文●Believe Japan 写真●Believe Japan、ホンダ 今回のREHACARE(リハケア)2018では日本の「ホンダ」が初出展した。そのブースを訪れてみると、同社が開発する歩行訓練機器「Honda 歩行アシスト」が展示され、来場者による体験歩行が行なわれていた。すでに国内の福祉機器展ではおなじみの光景だが、この会場でも大きな注目を集めていた。 ホンダの歩行アシストは、歩行者の「股関節の動き」を左右のモーターに内蔵された角度センサーで検知し、制御コンピューターがモーターを駆動するもの。二足歩行理論である「倒立振子モデル」に基づいて、股関節を曲げる下肢の「振り出し」と伸ばす「蹴り出し」の誘導を行う。素早く装着でき、手軽に自然な歩行をアシストしながら、反復仕様でリハビリ効果が認められるという画期的なアイテムだ。歩行アシストを実際に体験した来場者は皆やや興奮気味に、「自然に足を誘導してくれ、とてもラクに歩ける」、「バランスのとれた歩行で安心感がある」などと好感を語っていた。 すでに日本国内およそ250の施設に導入され、歩行訓練や歩行能力の計測などに利用されている歩行アシストだが、先ごろ欧州の「医療機器指令(MDD:Medical Device Directive)」の認証を取得したことによって、EU域内での事業展開も可能となっている。 リチウムイオン電池(22.2V-1Ah)の駆動により、一充電で約60分間稼働する。アシストは自然で、あくまで「自分で歩いている」感覚を持ちながら、歩行できる。 作動の滑らかさ、静粛性からクオリティの高さが感じられる。 独自開発の薄型モーターと制御システムによって小型軽量化を実現。バッテリーを含めて3kgを切る歩行アシストは、装着した感じも違和感がなく快適だ。 本田技研工業のパワープロダクツ事業本部で歩行アシストを担当する芝田 誠氏は、「ホンダはヒューマノイドロボット「ASIMO(アシモ)」の開発で培われた歩行理論をベースに、20年近く歩行アシストの研究を続けています」と語り、蓄積されたノウハウに自信を見せる。 医療施設での使用を想定して開発された歩行アシストは、サイズ調節が可能なフレームを採用し、幅広い体格のユーザーにも対応している。また、シンプルなベルト機構を採用することで簡単に装脱着も可能とし、短時間で複数のユーザーが使用できるようになっている。 歩行時の速度や左右対称性、可動範囲などを計測し、 タブレット端末(コントローラー)ですぐに確認でき、さらに使用者ごとに計測履歴の参照や比較をパソコンで集計できる。得られた歩行パターンデータに合わせて、歩行動作を誘導する「追従モード」と左右の屈曲・伸展のタイミングが対称になるように誘導する「対称モード」、さらに連続歩行ではなく、下肢の振り出しや蹴り出し、重心移動の反復練習をサポートする「ステップモード」といった、「リハビリ効果」の期待できる3つの訓練モードを選択できる。 より多くの人に「移動する喜び」を提案するため、ホンダは長年「二足歩行ロボット」の研究を行なってきた。アシモにまでつながる独自の歩行理論をもとに、1999年には研究をスタートさせ、この歩行アシストに漕ぎ着けた。実際に使われている歩行アシストからデータがフィードバックされ、今後さらなる改良が期待される「Honda 歩行アシスト」。ヨーロッパでの展開にも大いに注目したい。... ...
On 2019年1月9日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 軽量化による操作性の向上や電動化による車いすの進歩は目覚ましく、ユーザーの活動範囲は、今日急速に拡大している。介助者が手押しするタイプの車いすでも、斬新なアイデアによる製品が登場して使い勝手が大幅に改善されている。ここでは、その中から車いすを自在に脱着できる電動アシスト自転車「Van Raam(ヴァン・ラーム)のOPair Wheelchair bike(オーペア ホイールチェアバイク)」を紹介する。 自身で車いすを動かすことが難しい方は、介助者が押すタイプの車いすを使うことが多い。その場合、建物内や近くでの移動は問題ないが、距離が長くなると介助者の負担は増大する。そのため、外出を躊躇してしまうこともあるだろう。しかし、このホイールチェアバイクならば、自転車のフロント部分に車いすユーザーが乗車し、目的地に着いたら、それをそのまま取り外して車いすとして使用できる。自転車は電動アシストなので、自転車を漕ぐ介助者の負担も軽く、遠出も苦にならない。 脱着の手順はレバーを引くだけのシンプルなもので、操作には力も必要なく気軽に扱うことができる。また、自転車のハンドルは、取り外された車いすのハンドルも兼ねるなど、無駄なく設計されている点にも注目したい。介助者は走行中、フロント部分(車いす)に座る方の様子を常に確認できると同時に、着座位置が高く保たれるため、前方視界も良好だ。車両重量は58kgで、車いすユーザー、介助者の許容体重はそれぞれ120kgとなっている。 車いすユーザー、介助者双方の気持ちを前向きにしてくれる個性的なモビリティだ。 車いすを脱着できる電動アシスト自転車は、コンパクトで取りまわしが簡単なうえ、3輪で安定感がある。フロントの車いす部分は後方に若干傾斜してジョイントされる。車いすの小さな前輪が路面から離れ、自転車走行を妨げないようになっている。 レバーで簡単にフロント部分を取り外すことができる。 脱着時にはリヤ部分が倒れないように、備え付けのスタンドを立てておく。 自転車のハンドルは、右側のスイッチ部分を取り替えるだけで、車いすのハンドルとして使われる。 フロントの車いす部分は、シートとサイドレストが細かく調節でき、フットレストも折り畳み式なので、子供から大人まで快適に使用することができる。 ジョイント部分にはセーフティロックも付いているので安全性が高い。 リチウムイオンのバッテリーは36V、12Ahタイプ。 電気によるアシストレベルは3段階でギヤは8段。道の状況や自分に合った走りが可能だ。バックギヤも備え、狭い場所での方向転換も容易にこなす。 オランダのファルセフェルトに本拠を置く「Van Raam」では、このホイールチェアバイクを直販せず、代理店ネットワークでの販売とサービスの対応を行なっている。価格は3500ユーロから4000ユーロだが、同社では製品のポテンシャルに大きな自信を持ち、「ひとりでも多くの人に試乗してもらいたい」としている。... ...
On 2018年12月31日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan ヨーロッパでは、車いすを後部座席に載せて自ら運転するタイプの福祉車両が多い。この車いす格納システム「Petri+Lehr Ladeboy S2(レイドボウイ S2)」もそのひとつ。運転席後ろのドアがスライドして開き、車内からアームが伸びて車いすを積み込む。ただ眺めているとなんの変哲もない仕組みで、思わずブースの前を素通りしてしまいそうになるのだが、よく見ると2つの非凡なことに気がつく。ひとつは、「車いすを搭載するスピードの速さ」、そしてもうひとつは「車いすを折り畳まないで搭載できる」ということである。 レイドボウイ S2は、車いすを折り畳むことなく車内に格納することができる珍しいタイプだ。その時間はわずか10秒。下ろす場合も同じ速さで、畳まれた車いすを展開するという手間もなく、そのまま座れるので非常にスムーズだ。実際の動きを見ると、10秒よりももっと短い時間に感じるほどスピーディ。日々の乗り降りにかかるストレスが大幅に軽減されるはずだ。 格納可能な車いすの重量は50kgまでで、折り畳み機能がない車いす、電動車いすにも対応する。また、人間工学に基づいたレイアウト、簡単なリモコン操作で、車いすユーザーが不安なく、そして素早くクルマの乗り降りを行えるように考えられている。 折り畳み機能がない車いすでも、専用のアタッチメントによって、自動的にアームに固定される。 車いすを宙に素早く持ち上げるアーム。剛性感のあるしっかりとした動きからクオリティの高さが伝わる。 車いすの角度を変えて、後ろに倒した状態にする。 後ろに90度倒された状態で、車いすはスライドしながら車内に引き込まれていく。 車いすがスッポリと車内に収まると同時にスライドドアが閉じる。 スムーズな格納を支えるレール部分。精度が高く、静かにスライドする。 折り畳まずに車いすを格納するのだが、コンパクトなメカのため、右横に一人乗車することができる。4ドアタイプのほぼすべての車両に取り付けることが可能だという。 1902年、フランクフルト近郊のディーツェンバッハに設立された「Petri+Lehr(ペトリ・レール)」は、「EDAG(エダック)」や「Rausch Technik(ラウシュ・テクニック)」といった福祉機器大手の提携企業として、車いす格納システムだけでなくさまざまな運転補助機器・システムを開発している。 Petri+Lehr(ペトリ・レール)は最大140kgの車いすを持ち上げ、格納することができる「Carolift(カロリフト)」も展示していた。 提携企業のRausch... ...
On 2018年12月25日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 近年めざましい進化を遂げている福祉車両。そのなかで大きなトレンドといえるのが、車いすユーザーが「自分で運転する」タイプの車両だ。とくに欧米では、自由なモビリティの追求が社会の大きなテーマとなっており、今回のREHACAREでもさまざまな運転補助装置付車が展示されていた。その多くは日本でもおなじみの車いすを自分で収納して運転するタイプなのだが、ここでは「車いすのまま乗り込んで運転できる」ものをご紹介する。 ミニバンやワゴン、大きめのサルーンが多く展示された会場で、ひときわ異彩を放つクルマがあった。ジープブランドのコンパクトSUV「レネゲード」だった。近づいてリヤハッチを開けると、傾斜の緩やかなスロープの先にはダッシュボードまでフラットなフロアが広がる。ブースを訪れた車いすユーザーは実際に乗り込み、ステアリングの前まで移動し、「自分が座っている車いすが運転席に早変わりする」という感覚をたしかめていた。彼らは一様に笑顔でスタッフに話しかけ、5万ユーロ(およそ650万円)という価格にも納得している様子だ。介助者の手を借りずに自分で乗車、運転できるクルマは、車いすユーザーのモビリティを劇的に改善してくれるアイテムとして、ヨーロッパでは以前から大きな関心を集めている。しかし、ミニバンをベースにした車両は存在するものの、このレネゲードのようにボディサイズの小さなモデルは皆無で、今後大きな需要が見込まれている。 世界的なワイン産地フランス西部ボルドーにあるA.C.A France(A.C.Aフランス)は、歩行が困難な方などのために年間約450台の福祉車両を手がけている。数年前からシュコダ(フォルクスワーゲンのチェコ子会社)のコンパクトモデルをベースに「車いすのまま乗り込み、運転できるクルマ」を開発していたが、このモデルが販売停止となったため断念。2年前からは、新たにジープ レネゲードで開発をスタートさせることになった。レネゲードを選んだ理由は、コンパクトなボディサイズながら、室内にある程度の高さがあり、車体が「四角」に近いことだったという。 これが福祉車両? と思ってしまうレネゲードのスポーティな外観。 リヤゲートを開けてスロープを展開。スロープの長さは短いが、低い位置から伸びるため角度が緩やかで、手動式の車いすでも登れるように設計されている。開発にあたっては標準のレネゲードから、フロア全体を下げるという大掛かりな改造が行われている。 一切シートがない車内。助手席と後席は折り畳み式になっているが、1台1台、ユーザーに合わせて「使いやすいクルマ」に仕上げられるという。リヤ開口部付近のルーフは、乗り込むときに頭をぶつけないよう工夫が施されている。 後席も広々としたスペースで、4名乗車、荷物の搭載も標準車と変わらなくできるのが便利だ。 助手席は畳まない状態でも、車いすの乗り降りに干渉しない。 「車いすで乗り込んでそのまま運転できる車両は、現在一般的に7~8万ユーロと高価です。ユーザーの方が、サイズや価格面でもっと手軽に購入できる車両を提供することが、目下の課題です」と語るのは、販売責任者のニコラ コンドットさん。A.C.Aフランスは、メルセデス・ベンツやフォルクスワーゲンをはじめ、プジョー、フィアット、フォード、ジープといったメーカーのモデルをベースに、車いすを収納してから運転するタイプの車両を提供している。今後はそれに加え、各ブランドのコンパクトカーを中心に「車いすのまま運転できる」車両の開発を加速させていく考えだ。 A.C.Aフランスは、食事や入浴などの日常生活の動作を通じて心身のリハビリテーションを行う作業療法士のチームを社内に設置し、ユーザーにとって本当に質の高いサービスを追求している。また社内には、打ち合わせやフィッティング、購入してからの整備などで訪れたクライアントのために、高度にバリアフリー化された宿泊施設も完備している。 ...
On 2018年12月17日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 電動車いすの制限速度は日本では時速6kmとなっているが、国が異なるとそれも変わる(時速10kmのアメリカやオーストラリア、時速20kmのスウェーデンなど)。今回のリハケアでは「高速クルージング」を可能にする電動車いすが注目を集めていたが、ここではそのなかから、毎日使っている車いすをわずか数秒でスポーティな電動車いすに変えてしまう、脱着可能なアイテム「e-pilot(eパイロット)」を紹介する。 eパイロットは車いすにドッキングするだけで、力強いモーター走行を可能にするもので、時速20kmで走らせることができる。たとえば屋外は電動で、目的地に到着したら手動式にと、簡単に切り替えられるのだ。 軽量、強固なアルミ製フレームは、高い水圧で膨張させて成形するハイドロフォーミング技術で作られている。一充電で最大50km走行できるeパイロットは、大容量のリチウムイオンバッテリーがコンパクトに収められていて見た目もスタイリッシュだ。また、取り付けられる車いすがスポーティなタイプであれば、オフロード走行も可能という。 eパイロットは、簡単なアタッチメントを取り付けることで幅広い車いすに対応している。ブースでは、自社の車いす「twion(トゥイオン)」に取り付けて展示されていた。スポーティなデザインのトゥイオンは、小型モーターで駆動し、走行をアシストする車いすだ。目的地までeパイロットのモーター走行で向かい、着いた後はトゥイオンの電動アシストで移動するというライフスタイルを提案していた。 eパイロットはシンプルな操作で車いすとの脱着が可能。 車いすにジョイントする。 eパイロットの角度を起こすとロックされ、車いすの前輪が浮き上がる。トラクションをeパイロットにかけるためだが、高速走行に適さない径の小さな前輪を地面に接触させないためでもある。 初めてでもスムーズに移動できる自然な感覚のeパイロット。安定感があって、同時に小まわりもきく。ここでは、以前紹介したサスペンション機構を内蔵した車いすホイールSOFTWHEEL(ソフトホイール)に取り付けられている。 手で車輪を回してきっかけを作ると、そのまま軽快に走るトゥイオンは、大きな力を必要とせずに時速10km程度での走行を可能にしてくれる。 時速20kmという高速移動に対応するため、車いすには転倒防止の補助輪が装着される。 マネージャーのMarco Schmidt(マルコ シュミット)さんは、「eパイロットの魅力はスピードだけではありません。車輪は大きく作られていて、小さな段差や縁石を乗り越えることができます。舗装されていない道や水たまりも問題ありません」と語る。 スロットルグリップは、速度感覚がつかみやすいフィーリングになっている。後退への切り替えもボタン操作で行える。 左側のレバーにはクラクションとライトのボタンがある。 eパイロットは、本体重量が18.4 kg、許容最大重量は100kgとなっている。販売価格はおよそ70万円。eパイロットを製造・販売するAlberは、ドイツ北部のハルテンホルムで、「使い易さ」にこだわった電動モビリティ製品を手がけている。... ...
On 2018年12月13日 / By wpmaster文●Believe Japan 写真●autochair、Believe Japan 車いすに座っている方がクルマへ移乗する際、クルマのシートに車いすを近づけて身体を横にスライドさせることになる。だが、自身の身体を十分に支えることができない方は、介護者に抱えられて乗車することになる場合がある。その際、介護する方の負担は大きく、車いすのまま乗車するスロープ車などが一般的なソリューションとなっている。 ところが、「Smart Transfer Person Lift(スマート トランスファー パーソン リフト)」なら車いすユーザーの身体をリフトアップして、スムーズに乗車させてくれる。このリフトは、福祉車両ではない普通のクルマにも簡単に取り付けと取り外しができて、シートを改造する必要もない。さまざまなボディタイプに対応し、最大150kgまで持ち上げることができる。 スマート トランスファー パーソン リフトは、助手席だけでなく運転席にも取り付けが可能で、シートを改造しにくいスポーツカーなどに取り付けて楽しんでいるひともいるという。「普通のクルマのシート」に座りながらドライブを楽しめるのは大きな魅力だ。 軽量ながら剛性感の高いリフトは、動きが滑らかで安心感がある。 スマート トランスファー... ...
On 2018年12月10日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 車いすユーザーにとって、旅行で気になるのがトイレと入浴。今日、バリアフリー化が進み「段差がない」、「手すりが設置されている」宿泊施設は多くなっているが、日頃から車いすで浴室やトイレにアクセスしている方にとっては、やはり心配の種だろう。 今回紹介する折り畳み式のバスチェアー「Wheelable(ホイーラブル)」は、そんな不安を解決してくれる製品だ。とても簡単に、コンパクトに折り畳むことができ、狭いバスルームやトイレ内でも移動することができるように考えられている。実際に座ってみると、動きの軽さに驚かされる。 また耐水性で汚れにくい樹脂製なので、ユーザーは水を気にすることなくシャワーを浴びることも可能だ。重さわずか12kg未満だが、体重130kgのユーザーでも使えるように頑丈に設計されているので、安心感も高い。 ところで、ホイーラブルがさらに優れているのは、通常のトイレ(洋式)で、便座に座り変えることなくそのまま使用できること。ホイーラブルがトイレに向かって後退し、トイレの上にそのまま覆いかぶさる格好で使用できるのだ。介助なしにシャワーやトイレを使用できる車いすで、これまで諦めていた旅行もずっと身近になるに違いない。 横幅わずか49cm 。バスルームやトイレなど、スペースの限られた屋内での使用がメインに考えられているので、通常の車いすと比べてスリム。コンパクトに折り畳むために、肘掛けも小さめだ。 座面は通常のものと、バス・トイレ用と簡単に交換が可能。簡単に水洗いできる材質で、サウナでの使用も考えられている。 折り畳んでみる。まずは両側の肘掛けを畳む。 次に背もたれを前に倒し込む。 一体化して薄くなった座面と背もたれを取り外して、タテにして左右両方の車輪の間に置く。 続いて、左右の車輪を外側から押して、本体をスリム化する。 これで軽々と持ち運びができるようになる。 折り畳んだ肘掛けを引き上げれば、キャスターが付いた旅行用スーツケースのように楽に移動させることも可能だ。折り畳んだ幅はわずか23cmという薄さで、 樹脂製のボディは11.6 kgという軽量ぶりだ。 輸送や預け荷物に便利な専用ケースも用意されている。 折り畳まれたホイーラブルを車いすに座ったままの状態で展開するデモンストレーション。... ...
On 2018年12月3日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan リヤから伸びてきた長いアームが車いすを運んでいき、ラゲッジルームに収納する。今回の会場でもっともインパクトのあった展示が、この車いす収納支援ロボット「ROBOT R11(ロボットR11)」だ。 自身が乗ってきた車いすを収納する場合、その場所はルーフの上か助手席、または後部座席が一般的で、ラゲッジルームに収納する場合は、介護者が行うのがほとんどだ。ところがこのロボットR11は、車いすから運転席に移乗したドライバーが、自分ひとりで車いすをラゲッジに収納できる。ダイナミックなアームの動きで見る者を魅了するロボットR11は、座席を車いすが占めることなく、また介助を必要とせず乗り降りできる優れものだ。 収納にかかる時間は約40秒。高度なエンジニアリングが生み出す独創的なムーブによって、それもずっと短く感じる。複雑な機構だが、信頼性の高さとメンテナンスコストの低さが特徴という。また、ロボットを搭載するために、クルマのボディを改造する必要はなく、簡単な取り付け作業だけで済むというのも大きな魅力だ。 リヤから伸びた長いアームが車いすをラゲッジルームに収納する。降車時には、運転席の近くまで収納した車いすを運んできてくれる。 ほとんどのタイプに対応し、普段使う車いすを収納可能。許容重量は最大25kgとされる。 収納のシーン。まずは、アームが車いすをつかんで持ち上げる。 アームの動きはいたって滑らかで、スムーズに車両後方に移動する。 ラゲッジの近くで車いすを回転させる。 ラウンドしながらラゲッジルームに収納する。 ロボットと車いすが共にラゲッジルームに収まる。メカはコンパクトで、ドライバーの後方視界も良好に保たれる。 このロボットを開発したMoshe Ofsek(モシェ・オフェック)さん。イスラエルのカイサリアにあるエンジニアリング会社TMNの代表でもある。 最初の試作品は15年前に完成したというこのシステム。オフェックさんは、「ある日、ひとりの男性が私のラボにやってきて、外から見て福祉車両だとわからないクルマを作れないか? と聞いてきたのがきっかけでした。いろいろ試行錯誤して、ようやくこのタイプにたどり着きました」と振り返る。屋根に収めるタイプだと、高さ制限があるパーキングなどで不便。また、後席に収納するタイプだと乗員が1人減ってしまうという理由で、採用を断念したという。「開発で苦労したのは、アームが長いので、風が吹いてきてもボディにぶつからないように強度を持たせることでした」と彼。また、「ロボットに複雑な動きを行わせるために400を超えるオペレーションを記憶させ、1万回を超えるテストを行いました。おかげで、ずいぶんと時間がかかってしまいました(笑)」と語る。 現在のロボットは3世代目で、小売価格はおよそ1万4000ユーロ。年間1000台以上のコンバージョンをしているというTMNだが、オフェックさんは「日本車はまだ経験がないので、ぜひやってみたいですね。今後は日本をはじめ、アジア市場に進出したいです」と意気込みを語る。 TMN公式ページ ...
On 2018年11月29日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan ヨーロッパを移動していて感じることは、「体の大きなひとが多い」ということ。REHACAREの会場でも、大柄なユーザーが多く来場し、彼らのための福祉機器も展示されている。とくに歩行が困難な方に向けた製品が目立つが、ここではその中から、ラージサイズの車いすを紹介したい。 現在日本国内で販売される車いすの多くは、耐荷重が100kgとなっている。これをオーバーする体重の方は、車いすを特注するほかはなく、否応なく出不精になってしまうのが現状だ。また重さだけでなく、座面や背もたれのサイズも小さすぎて、車いすを断念する場合もある。 ドイツのDIETZ(ディエーツ)は、高品質で安心して使えるラージサイズの車いすを製造、販売している。大柄な方、肥満の方が快適に座れるように、フレームやサイドパネル、クッションを中心に人間工学の見地から開発されていて、「横幅80cm」、さらに「最大250kg」の重さに耐えうる設計で、荷重による車いすの損傷を気にせず使用できる。頑丈に作られているが、フレームはアルミニウム製で重量が抑えられているのも特徴だ。 tauron rsi(タウロンrsi) とくに肥満症の方の使用に最適化されているタイプで、アームレストの位置を調整することによって、シートの幅を簡単に調整(+2cm/-7cm)することができる。そのため体重の増減などにも対応できる。 介護者用のハンドルがあり、ブレーキも装着されている。大きな重量に負けないようディスクブレーキとなっている。 出不精となると、体重の増加が進みやすい傾向があるため、自分のサイズに合った車いすは、健康維持に不可欠なアイテムといえる。 CANEO XL(カネオXL) ヘビーデューティーモデルながら、重量28kgと軽量で、幅わずか34cmにまで折り畳める。ISO 7176-19にも準拠し、旅客輸送用として承認されている。アクティブなユーザーにフィットする車いすだ。 座面はゆとりのサイズで、快適な移動はもちろん、長時間くつろぎながら座ることもできる。 DIETZの製品設計は、ドイツ北部にあるハンブルクで行われる。「自分たちはだれのために働いているのか」を常に意識し、コスト計算からではなく、必要な機能、品質を達成してからはじめて製品価格を決定するというこだわりぶりだ。 DIETZ公式ページ ...
On 2018年11月26日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 今日、福祉車両の主流は、リヤのスロープから電動ウインチベルトによって車いすを乗り降りさせるタイプ。体力に自信のない方でも介助を行えるとして、日本国内では広く人気を集めている。しかし、車いすを手動で乗車させることができるユーザーにとっては、もっと手軽で素早い乗り降りが可能だ。事実、ヨーロッパでは乗り降りを手動で行うタイプのスロープ仕様が多く販売されている。ここで紹介するのは、そんな手軽で素早い乗降をサポートする「車いすの固定ベルト」だ。 AMF PROTEKTOR(AMFプロテクター)は、福祉機器の大手AMF-Brunsが数多くの福祉車両に供給する半自動巻き取り式の車いす固定ベルト。その魅力は簡単で確実な操作感。「カチッ」とフロアのレールに取り付け、フックを引いて車いすにかけ、ダイヤルを回してベルトのたるみを取る、という一連の工程を素早く行えること。ベルトはセルフロック式で、自動巻取りの機能も備える。固定ベルトという1つのパーツであるが、実際に使ってみると、その使い勝手のよさに感心させられる。 ベルトでしっかりと固定される車いす。ヨーロッパでは手動ベルトの需要が高い。 車いす固定ベルト「AMFプロテクター」は、車いすを固定する際、ある程度までは自動で巻き取る「半自動巻き取り式」。 精度、剛性感が高く、フロアのレールにカチッと簡単に固定できる。 赤のレバーを押すと、ベルトをリリースできる。 横のダイヤルを回すことで、簡単にベルトのたゆみを取ることができる。固定までが非常にスピーディで使い勝手のよさが好評を博している。 ブースには、さまざまなタイプのAMFプロテクターが展示され、需要の高さをうかがわせる。 AMF-Brunsは、1970年に車いすと乗員のための4点固定システムを開発し、1975年からは衝突試験も行うなど、車いす車両技術の分野をリードする大手メーカーだ。 AMF公式ページ ...
On 2018年11月21日 / By wpmaster© 2016-2020 Believe Japan, Inc. All rights reserved.