文と写真●Believe Japan 2025/11/18(火)配信 日本最大の福祉機器展「H.C.R.(国際福祉機器展)」に今年も行ってきました! ここでは自操式運転補助装置で有名なFUJICONが提案する、車いすユーザーがひとりで車いすの収納、運転ができる室内クレーン仕様車をレポートします。 福祉車両の運転補助装置を語るうえで、FUJICON(フジコン)の名を知らない人はいないだろう。ハンドコントロールレバーやステアリングノブなど、自操式運転補助装置の分野で開発と実装を続けてきた老舗メーカーは、今回ホンダ フリードをベースにした室内クレーン搭載モデルを出展した。 フリードはリヤが電動スライドドアとなっており、そこにアクセスできる車内収納用クレーンを装着。これは、車いすユーザーが介助の手を借りずに自分の力で車いすを車内に収め、運転できるようにするための装置だ。 車いすユーザーの「自分で積み、自分で走る」を実現 クレーンは、Bピラーの内側やルーフフレームにボルトで固定されるため、ユーザーの乗車姿勢や車種に合わせてアームの長さや角度を調整するオーダーメイドとなる。モーター駆動によって車いすを吊り上げる一方で、アームの回転操作は手動とし、軽量でシンプルな仕組みを実現している。最大引き上げ能力は最大30kgで、一般的な手動車いすであれば十分に対応可能だ。 実際の操作手順も明快。ユーザーは車いすで運転席横に進み、シートへ移乗。運転席後方に設置されたクレーンアームを外側へ回転させ、車いすをワイヤーフックで固定する。その後、リモコンのスイッチを押して電動モーターが車いすをゆっくりと吊り上げ、アームを室内側に回転させて収納。この一連の動作がひとりの力で、安全かつ短時間で完結するように設計されている。 従来、車いすを運転席から自力で収納するには、車いすを持ち上げて体の前を通して助手席側に置くタイプや、リフトで車いすを吊り上げて、ルーフ上部に設置された収納ボックスに収めるものなどがあった。ユーザーにとっては、車いすを自力で引き上げて横に移動させたり、大がかりな装置によってコストが高くなったり、また収納までに時間を要するなどの負担があった。今回のFUJICONの装置は、運転席の後ろへ自然かつ短時間で引き込む方法を模索。この商品が誕生した。 ヨーロッパでは以前から同様の室内リフト装置が存在するが、構造がやや大掛かりでコスト面でハードルが高いケースも多い。FUJICONの室内クレーンは、そうした海外製品に比べて小型・軽量・実用的で、日本のユーザーの生活環境に寄り添った提案として注目を集めそうだ。価格は32万円~。 運転席には、同社が長年改良してきた自操式運転補助装置が搭載されている。運転者の身体特性に応じて調整、レイアウトが可能で、操作時の負担を最小限に抑えながらも、「自分で運転している」という実感が持てるように設計されている。 少数精鋭のエンジニアを擁するフジオートは、1970年代から福祉車両の開発、改造に携わってきた国内有数の専門メーカー。FUJICONのブランド名のもと、ハンドコントロールをはじめアクセル・ブレーキ補助、スロットルモジュール、車いす昇降装置など、多岐にわたる製品を自社で設計、製造しており、各製品はすべて国内の道路交通法および車検基準に適合する形で開発されている。安全性と信頼性でユーザーから支持され、多数の納入実績を持つ。今回の室内クレーン搭載モデルは、長い経験を背景に「自分の力で移動したい」というユーザーの願いを現実的に叶える1台となっている。 ...
On 2025年11月18日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 2025/11/14(金)配信 日本最大の福祉機器展「H.C.R.(国際福祉機器展)」に今年も行ってきました! ここではトヨタ アルファードの新しいリフトアップシート(開発中)をレポートします。 今回のトヨタブースでは、開発中の「リフトアップシート コンセプト(2モードタイプ)」を装着したアルファードを発見。これは「助手席リフトアップシート車」(助手席が電動で回転し、車外へ大きくスライドダウン。車いすからの移乗をスムーズにするタイプで、現在はルーミーに設定)と、「リフトアップチルトシート車」(シートが電動で回転して車外へスライドダウン&チルト。立ち上がりや着座をサポートする仕様で、助手席タイプはノアとヴォクシー。サイドタイプはアルファードに設定)の機能をひとつにまとめたもの。 具体的に言うと、現状では高齢の方など足腰に不安があるけど、車いすを使うほどではない方にはチルトシート車。対して車いすの方にはリフトアップシート車の2タイプを用意されているわけだが(助手席ターンチルト車をのぞく)、この2タイプの機能がひとつのシートで実現しようというのが、この2モードタイプというわけだ。 このシートの複雑な動きをひとつのシートで実現できた理由は「リフトアップユニットの薄型化」。現状はリフトアップユニットとチルトユニットは別々なのだが、リフトアップユニットの薄型化することで、2つのユニットをひとつシート下に収めることに成功。ちなみに、シートクッション厚などは従来のままで、乗り心地の悪化はないとのこと。 トヨタでは、チルト/リフトアップの2モードタイプはアルファードのようなスライドドア仕様の車に。またリフトアップモードはさまざまなクルマへの装着をイメージしているという。これは長年福祉車両と向き合っているトヨタらしい、画期的な装備になると思った。正式デビューに期待したい! ...
On 2025年11月14日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 2025/11/3(月)配信 日本最大の福祉機器展「H.C.R.(国際福祉機器展)」に今年も行ってきました! ここではトヨタ ノア/ヴォクシーに新たに登場した「ショートスロープ」をレポートします。 現行モデルである3代目シエンタが登場した2022年7月、数あるビリーヴカー(福祉車両)のなかでも画期的といえる1台が加わった。それが「ショートスロープ」だ。このモデルは、車いすの乗り込み時間を大幅に短縮できることから、頻繁に車いすユーザーの送迎を行うデイケアサービスなどで大活躍すると期待がよせられてた。その後、予想どおりプロユースで重宝されることになったわけだが、同時に一般ユーザーの関心も大きく集めることになったという。 そして、今回ノア/ヴォクシーの一部改良(2025年9月2日)の際、「ショートスロープ」が加わったわけだ。対象となるグレードは「ノアタイプI、タイプII(サードシート付き)」、「ヴォクシータイプI(車いす1名仕様)」となる。 車いすを乗せるときに、30%ラクになった 今回ノア/ヴォクシーの「ショートスロープ」は、新たに2段折れのパネルを採用したことがシエンタとの違い。パネルを2段階に展開することによって、後端の高さを150mmにおさえることとなり、乗降時の介助者の負担をより低減することにつながっている。具体的には、スロープに前輪を乗せた後、後輪を乗せるときの力を30%ほど低減することに成功したという。 また、乗降時の作業を手動で行うことに不安なひとに対して、電動ウインチも装着可能(メーカーオプションで設定)。一定の距離をアシストしてくれる「自動モード」も加わった。さらに、リモコンを持ちながら車いす乗車を行う不安を解消するために「リモコンをホルダー」も追加。これはホルダーにリモコンを固定させることで、両手がふさがらずより安心して乗降作業をアシストすることができるようになった。 シエンタの「ショートスロープ」はトヨタとして初の試みであり、プロユースを想定していたが、思いのほか一般ユーザーからの問い合わせが多いことから、今回ノア/ヴォクシーにも車種を拡大したという。 ...
On 2025年11月3日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 2025/10/27(月)配信 欧州最大の福祉機器展「REHACARE(リハケア)」に、今年も行ってきました! ここでは、車いすを一瞬で車両に固定してしまうDAHL ENGINEERING(ダール・エンジニアリング)のドッキングシステム、その最新技術をレポートします。 乗車時の車いす固定に煩わしさを感じるユーザーは少なくない。それをシンプルかつ確実に解決するのが「ドッキングシステム」だ。長年にわたって車いすと車両を安全に接続する技術を磨いてきたヨーロッパ屈指の専門メーカー、DAHL ENGINEERING は、欧州各国の自動車メーカーとも数多くの共同開発実績を持つ。ドッキングシステムの中核は、高強度スチール製のロックユニットと精密なセンサー群。車いす下部のアタッチメントをセンサーが認識すると、自動的に位置を補正し、一定以上の荷重を感知した時点でロックが完全固定される仕組みだ。驚くべきは、この一連の動作が電気的制御ではなく完全な機械構造によって実現されている点。そのため停電やシステム異常が起きても、手動で確実に解除できる設計になっている。また、寒冷地や高湿度などの厳しい環境下でも長年使用されており、耐腐食性とメンテナンス性の高さが実証済みだ。こうした「信頼できる品質」こそが、DAHLブランドの代名詞であり、リハケアの会場でも常連メーカーとして常に注目を集めている。 あらゆる車いすに対応する新技術「MADS」 今回の展示で話題をさらったのが、DAHLが新開発した車いすとドック(受け側)の間に入るアダプター「MADS(Multi Adjustable Docking System)」と床面に設置されるドックの「VarioDock」。MADSは車いすを接続するためのアダプターのようなもので、さまざまな車いすの形状に合わせて、取付角度や高さ・長さを機械的に微調整できるのが特徴だ。従来はドッキングシステムの対象外とされてきた折りたたみ式や手動式の車いすにも対応できる。一方のVarioDockは、モーター駆動による高さ調整機能付き(61~91mmの範囲で可変)で、地上高が異なる車いすの場合でもスムーズに固定できるというもので、この2つの組み合わせで、ほぼすべての車いすを素早く車両に固定することができる。従来の4点ベルト式リトラクターシステムに比べて、固定作業時間は約75%短縮されるという。 MADSブラケット部分は工具不要で取り付け・取り外しができ、折りたたみ式車いすでも日常的に使いやすい設計となっている。日本では軽量な手動式車いすを日常的に使うユーザーが多く、とくに都市部では折りたたみ式の需要が高い。そのような利用環境でも、自分の車いすをそのまま愛車にドッキングできるMADSは、手軽で安全な乗降を実現する革新的技術として大きなニーズが期待される。 VarioDockはまた、車両内で自由に動かしたり脱着したりできる3点式シートベルトを内蔵するタイプの座席にも対応しており、自在に車いすと座席を簡単に入れ替えることができる唯一のシステムでもある。 高い可変性を実現するためには、可動部分のガタつきを最小限に抑えつつ、固定後も十分な強度と安定性を保つ設計が求められる。DAHLはこの課題に対し、可変部材やロック機構に独自の工夫を加え、長期使用にも耐える構造を実現している。このMADS独自の構造は現在特許出願中であり、製品化への期待が高まっている。 DAHL ENGINEERINGは、1987年にデンマークで創業した老舗のモビリティ技術メーカーである。車いす固定システムや車載安全技術を専門とし、欧州の主要自動車メーカーとの技術提携を多数行ってきた。同社の製品は、ドイツのTÜV(テュフ)認証をはじめ、欧州規格ISOおよびクラッシュテスト(衝突試験)をクリアするなど、国際的にも最高水準の安全性を誇る。さらに、DAHLのシステムは単なる製品ではなく、モジュール式の安全プラットフォームとして設計されており、車種や車いすのタイプに応じて柔軟にカスタマイズできるのが大きな特徴だ。メーカーごとに適合した車いすモデル一覧を公開するなど、ユーザーが自由に車を選べる環境づくりにも力を入れている。 ...
On 2025年10月27日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 2025/10/22(水)配信 欧州最大の福祉機器展「REHACARE(リハケア)」に今年も行ってきました! ここでは「ジョイスティックでクルマを自在に操る」未来的な運転システムの「Space Drive」をレポートします。 ジョイスティックで操る「走る自由」 ジョイスティックでクルマを自在に操る。その革新的な操作性に、多くの来場者が足を止めていたのがPARAVAN(パラバン)のブースだった。ここで展示されていたのは、手もとの小型ジョイスティックで走行・停止・旋回を制御できる車両。PARAVANが誇るドライブ・バイ・ワイヤ技術を用いたシステム、「Space Drive II」だ。ドライブ・バイ・ワイヤとは、従来のようにステアリングやペダルをワイヤーや油圧で直接つなぐのではなく、電子信号によって制御する方式。ジョイスティックや音声、アプリ操作によって車両のすべての動きを電気的に操ることができる。 電気信号で「走る・止まる・曲がる」 通常のクルマは、ステアリングやブレーキが機械的に接続されているが、Space Driveではそれらをすべて電子信号で制御。ドライバーのわずかな操作が瞬時に信号へ変換され、モーターがブレーキやステアリングを正確に動かす。操作のインターフェースはジョイスティックだけでなく、小型のタッチパッドや回転ノブ、音声入力装置などにも対応する。小さな力しか出せない人でも運転操作をスムーズに行えるように設計されており、「すべての人に移動の自由を」という理念を体現している。PARAVANの車両にはステアリングも備わっているが、ジョイスティックのみで操作することも可能。ドライバーの身体の状態に応じて、従来のハンドル操作とジョイスティック操作を選べる柔軟性もSpace Driveの大きな魅力だ。 安全性を支える制御システム Space Driveは、ブレーキ及びステアリングを常時監視し、異常を検知した場合には自動的に安全モードへ切り替わるシステムである。担当者は「3重の制御ユニットで構成されており、ひとつが故障しても残り2つが即座に補完する」と説明する。これこそが本システムにおける安全性の中核となっている。PARAVAN社のSpace Driveは、2000年代初頭に登場したドライブ・バイ・ワイヤ技術の先駆者である。初期モデルは試作段階であったが、改良を重ね、第2世代の「Space Drive... ...
On 2025年10月22日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 2025/10/20(月)配信 欧州最大の福祉機器展「REHACARE(リハケア)」に、今年も行ってきました! ここでは、車いす対応にカスタムされたID. Buzzをレポートします。 メーカーではなく、カスタムビルダー 「REHACARE 2025」の広い会場でひときわ大きな注目を集めていたのが、ドイツ西部ノルトライン=ヴェストファーレン州に本拠を置く Sodermanns Automobile(ゼーダーマンス・アウトモビーレ) のブースだ。中央にはフォルクスワーゲンの電動ミニバン「ID. Buzz」をベースにした車いす仕様車が展示され、周囲にはひっきりなしに来場者が集まっていた。 Sodermanns Automobileは、ドイツ国内でも屈指といえる福祉車両のカスタムビルダーだ。特徴的なのは、自社で製品を製造するのではなく、各メーカーの装置を組み合わせ、個々のユーザーに最適化した車両をコーディネートしていくことにある。 Sodermanns Automobileが車いす仕様車として提案しているのは、電動展開スロープ、床面の低床化、センサー連動の車いす固定システム、電子制御ハンドコントロールユニット、回転・昇降式シート、スロープとスライドドア動作の同期、電源強化および複数装置を制御するコントロールユニット、ジョイスティック・呼吸スイッチ等の補助操作インターフェース、フットスペースの拡張、ペダル配置の調整、視界補助カメラ、障害物検知センサー、介助者の操作簡略化機能(プリセット動作)、内装最適化(手すり、滑り止め床材、収納)などと非常に多岐にわたるが、今回展示されたID. Buzzにはその多くが装備されている。まさにフルコーディネートされた究極の車いす仕様車と呼べる1台だ。 なお、Sodermannsでは車両のカスタムだけでなく、運転免許の取得支援や助成金の申請手続き、購入後の乗り心地調整対応、そしてアフターメンテナンスまでを一貫してコーディネートしている。 欧州と日本における福祉車両の違い 欧州では、ユーザーそれぞれの身体条件や生活環境に合わせて装備を柔軟に組み合わせる「コーディネート」が主流だ。Sodermanns... ...
On 2025年10月20日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 2025/10/11(土)配信 欧州最大の福祉機器展「REHACARE(リハケア)」に今年も行ってきました! ここでは折りたたみ式電動車いす VOLKS ROLLI(フォルクスロリ) をレポートします。 軽量かつ折りたたむことができる Fellerhoff MED TEC(フェレルホッフ・メドテック)が開発したVOLKS ROLLIの最大の特徴は、電動車いすながら折りたたたむことができ、その状態でも電動で車輪を動かすことできることだ。ん? どういうこと? と思うかもしれないが、そのメリットは、ハッチバックのフォルクスワーゲンゴルフに装着されたスロープを登っていくVOLKS ROLLIの写真をみればわかるだろう。つまり、車両積載時に折りたたんでコンパクトになった車いすを、スロープを使ってスマートにラゲッジに収納することができるというわけ。車いすを車両に積み込むのは非電動でも面倒な作業で、重量が増す電動車いす場合はなおさら。そして、車両への積載もミニバンタイプじゃないと難しかった。その意味で、この製品は革新的といえる。 VOLKS ROLLIの本体重量はわずか28kgで積載荷重は150kg。最高時速は6km、航続距離は24kmを誇る。バッテリーはフレーム左右にそれぞれ収められているのが特徴。そして、折りたたみ機構もシンプル! アームレストは跳ね上げ可能でフットレストも収納できるため、クルマはもちろん電車移動も可能だ。使いたい場所へ持ち運ぶことができる。 操作はジョイスティックによる前後左右のコントロールで、操作感は軽く直感的。座面の高さ(55~59cm)や幅(49~59cm)は調整可能で、ユーザーの体格や好みに合わせられる。「だれもが気軽に持ち運べる電動車いすをつくる」というメーカーの理念が細部にまで反映されている。 未来のスタンダードへ ドイツ西部のボーフムに本社を置く医療機器メーカー Fellerhoff... ...
On 2025年10月11日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 2025/10/6(月)配信 欧州最大の福祉機器展「REHACARE(リハケア)」に、今年も行ってきました! ここではあらゆる車種に対応する老舗メーカーの運転補助装置をレポートします。 リングを押すとクルマが加速し、ドライブフィールも自然 70周年を迎えた運転補助装置メーカー KEMPF(ケンプフ)。ブースの主役は、同社を代表するデジタル・アクセラレータリング「DARIOS(ダリオス)」だった。展示されたメルセデス・ベンツ Cクラスのドアを開けると、ステアリングの内側にリングが取り付けられているのがわかる。 「足を使わなくても、こんなに自然にアクセル操作ができるんだ」。操作を試した来場者が思わず声を上げる。リングを押す力加減で加速をコントロールでき、手だけで運転しても違和感は少ない。まるで通常のアクセルを踏んでいるかのようだ。ブースの担当者は次のように説明する。「DARIOSは車両のECU(電子制御ユニット)と直接つながっています。だからレスポンスが正確で、従来の補助装置にありがちな“もたつき”がありません。ハンドルを握ったまま直感的に操作でき、純正アクセルに近いフィーリングを実現しています」。実際に車内をのぞくと、DARIOSはインテリアに違和感なく組み込まれ、まるで純正装備のよう。少し触れただけでも、その高いクオリティが伝わってくる。 片腕・片足で操作できる装置 KEMPFでは、DARIOSのほかにも身体的制約があるドライバー向けに多様な装置を提供している。そのひとつが「PICADO(ピカド)」。片腕での運転を想定したステアリングノブで、このノブからウインカーやライトなど最大16種類の車両機能を操作でき、安全で快適な運転を実現する。また(写真はないが)、右足に障害があるドライバーには「Electronic Left Foot Accelerator」が用意される。左側に新しいアクセルペダルを設置し、ブレーキはそのまま使用。スイッチで「右足アクセル/左足アクセル」を切り替えられるので、家族などが運転する場合も安心だ。 国内での可能性 日本国内でもホンダが自走車両向けに運転補助技術を提供しており、車両と一体化した安心感ある操作性を実現している。一方、KEMPFは多様な車種に対応する改造型の補助装置として、自然で違和感のない操作感を実現している点が特長だ。KEMPFはフランスにルーツを持ち、創業70年以上の歴史を誇る。とくに運転補助装置の分野では40年以上の実績を持つスペシャリストである。現在ではフランス本社に加え、ドイツやアメリカにも拠点を展開し、世界中のドライバーに「自由な移動の可能性」を届けている。現時点では左ハンドル車のみの設定だが、その自然な操作感や幅広い車種への対応力を考えると、日本市場での導入も大いに期待される。高齢化や身体に制約のあるドライバーが増えるなか、KEMPFの運転補助装置は、より多くの人々に「運転の自由」を届ける存在となるだろう。 ...
On 2025年10月6日 / By wpmaster文⚫︎Believe Japan 写真⚫︎川崎泰輝、ダイハツ 2025/9/12(金)配信 2003年の初代発売以来、シリーズ全体の累計販売台数300万台(2025年5月末時点)を突破している人気モデル、ダイハツ タント。全高1700mm以上のスーパーハイト系という新たなジャンルを確立し、開口部が大きなミラクルオープンドアなどによって、独自の優れた機能性をアピールしてきた。 そして、初代タントから設定される福祉車両も高く評価され、軽自動車ベースの福祉車両を代表する存在となっている。軽福祉車両においてダイハツは46%のトップシェアを占め、そのうち約8割がタントシリーズ。中でも「タントスローパー」は3039台(2024年度)を販売し、累計販売台数が5万3873台(2025年6月末時点)に達する中心モデルだ。ここでは、その人気の理由を探ってみたい。 車いすユーザーの日常にマッチする機能性 タントスローパーは、実際に使用する場面での使い勝手の良さが追求されている。車内はフラットフロア設計と広い開口部を採用し、快適な居住性を確保。また、福祉車両開発担当がベース車両段階から関与する開発体制を採用していて、「福祉車両としてのタント」との姿勢が伝わってくる。その最大の特徴は、バックドアとほぼ同じ長さの短く軽量なスロープを片手で持ち上げ、ワンタッチで固定できる点にある。一連の操作が悩まず直感的に行えるのだ。スロープの短さは、乗降場所を容易に確保できるという大きな利点をもたらし、特に市街地においては場所選びの大きなストレスを感じることなく乗り降りが期待できる。 そして、タントの代名詞ともいえるミラクルオープンドアは、ピラーをドアと一体化することでセンターピラーを排除。助手席もロングスライドでかなり前に移動できるので、乗車している車いす利用者へのケアは非常に簡単で快適だ。さらに後席のベンチシートは簡単に取り外しが可能で、車いす乗車時の足元空間を大幅に拡大したり、リクライニングタイプの車いすでも快適に乗車でき、大きめの荷物にもすぐに対応できる。「これは便利だろうなぁ」と思えるシーンがいくらでも思いつく。そういった実際の使い勝手を考え抜いた作りがタントスローパーの人気の秘訣だろう。 リトラクタブルスロープ ワンタッチでロックを解除して片手で簡単に前倒しできるスロープにより、フラットで大容量の荷室として、大きな荷物や自転車なども運べる。また、4人乗車をしながら車いすを折り畳んで収納したり車いすを使用しないときは、標準車に近い感覚で利用できる。 ミラクルオートステップ 助手席ドアとスライドドアの開閉に連動して電動で展開するミラクルオートステップは、助手席と後席の両方をサポートし、あらゆる角度からアクセスができる。両足を余裕をもって乗せられるので、安全で安心感のある乗り降りが可能となる。 このほか、ベルトロックの解除やベルト調整が素早くできるリトラクタ(自動巻取り)式の車いす固定ベルトや乗り降り用取っ手のラクスマグリップなど、使い勝手を考慮した装備も充実している。 実際の使い勝手やインプレッションは、こちらの動画で! 【ダイハツ タントスローパー カスタムRS】竹岡 圭のビリーヴカー インプレッション... ...
On 2025年9月12日 / By wpmaster2025/9/4(木)配信 日産自動車と日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社は、10月8日(水)から10日(金)までの3日間、東京ビッグサイトで開催される「H.C.R.2025第52回 国際福祉機器展&フォーラム」に、ライフケアビークル(福祉車両)を3台出展すると発表した。 日産自動車グループは、福祉車両を「ライフケアビークル」(LV:Life Care Vehicles)と呼び、個人ユースから施設利用まで対応する、幅広いラインアップを取り揃えている。 今回の国際福祉機器展&フォーラムでは、移動時の快適性を追求した人気のミニバン「セレナ」がベースの2種類の車いす仕様車と、主に福祉施設や病院の送迎用として活躍する「キャラバン」の車いす仕様車の計3台を出展。「セレナ チェアキャブ リフタータイプ」には、助手席スライドアップシートや、助手席と助手席側スライドドアとで乗降時に同時に使えるロングステップなど、車いす以外での乗降をサポートするアイテムも装着し、「セレナ」LVシリーズのさまざまな機能や装備が試せるという。 出展車両一覧 セレナ チェアキャブ スロープタイプ 車いす2名仕様 セレナ チェアキャブ リフタータイプ ※助手席スライドアップシート、ロングステップ(いずれもオプション)装着車 キャラバン チェアキャブ... ...
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