文と写真⚫︎大音安弘
2024/1/5(金)配信
欧州最大の福祉機器展「REHACARE(リハケア) 2023」が、2023年9月13日~16日の期間、ドイツ・デュセルドルフで開催された。今年の出展社は700社を超え、来場者の総勢が3万人となる盛況ぶり。その会場で出会った福祉車両やモビリティを紹介したい。
身障者ドライバーにとって、車いすの収納は重要だ。日本では、車いすを自身で持ち上げ助手席側に積み込む方を多く見受けるが、体力やコツが求められる。やはり安全かつ快適なのは、車いすの自動収納装置だ。いくつかタイプがあるが、運転席側後席に積載するタイプは、後席ドアの改造も必要。ルーフに設置した車いす自動収納装置では、キャビンやラゲッジスペースを有効活用できる反面、高さ制限がある道路や建造物ではデメリットに繋がることも……。それらの課題を解決する第3の選択として提案されたのが、ラゲッジスペースに収める車いす収納装置だ。
イスラエルのTMN社が開発製造する「R11ロボット」は、トランクやリヤラゲッジスペースに装着した格納装置が伸縮するアームによって運転席まで運ばれるシステム。格納時と取り出し時も操作は、ボタンひとつで完了。格納時と拡張時もいずれも作動時間は、約40秒とスピーディだ。
デモカーは、チェコの自動車メーカー「シュコダ」のCセグメントステーションワゴン「オクタヴィア コンビ」で、日本で販売される車両でたとえれば、VWゴルフクラスとなる。
デモンストレーションで驚かされたのは、そのスマートな動き。ラゲッジスペースに、横向きに収納した車いすを、運転席にまわり込ませたうえ、正しい向きに直して運転席脇まで運んでくれる。しかもアームの動きも滑らか。まさにロボットの名がふさわしいクレバーな動きを見せてくれた。
作動に必要なスペースは、周囲1mほど。後部はテールゲートおよびトランクの開口に必要なスペースと、横にフロントドアを全開にできるスペースがあればいい。車いすの重量は最大22kgまで対応可能だが、最大重量を30kgまで強化することもできる。そして、機能ではないが、装着車の外観上の変化はなくラゲッジスペースも活用できるため、家族との共用もしやすい。また愛車の乗り換えの際には、別車種への載せ替えにも対応しており、長く利用することができる。
対応車種は、トヨタカローラやVWジェッタなどのコンパクトセダンを始めとしたセダン形状のクルマから、SUVやミニバンなどまでと幅広い。ただし、SUVなど乗車位置が高いモデルでは、回転昇降機能付きシートなどの乗車補助装置と兼用すると、より使い勝手がいいようだ。日本の駐車場事情は狭いことがネックだが、車いす利用者の乗降には、基本的にはドアを大きく開けるため、問題なく利用はできそうだ。
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