文と写真●Believe Japan
軽量化による操作性の向上や電動化による車いすの進歩は目覚ましく、ユーザーの活動範囲は、今日急速に拡大している。介助者が手押しするタイプの車いすでも、斬新なアイデアによる製品が登場して使い勝手が大幅に改善されている。ここでは、その中から車いすを自在に脱着できる電動アシスト自転車「Van Raam(ヴァン・ラーム)のOPair Wheelchair bike(オーペア ホイールチェアバイク)」を紹介する。
自身で車いすを動かすことが難しい方は、介助者が押すタイプの車いすを使うことが多い。その場合、建物内や近くでの移動は問題ないが、距離が長くなると介助者の負担は増大する。そのため、外出を躊躇してしまうこともあるだろう。しかし、このホイールチェアバイクならば、自転車のフロント部分に車いすユーザーが乗車し、目的地に着いたら、それをそのまま取り外して車いすとして使用できる。自転車は電動アシストなので、自転車を漕ぐ介助者の負担も軽く、遠出も苦にならない。
脱着の手順はレバーを引くだけのシンプルなもので、操作には力も必要なく気軽に扱うことができる。また、自転車のハンドルは、取り外された車いすのハンドルも兼ねるなど、無駄なく設計されている点にも注目したい。介助者は走行中、フロント部分(車いす)に座る方の様子を常に確認できると同時に、着座位置が高く保たれるため、前方視界も良好だ。車両重量は58kgで、車いすユーザー、介助者の許容体重はそれぞれ120kgとなっている。
車いすユーザー、介助者双方の気持ちを前向きにしてくれる個性的なモビリティだ。
車いすを脱着できる電動アシスト自転車は、コンパクトで取りまわしが簡単なうえ、3輪で安定感がある。フロントの車いす部分は後方に若干傾斜してジョイントされる。車いすの小さな前輪が路面から離れ、自転車走行を妨げないようになっている。
レバーで簡単にフロント部分を取り外すことができる。
脱着時にはリヤ部分が倒れないように、備え付けのスタンドを立てておく。
自転車のハンドルは、右側のスイッチ部分を取り替えるだけで、車いすのハンドルとして使われる。
フロントの車いす部分は、シートとサイドレストが細かく調節でき、フットレストも折り畳み式なので、子供から大人まで快適に使用することができる。
ジョイント部分にはセーフティロックも付いているので安全性が高い。
リチウムイオンのバッテリーは36V、12Ahタイプ。
電気によるアシストレベルは3段階でギヤは8段。道の状況や自分に合った走りが可能だ。バックギヤも備え、狭い場所での方向転換も容易にこなす。
オランダのファルセフェルトに本拠を置く「Van Raam」では、このホイールチェアバイクを直販せず、代理店ネットワークでの販売とサービスの対応を行なっている。価格は3500ユーロから4000ユーロだが、同社では製品のポテンシャルに大きな自信を持ち、「ひとりでも多くの人に試乗してもらいたい」としている。
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