカラーやオプション装備が選べるのはうれしい。 研ぎ澄まされた使い勝手 まずは車いすで乗り込んでみて、実際の使い勝手をたしかめてみた。 N-BOXスロープ仕様車最大の注目点はラゲッジルームのフラットな床板、引き出せばそのままスロープになるという新開発の「スーパーフレックススロープ」だ。扱いやすさの改善を目指し、先代の「N-BOX+の車いす仕様車」と、比べ、スロープを約4.5kg軽量化し、単体でおよそ2.5kgという驚きの軽さを実現している。腕力に自信のない人でも、簡単に扱うことができる。 そして「4人乗車モード」から「車いす乗車モード」への切り換え手順が大幅に簡略化されたことが見事だ。なんと、これまでの「半分以下」の手順で完了するのだ。実際に行ってみると、レバーなど各部品の精度が高く、直感的に操作できるなど切り換えの簡単さを実感できる。車いす乗車をする方はもちろん、介護者の負担も少なくしようとする開発陣の意気込みが伝わってくる。 「4人乗車モード」から「車いす乗車モード」への切り替え ヒモを引き上げ、後席シートを前に倒す(左上)→ スムーズに折り畳まれる。平らで広々としたフロアとなる(右上)→フロアのパーテーションボードを取り外す。ここに車いすの前輪が入る(左下)→... ...
On 2018年8月28日 / By wpmaster© 2016-2020 Believe Japan, Inc. All rights reserved.