文と写真●Believe Japan
電動車いすの制限速度は日本では時速6kmとなっているが、国が異なるとそれも変わる(時速10kmのアメリカやオーストラリア、時速20kmのスウェーデンなど)。今回のリハケアでは「高速クルージング」を可能にする電動車いすが注目を集めていたが、ここではそのなかから、毎日使っている車いすをわずか数秒でスポーティな電動車いすに変えてしまう、脱着可能なアイテム「e-pilot(eパイロット)」を紹介する。
eパイロットは車いすにドッキングするだけで、力強いモーター走行を可能にするもので、時速20kmで走らせることができる。たとえば屋外は電動で、目的地に到着したら手動式にと、簡単に切り替えられるのだ。
軽量、強固なアルミ製フレームは、高い水圧で膨張させて成形するハイドロフォーミング技術で作られている。一充電で最大50km走行できるeパイロットは、大容量のリチウムイオンバッテリーがコンパクトに収められていて見た目もスタイリッシュだ。また、取り付けられる車いすがスポーティなタイプであれば、オフロード走行も可能という。
eパイロットは、簡単なアタッチメントを取り付けることで幅広い車いすに対応している。ブースでは、自社の車いす「twion(トゥイオン)」に取り付けて展示されていた。スポーティなデザインのトゥイオンは、小型モーターで駆動し、走行をアシストする車いすだ。目的地までeパイロットのモーター走行で向かい、着いた後はトゥイオンの電動アシストで移動するというライフスタイルを提案していた。
eパイロットはシンプルな操作で車いすとの脱着が可能。
車いすにジョイントする。
eパイロットの角度を起こすとロックされ、車いすの前輪が浮き上がる。トラクションをeパイロットにかけるためだが、高速走行に適さない径の小さな前輪を地面に接触させないためでもある。
初めてでもスムーズに移動できる自然な感覚のeパイロット。安定感があって、同時に小まわりもきく。ここでは、以前紹介したサスペンション機構を内蔵した車いすホイールSOFTWHEEL(ソフトホイール)に取り付けられている。
手で車輪を回してきっかけを作ると、そのまま軽快に走るトゥイオンは、大きな力を必要とせずに時速10km程度での走行を可能にしてくれる。
時速20kmという高速移動に対応するため、車いすには転倒防止の補助輪が装着される。
マネージャーのMarco Schmidt(マルコ シュミット)さんは、「eパイロットの魅力はスピードだけではありません。車輪は大きく作られていて、小さな段差や縁石を乗り越えることができます。舗装されていない道や水たまりも問題ありません」と語る。
スロットルグリップは、速度感覚がつかみやすいフィーリングになっている。後退への切り替えもボタン操作で行える。
左側のレバーにはクラクションとライトのボタンがある。
eパイロットは、本体重量が18.4 kg、許容最大重量は100kgとなっている。販売価格はおよそ70万円。eパイロットを製造・販売するAlberは、ドイツ北部のハルテンホルムで、「使い易さ」にこだわった電動モビリティ製品を手がけている。
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