文と写真●Believe Japan
ドイツのデュッセルドルフで毎年開催される欧州最大の福祉機器展「REHACARE(リハケア)」。今年も39カ国から780社が出展し、約4万人の来場者を集めて盛り上がりを見せた。ここでは会場で見つけた個性的な製品を紹介していきたい。第1回目は、車内や機内にも持ち運べる折り畳み式電動スクーター、Movinglifeの「ATTO(アットー)」だ。
ATTO(アットー)は、MovingLifeの創設者であり、自身がポリオ(急性灰白髄炎
)患者でもあるニノ ローゼンベルク(Nino Rosenberg)氏によって開発された電動スクーターだ。活動的で旅行好きなローゼンベルク氏は、歩行が困難なひとの移動が制限されている社会の状況に日々憤りを感じていたという。公共交通を利用する際の煩わしさや困難は、精神的、物理的な壁として自由な移動を妨げる。そして、その状況を打開するような製品は見つからなかったなかったという。
ローゼンベルク氏が海外を旅行するとき、とくに空港で不便に感じていたのが、預けた電動スクーターが飛行機の貨物として出てくるのをひたすら待たなくてはいけない時間だった。そこで、小さくて簡単に折り畳みができれば「客室に持ち込める」と考えたという。そのアイデアを5年前にカタチにしたのが、このATTO。「ドライブモード(Drive Mode)」でもコンパクトではあるが、ボディを2つに分割する「スプリットモード(Split Mode)」では、ハンドルを中心とした部分(12.0kg)と座席を中心とした部分(16.2kg)に分けることができ、車への積み下ろしや収納にも便利だ。また座席の高さやハンドルの高さも簡単に調節でき、USBの充電ポートを備えるなど、高い機能性が光る。それに加え、引いて歩行する「トローリーモード(Trolley Mode)」では小型のスーツケースに見えるスタイリッシュなデザインで、気後れすることなく飛行機や列車に乗りこむことができそうだ。ATTOは、アメリカ食品医薬品局(FDA)とEU (欧州連合) の認証を取っているということで、安全性の高さもアピールしている。ちなみにMovingLifeはイスラエルのメーカーで、本社はテルアビブ、製造もイスラエルで行われている。
ところで、電動車いすや電動スクーターに乗っていると、タクシードライバーから敬遠されがちだが、MovingLifeでは「素早くコンパクトに折り畳まれたATTOではそのようなことはありません」としている。
目の前で簡単に展開を見せてもらい、実際に試してみた。スタイリッシュな見た目の折り畳み式電動スクーターは、操作感が「カチッ、カチッ」と決まって安心感がある。
こうして折り畳むと、機内にも手荷物として運ぶことができるという。キャリーも剛性感があってスムーズに動かすことができる。 (編集部注:機内への持ち込みについては航空会社へ要確認)
簡単に2つに切り離すことができて、持ち運びやすく狭いラゲッジスペースや座席後ろのスペースにも置けるようになっているという。
前輪で駆動する。
最高速度は6.5km/ hで、細かく制限速度を設定することができる。
杖を置くスペースも用意されている。
このレバーを引くことで簡単に折り畳める。状況に合わせてすぐに対応できるので、移動のストレスが大幅に軽減されるだろう。
ATTOの販売価格は国ごとに異なり、3000~4000ユーロ(2017年11月現在およそ39万5000円~52万6800円)。現在は欧州をはじめアメリカ、シンガポールを中心に展開しているが、残念ながら日本では販売されていない。
MovingLife ATTO
高さ×横幅×奥行き(トローリーモード):72cm×42cm×39cm
高さ×横幅×全長(ドライブモード):90cm×56cm×120cm
最大ユーザー重量:100 Kg
バッテリー:48ボルトリチウムイオンバッテリー 4~5時間の充電で16 km走行可能
最高速度:6.5km/ h
モーター:DCモーター
充電器:110-240V AC 小型でスマートで強力
シートの高さ:地面から56~61cmの高さで3段階で調節
ロードクリアランス:10cm
後退:可能
警報装置:有
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