文●Believe Japan 写真●Believe Japan、VIPAMAT
すべてのひとが「自由な意思で生活できる」ことをメインテーマとするREHACARE(リハケア)だが、「モビリティ(移動)」に関する展示は数が多く注目度も高い。毎回、より豊かな生活を送るための斬新なアイディアやアイテムが数多く展示されている。
今回も車いす、電動車いすなどの展示がかなりのスペースを占めていた。その中で、ひときわ明るくスポーティな雰囲気のブースを発見した。展示されている車いすには、丸くて柔らかそうなタイヤが装着されていて、まるでスポーツバギーのようだ。そんな個性的なルックスの車いすが、フランス企業VIPAMAT(ヴィパマ)の「HIPPOCAMPE(イポカンプ)」。
フランス語で「タツノオトシゴ」を意味するHIPPOCAMPEは、太めのゴムホイールやボール状のホイールを取り付けることで、砂浜の海辺やプール、砂利道、さらには雪に覆われたスキー場にも乗り付けて移動を楽しむことができる。まさに場所を選ばないオールラウンドな走破性を備えるアクティブな車いすだ。
自分で押しても介助の方に押してもらっても移動することができるHippocampeは、砂浜に車輪を取られず自由に移動でき、ビーチスポーツも楽しめるように作られている。またプールや海の浅瀬では水に浸かりながら移動することができ、少し降りて泳いでも、ゴムスポンジ状のタイヤは水に浮くので車いすを見失う心配もない。また、シートは水を吸収せずに素早く乾燥するタイプで、手触りのいい車輪は強い日差しでも熱を帯びない。
オフロードを走行することも可能で、勾配のきつくない場所ではハイキングも楽しめる。
さらに、車輪にスキー板を取り付けて、雪の上を移動することも可能で、活動的なユーザーをマルチにサポートしてくれる。
背もたれやタイヤを取り外して折り畳むことが可能で、専用のキャリングバッグに入れて簡単に持ち運ぶことができる。重量はおよそ17kgだ。
Hippocampeには、ユーザーやその家族から「アクティブなレジャーを積極的に楽しめるようになった」と喜びの声が数多く届けられているという。またFDA(アメリカ食品医薬品局)などの厳しい安全基準にもパスし、今日世界200カ所以上のビーチにHippocampeが配置されているという。価格は、スタンダードタイプでおよそ37万円ほど。日本での正規販売は行われていないが、個人で購入したユーザーがいる。
これまで道路から眺めていた海とは違って、砂浜まで降りて波を直接肌で感じることができる。Hippocampeはアクティブなモビリティをサポートし、諦めていた場所へのアクセスやレジャーを可能にしてくれるアイテムだ。快適な移動に加えて、心踊る経験をユーザーにもたらしてくれる。ほかのモビリティとはひと味違った視点で、ユーザの生活を明るくしてくれる車いすだ。
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