文と写真●Believe Japan 2023/5/12(金)配信 超高齢化社会に突入して久しい日本では、近年、在宅介護が推奨されている。そして、そうしたなか、 自宅からデイケア施設や医療機関へ通う高齢者が増え、 福祉車両の使用頻度は、これまでになく高まっている。 「すべての人に自由なモビリティ」を紹介するBelieveが今回注目するのは、トヨタの新型シエンタ「ショートスロープ仕様」。開発責任者である稲熊幸雄(いなぐまゆきお)氏に、そのこだわりのポイントを聞いた。 ショートスロープで、乗り入れ動作をシンプルに! 両側スライドドアに広々とした室内、低床設計でアクセスが良好なトヨタシエンタは、2022年8月にフルモデルチェンジして3代目となった。ビリーヴカー(福祉車両)は3タイプあるが、もっとも注目したいのがタイプIIIの「ショートスロープ仕様」。バックドアを開けると同時に車高が降下し、リヤバンパーと一体型のショートスロープが展開。リアエンドからスロープが突出する長さはわずか17cmで、省スペース&短時間での乗降を可能とする。 バックドアを開けると自動的に車高が下がる。そして、ショートスロープが展開。 車いすの前輪をショートスロープに乗せ、後輪をスロープに押し当てながら車内へと進む。 車いすの前後左右にフックをかけて固定スイッチを押す。あとはハンドルを引いてショートスロープを収納、バックドアを閉めれば自動的に車高が戻る。 関連記事:難点だった乗り込み時間を大幅に短縮! 新型シエンタの「ショートスロープ」がすごい シエンタ福祉車両開発時のこだわりを教えてください 現在、福祉車両のシェアはトヨタが日本国内の約7割を占めています(除:軽自動車)。そのため、我々には「スタンダードを作っている」という自負があります。 「トヨタでしかできない福祉車両の在り方とは何か」をつねに意識し、介護施設などでお客様のご使用になっている様子から本当の困り事はなにか見極め、自分たち自身で仮説を立て検証して開発しています。また、標準車との同期開発やインライン生産対応などのコスト低減も積極的に実施しています。 今回の新型シエンタ タイプIII「ショートスロープ仕様」で改善したのは、以下の3つの点です。 まずひとつ目は「車いすにお乗りの方の孤立を防ぐ」ことです。 たとえば病院のエントランス。迎えにきたドライバーがクルマを離れ戻ってくると、別のクルマがすぐ後ろに停めてしまい、車いすで乗り込むことができないという事態があります。今までの福祉車両では、車両の後方に2.4メートルのスペースがないと乗り降りできませんでした(通常、停車している前のクルマとの間隔は、1.7メートルほど)。ところがこのショートスロープ版では1.3メートルあれば乗り降り可能ですから、クルマを移動させなくてもよくなります。これまで車いすユーザーの方は、ドライバーがクルマを移動させて戻ってくるまでの間、そこに一人で待たなければなりませんでした。認知症の方がブレーキを外して、後ろのクルマにぶつかったり、どこかに移動してしまうなどのトラブルも報告されています。そのような事態を改善したいと考えました。... ...
On 2023年5月12日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 2023/3/31(金)配信 介助する側、介助される側、双方の立場になってビリーヴカー(福祉車両)をインプレッション! レポートするのは、介護経験があり自身も福祉車輌取扱士スペシャリスト資格を持つタレント・モータージャーナリスト 竹岡 圭。今回は、ホンダ ステップワゴン スパーダ 車いす仕様車〈2列目乗車タイプ〉をご紹介します。 ホンダ福祉車両:https://www.honda.co.jp/welfare/ ...
On 2023年3月31日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 2023/3/15(水)配信 2022年5月に登場して人気を集めている6代目ステップワゴン。その改良点の多くは、福祉車両としての使い勝手や快適性に直結するものが多く、ビリーヴカー(福祉車両)としても注目のモデルだ。今回は「車いす仕様車」をチェックして、その実力を探った! 1996年にファミリームーバーとして誕生して初代以来、ステップワゴンは家族みんながくつろげる広々とした室内空間を標榜してきた。6代目となる最新モデルでは、「国内ホンダ車史上最大の室内空間」を掲げている。 福祉車両にも生かされる新型ステップワゴンのレベルアップ 車いす仕様車は、2列目に車いす乗車するタイプ、3列目に乗車するタイプ、2列目と3列目に車いす2台で乗車するタイプの3タイプが設定されているが、このクルマは2列目に乗車するタイプ。新型ステップ ワゴンの福祉車両は全車「スパーダ」をベースにしている。先代モデルから受け継ぐ3列目の分割床下格納シート「マジックシート」とフローリングフロア、電動ウインチに加え、パワーテールゲート(メモリー機能付き)が福祉車両に全車標準装備されているが、 各部さらに改良が加えられている。 ・「安心」と「自由」を表現したというスタイリングは、クルマ全体的に凝縮感、カタマリ感があり、シンプルでスタイリッシュなデザインからは、使いやすさや機能性が感じられる。・「国内ホンダ車 史上最大の室内空間」というキャッチフレーズだが、全席で快適な居住性を誇る。・ 搭載されている1.5L直噴VTECターボエンジンは力強く、車体は走行中の振動が抑えられ静粛性も高められている。車内での会話がより快適になっている。・車両感覚をつかみやすい視界のほか、サイドウインドウの下端を前後水平にし、1列目より2列目、さらに3列目と着座位置を高くするなど、乗り物酔いをしづらくする工夫も施されている。最新の安全運転支援機能も標準装備される。 気軽に出かけたくなる抜群の乗降性 スロープはスロープ脇にあるロックを引っ張って展開する。 スロープにはダンパーが取り付けられていて、ロックを引いてもスロープが急に倒れていたりする事はなく、安心の設計となっている。スロープは力を必要とせずスムーズに伸ばすことができる。 画期的なのは3列目シートの収納。ショルダー部分についたベルトを上に軽く引っ張るだけで、シートは畳み込まれストンと床下に収まる。 思わずあっけにとられてしまう素早さだ。そしてシート裏とスロープのパネルを展開すれば、車いす乗車ができるフラットなフロアができあがる。一般的な福祉車両では3列目シートを窓側に跳ね上げる構造のため、車いすで乗車すると両側面の視界が遮られてしまうが、ステップワゴンでは3列目シートが床下に収納されるので、車いすで3列目に乗車しても車窓からの景色を楽しめる。また、3列目でも車いすの横に乗車することもできる。 続いてウインチをリリースするボタンを押し、車内にあるベルト(2本)を持ってきて車いすに取り付ける。 次にリモコン操作をすると自動で車いすを車内に引き込んでくれる。ウインチの対応重量は120kg、スロープの許容重量は200kgと大柄な車いすユーザと介助する方でも安心して使える設計だ。 車いすの固定もベルトでしっかりと行えて乗り込み動作は簡単だ。... ...
On 2023年3月15日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 2023/3/8(水)配信 東京青山にあるホンダ本社のショールーム「Honda ウエルカムプラザ青山」で2月に開催された福祉車両企画展示「Honda ハート Joy for Everyone」で注目の福祉車両をチェックしてきた! 普段、F1やMotoGPなどホンダが参戦してきたレース車両などが並べられるホールには、ステップワゴンの車いす仕様車やサイドリフトアップシート車、N-BOX車いす仕様車、フィットテックマチックシステムなどの福祉車両が展示され、多くの来場者が訪れていた。また、展示イベントの終了日前日には、現役引退を表明したばかりのプロ車いすテニスプレーヤー国枝慎吾氏のスペシャルトークショーも実施された! ステップ ワゴン 車いす仕様車/サイドリフトアップシート車 2022年5月に登場した6代目ステップワゴンだが、 その改良点は福祉車両としてのクオリティを大いに高めるものばかりだ。 ・「安心」と「自由」を表現したというスタイリングは、クルマ全体的に凝縮感、カタマリ感があり、シンプルなデザインからは使いやすさや機能性が感じられる。 ・「国内Honda車 史上最大の室内空間」というキャッチフレーズの室内は全席で快適な居住性を誇る。 ・車両感覚をつかみやすい視界と乗り物酔いをしづらくする工夫、さらに最新の安全運転支援機能が標準装備される。 新型ステップ ワゴンの福祉車両は「スパーダ」をベースに、車いす仕様車とサイドリフトアップシート車が設定される。先代モデルから受け継ぐ3列目の分割床下格納シート「マジックシート」とフローリングフロア、電動ウインチに加え、パワーテールゲート(メモリー機能付き)が福祉車両に全車標準装備されている。... ...
On 2023年3月8日 / By wpmaster文●Believe Japan 写真●日産 2022/12/9(金)配信 1991年に発売して以来、ファミリー層を中心に広く支持されてきたミニバン「日産 セレナ」がフルモデルチェンジした。新型で注目したいのは、日産のビリーヴカー(福祉車両)となる「ライフケアビークル」で、ついに人気の「e-POWER」がすべてのモデルで選べるようになったこと。これまで標準モデルでは、エンジンとモーターが連動して静粛性の高い走行や低燃費を実現するe-POWER搭載車が高い人気を誇っていたが、福祉車両での設定は限定的であった。 新型のe-POWERは、新たに開発された1.4Lの専用エンジンを組み合わせた第2世代で、エンジンの作動音を抑制し、よりパワフルでスムーズな加速性能を実現。また車両状態や走行環境に加え、ナビと連携しながらエンジン作動タイミングを制御するエネルギーマネジメント技術を搭載。結果、高い静粛性を発揮する。さらに車体の遮音性能を大幅に高め、後部座席の乗員との自然な会話がしやすくなった。運転支援技術「プロパイロット」もすべてのモデルで標準装備となり、安心感も増している。 e-POWERモデルは、100V AC電源(1500W)が新たにオプション装備となり、アウトドアにおける家電製品の仕様や災害時等の非常用電源としても使えるようになっている。そのほかさまざまなレベルアップを遂げている新型セレナは、以下のように多彩なタイプの福祉車両が設定されている。 助手席スライドアップシート/セカンドスライドアップシート 助手席、または2列目左側シートが、車両の外側に電動で回転、昇降することで、車への乗り降りが容易にできるタイプ。スライドアップシートには、シート回転や昇降に加え、シートスライドとリクライニングの操作も可能としたリモコンを標準装備。また、回転や昇降の速度も変更できる。 チェアキャブ スロープタイプ セレナの広さや使い勝手の良さを生かし、バックドアから車いすのまま車内に乗り込めるよう、手動式のスロープや車いす電動ウインチ、車いす固定装置が装備される。車いすの方が2列目左側に乗車する「車いす1名セカンド仕様」はじめ、使い方に合わせて全4種類のレイアウトから選べる。新型ではバックドア部のスロープの格納方法を改良し、3列目に車いすが乗車しないときには荷物スペースとして使用できるほか、車いす乗降時の操作スイッチがよりシンプルとなり、操作性が改善されている。 チェアキャブ リフタータイプ リモコン操作で昇降する全自動リフターを装備し、車両後部から車いすのまま車内に乗り込めるタイプ。車内に乗り込む前にリフター上で車いすの固定が可能なため、介助者の負担が軽減されている。新型では、オプションの車いす固定装置(電動式)のフックを、従来の一体型から分離式に変更し、さまざまな種類の車いす固定に対応している。 送迎タイプ 福祉施設や病院などの送迎時に、利用者がスムーズに乗降ができるよう工夫したタイプ。2列目に専用形状シートを採用し、助手席側スライドドアから3列目シートへの乗降性を向上させ、乗降用手すりやステップを装備することで、高齢者や足元に不安を感じる方でも乗降しやすくなっている。ステップは、助手席側スライドドアから乗降する方に加え、助手席でも同時に使えるロングステップを新たに採用し、乗降性をさらに向上させている。 乗降サポートパック付車 新型で新たにラインアップされたタイプ。ベース車のシートレイアウトはそのままに、乗降時や各シート乗車時に使用できるアシストグリップを標準装備し、福祉施設や病院のみならず、ホテルや旅館などの送迎ニーズにも対応する。... ...
On 2022年12月9日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 2022/11/23(水)配信 近年、朝の日常風景ともいえるのが、高齢者の方などを迎えにくるデイケアサービスのクルマ。そして、車いす乗車のために交通を遮断してしまっている現場を目の当たりにすることもあるかと思う。 低い角度で乗り込めるスロープ仕様車は、車いすユーザーを介助する人にとっては一般的な装置である。しかし、一連の動作による乗り込みを完了するため、それなりに時間がかかってしまうのも事実。 両側スライドドアと広々とした室内、低床設計によるアクセスのよさから、ビリーヴカー(福祉車両)でも高い人気を誇るトヨタ「シエンタ」が、2022年8月に7年ぶりのフルモデルチェンジを遂げた。3代目となったシエンタは、車いす仕様が3タイプ用意される充実ぶりだ。9.5°のなだらかな角度のスロープを持つタイプI。運転席のすぐ後ろに車いすで乗り入れる上、ストレッチャーの乗車も載せられるタイプII。そして、今回もっとも注目したいのが、新たなショートスロープを持つタイプIIIだ。 バックドアを開けると同時に車高が降下し、ショートスロープが展開。省スペース&短時間での乗降を可能とするもの。今回はこのショートスロープ車の使い勝手を実際に試してみた。 ショートスロープで動作を簡素化 操作手順は大きく分けて以下の3ステップ。 Step 1:後部の車高を下げるバックドアを開けると自動的に車高が下がる。そして、ショートスロープが展開。 Step 2:車いす乗車車いすの前輪をショートスロープに乗せ、後輪をスロープに押し当てながら車内へと進む。 Step 3:車いすを固定車いすの前後左右にフックをかけて固定スイッチを押す。あとはハンドルを引いてショートスロープを収納、バックドアを閉めれば自動的に車高が戻る。 介助者役として実際に体験してみたところ、ショートスロープは地面から19cmの高さまで下がるが、前輪を持ち上げる際に若干の力が必要となる。しかし、コツさえつかめてしまえばいたって簡単。何度かトライして慣れると、劇的な早さで車いす乗車を完了させられることに、感心せずにはいられなかった。 車いす乗車をスムーズに行えるということは、車内の暖房や冷房のロスも少なく、周囲の交通を止めているストレスからも解放されることにつながる。さらに手動でのスロープ展開が不要なため、介助者は車いすユーザーから目を離す時間が少なくてすみ、その点でも安心だ。ちなみに乗車人数は車いすユーザー1名を含めて4名となる。 スロープ車の場合、まずスロープを引き出し → (ウインチで引き上げるために)車いすの前輪付近にフロントフックを取り付ける... ...
On 2022年11月23日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 2022/11/15(火)配信 「国際福祉機器展H.C.R.2022」では、今回もさまざまな提案や新製品が見られ、盛り上がりを見せていた。その会場で、「これは多くのユーザにとって朗報だ!」と感じたのが、トヨタの「いつでもウェルキャブ」だ。その正体は、生活スタイルに合わせて現在乗っているクルマをビリーヴカー(福祉車両)に変身させることができる、後付け可能なトヨタ純正品。需要の大きい車いす収納装置と助手席ターンチルトシートがラインアップされている。 車いす収納装置 「車いすが重く、外出のたびに上げ下げがとても大変」という車いすユーザーの家族の声などにこたえた車いす収納装置は、スイッチひとつの操作でだれもが簡単にラゲッジスペースに車いすを収納することができる。重量35kgの車いすまで収納可能で、手動のほとんどのタイプに対応している。 使用するときにはレールを装置に差し込む。電動でスムーズに格納されるため、クルマを傷つける心配が減るのも嬉しい。操作スイッチは上下2つのボタンで迷うことなく使える。 収納装置は簡単に取り外しができるため、家族は通常のクルマと変わりなくラゲッジスペースを有効活用することができる。 装置は比較的コンパクトで軽く、使わないときには取り外しができるため、ラゲッジスペースを有効活用できる。生活のさまざまなシーンでクルマを便利に使うことができ、新たに福祉車両を購入する必要がないため、多くのユーザーから歓迎されるだろう。 ■車いす収納装置 装着可能車種 ・シエンタ(年式:2022年8月〜)・シエンタ(年式:2015年7月〜2022年7月)※2022年11月予定・アクア(年式:2011年12月~2021年6月)※2022年11月予定・アクア(年式:2021年7月〜)※2022年11月予定・ヤリス(年式:2019年12月~)※2022年11月予定・プリウス(年式:2015年12月~)※2023年1月以降予定・ルーミー/タンク(年式:2016年11月~)※2023年1月以降予定 ■価格 14万9600円(消費税込み) 助手席ターンチルトシート スムーズなクルマの乗り降りを可能にしてくれる助手席ターンチルトシートも後付けが可能だ。 助手席のシートが車外に回転して座りやすい向きになり、同時に座面と背もたれが前傾することで、乗り降りがとてもラクになる。足が地面につきやすくなり、乗り降りの際にかがむ必要もなくなる。またシートを跨(また)いで座る必要がなくなるので、多くの高齢者にとっても快適な装備となる。 ■ 助手席ターンチルトシート 装着可能車種... ...
On 2022年11月15日 / By wpmaster文●Believe Japan 写真●Believe Japan、マツダ 2022/11/11(金)配信 「国際福祉機器展H.C.R.2022」で訪れたマツダのブースでは、車いすユーザーが自らドライビングを楽しみ、アクティブライフを満喫できるクルマの展示が行われていた。 ブランド全体で「クルマを運転する喜び」を追い求めるマツダにとっては、福祉車両も例外ではない。アクティブなカーライフをサポートするSUV「MX-30」とマツダイズムを体現するオープンスポーツの「ロードスター」をベースにした展示車2台も、そうした強いメッセージを発していた。 MAZDA MX-30 Self-empowerment Driving Vehicle(SeDV) 福祉車両としては見慣れないSUV、さらにはルーフ上に大きなオートボックスを装備するというアクティブなルックスで存在感を際立たせていた。運転席に座ったままでルーフ上に車いすを電動収納できるオートボックスと、運転席に座ったままでリアドアを閉められるストラップ式リアドアクローズアシストが装備され、車いすユーザーが自分ひとりで乗り降りすることができる。オートボックスは車いす、福祉車両架装メーカーのミクニ ライフ&オート(旧ニッシン自動車工業)が手がけたものでスムーズな動きを見せる。 一方、車いすユーザーが自ら運転することを可能にする装置としては、リング式アクセル&レバーブレーキ、ブレーキサポートボード、移乗ボードが装備される。 ■リング式アクセル 押し込むと加速するリング式のアクセルは、反力によって速度維持できるアクセルリングで、押し込み具合が瞬時に把握できるようになっている。これにより、ハンドルの持ち替えと、アクセルリングの押し直しが同時に必要な「交差点の右左折」や「立体駐車場スロープの登り」などの際でも、ギクシャク感のないスムーズな運転が可能になる。 ■レバーブレーキ 手のひらになじみ押しやすい形状、目視しなくてもステアリングから持ち替えやすい位置に取り付けられるレバーブレーキは、しっかりとブレーキがかけられるように、肩を起点に力を発揮しやすい軌道に設定される。ハザードスイッチ、ブレーキロックボタンも使いやすくレイアウトされている。 ■ブレーキサポートボード 肘をサポートできるボードで、肘を支点に細かな操作のしやすさと安定したブレーキングを可能にする。カップホルダーに差し込んで固定する方式のため、不要なときは簡単に取り外すことができる。... ...
On 2022年11月11日 / By wpmaster2022/7/8(金)配信 日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社(NMC)は、7日、「キャラバン」ガソリン車の一部仕様向上にあわせ、「ライフケアビークル(LV)」シリーズの仕様を一部向上したと発表。 車いす仕様車の「チェアキャブ」については、ユーザーの要望にこたえ「ワンタッチオートスライドドア(助手席側)」を追加設定し、福祉施設・病院などでの送迎時に介助者の負担軽減や作業の効率化を可能とした。 また、ベース車と同様に燃費の性能向上を図ると共に、上級グレードにはオーディオ、ハンズフリーフォンコントロール用のステアリングスイッチを追加。カップホルダーの形状変更など、使い勝手の向上も図られた。 ●価格帯(消費税非課税)チェアキャブ(全グレード)391万9000円~471万6000円 ...
On 2022年7月8日 / By wpmaster文●Believe Japan 写真●Believe Japan、マツダ E&T 2022/6/21(火)配信 先日お伝えした「マツダ E&T」の「スロープ式車いす移動車累計生産台数6万台記念式典」に華を添えた「キャロルi」。「世の中にないものは作る」という熱い思いから、当時のスタッフが試行錯誤して生み出したこの福祉車両は、一般ユーザーにも手が届く価格と取りまわしに優れた軽自動車の利点をあわせた画期的な1台だった。それゆえ、この記念式典には「マツダ E&T」の創造力が身を結んだ象徴として、なんとしても実車を展示したい!という思いだったという。今回は、いかにして「キャロルi」が復活したのかという過程を、製造技術部の川本健司さんと吉川陽三さん、業務革新部の登根孝志さんに伺った。 そもそも車両がない! 初代「キャロルi」の生産台数は200台強。実用で使われるクルマの性格上、程度のいい中古車を見つけるのは難しいと予想していたというが、それは想像を超えていた。そう、中古車市場には物件が1台もなかったのである。某オークションで過去に1台だけ出品されていた履歴こそ見つけたが、それ以降、物件情報は皆無。「痺れをきらして社会福祉協議会や関係団体への問い合わせ、はたまた社員の目撃情報をもとに、施設や役所に片っ端から電話し、場合によっては福祉車両のセールスと勘違いされたこともありました(登根さん)」。そうこうして、ようやくネット上で1台を発見。間髪入れずに掲載店に連絡をいれ、車両を確保したのだが……。 さてどのように仕上げるか やっとの思いで探し当てた1台。ネット上の写真ではほどほどの状態に見えたが、納車された車両の程度は想像以上にヤレていた。「当初は予算の関係もあり、外観と車いすスペースを修復し構内を走行できる状態を目指していましたが、作業を進めていくうちに徹底的に仕上げたい!という思いがレストアメンバーに湧き上がりました。そこで、追加予算の申請、承認を得て、「キャロルi」は徹底的に仕上げられることになったのです(川本さん)」。 ここからがプロの仕事 「マツダ E&T」は「初代ロードスター(NA)」のレストアサービスや、モーターショーの展示車両なども手がけるスペシャリスト。「キャロルi」も、まずはついている部品をすべて取り外すことから始まり、レストア作業は以下の項目を軸に行われていった。 ・ボディーパネルの凹み部分の修正、板金、塗装・足まわり、下まわりの塗装、修理・エンジン部分の磨き、塗装、修理・シート、フロアマットの洗浄 文字にすると簡単に見えるが、やはり27年間の劣化はかなりのものだったという。「まずはゴム、ホース類の固着、プラスチック部分の硬化。このあたりの部品は組み直す際に新品を使うのですが、古いクルマの場合は多くの部品が生産中止になっています。そのため汎用性があり購入できない部品は代替品の加工や新規に製作が必要でした。また、続いて手を焼いたのが板金。元の状態はフロントフェンダーが一部変形しており、エクボも複数。テールゲートのダメージも大きく、凹んだ箇所はデントリペアやプーリングキットによって引き出し、当て盤などを使用しハンマーリングで修繕しています。さらに、プラスチック部分の一部は3次元測定器で計測のうえ製作。車いす固定装置の金属部分も板金加工して製作しました(吉川さん)」。我々が思わず感動したのが当時のサプライヤーの協力。「キャロルi」オリジナルのエンブレムは山陽マーク株式会社が、専用の車いすは株式会社松永製作所が、車いすスペースのマットは株式会社すぎはらが「キャロルi」のレストアにかける思いに賛同し、復刻してくれたのだという。 まさに関係者が一丸となって実現した「キャロルi」のフルレストア。今後、福祉イベントなどでの展示も検討されているというから楽しみにしたい。 キャロルi について 1995年に誕生した「キャロルi」は、当時のキャロルをベースに開発されたが、車いすを収納するためにさまざまな架装が行われている。外観上のポイントは、スロープを組み込んだテールゲートとルーフ後部のハイルーフ化を実施。また、無理なく車いすを載せるために、燃料タンクの移設に加え、サスペンションの取り付け位置なども変更されている。いまでこそ、軽自動車の車いす移動車はさらにユーティリティに優れたトールタイプやワンボックスタイプとなるが、車いすに乗った状態で「キャロルi」に乗り込んでみると、非常に快適な空間が確保されているのに驚いた。ハイルーフのおかげで圧迫感がないどころか、身長180㎝以上の筆者が収まっても、明るい視界が広がっているのだ。また、床面地上高170㎜という超低床フロアもこのクルマの利便性の高さを後押ししている。いわゆるスロープ角が小さくなるので、車いすを載せる際の負担が少ないのだ。専用の車いすが必要だが、ワンタッチで固定できる装置もかなり画期的だといえる。... ...
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