文と写真●Believe Japan 2025/10/6(月)配信 欧州最大の福祉機器展「REHACARE(リハケア)」に、今年も行ってきました! ここではあらゆる車種に対応する老舗メーカーの運転補助装置をレポートします。 リングを押すとクルマが加速し、ドライブフィールも自然 70周年を迎えた運転補助装置メーカー KEMPF(ケンプフ)。ブースの主役は、同社を代表するデジタル・アクセラレータリング「DARIOS(ダリオス)」だった。展示されたメルセデス・ベンツ Cクラスのドアを開けると、ステアリングの内側にリングが取り付けられているのがわかる。 「足を使わなくても、こんなに自然にアクセル操作ができるんだ」。操作を試した来場者が思わず声を上げる。リングを押す力加減で加速をコントロールでき、手だけで運転しても違和感は少ない。まるで通常のアクセルを踏んでいるかのようだ。ブースの担当者は次のように説明する。「DARIOSは車両のECU(電子制御ユニット)と直接つながっています。だからレスポンスが正確で、従来の補助装置にありがちな“もたつき”がありません。ハンドルを握ったまま直感的に操作でき、純正アクセルに近いフィーリングを実現しています」。実際に車内をのぞくと、DARIOSはインテリアに違和感なく組み込まれ、まるで純正装備のよう。少し触れただけでも、その高いクオリティが伝わってくる。 片腕・片足で操作できる装置 KEMPFでは、DARIOSのほかにも身体的制約があるドライバー向けに多様な装置を提供している。そのひとつが「PICADO(ピカド)」。片腕での運転を想定したステアリングノブで、このノブからウインカーやライトなど最大16種類の車両機能を操作でき、安全で快適な運転を実現する。また(写真はないが)、右足に障害があるドライバーには「Electronic Left Foot Accelerator」が用意される。左側に新しいアクセルペダルを設置し、ブレーキはそのまま使用。スイッチで「右足アクセル/左足アクセル」を切り替えられるので、家族などが運転する場合も安心だ。 国内での可能性 日本国内でもホンダが自走車両向けに運転補助技術を提供しており、車両と一体化した安心感ある操作性を実現している。一方、KEMPFは多様な車種に対応する改造型の補助装置として、自然で違和感のない操作感を実現している点が特長だ。KEMPFはフランスにルーツを持ち、創業70年以上の歴史を誇る。とくに運転補助装置の分野では40年以上の実績を持つスペシャリストである。現在ではフランス本社に加え、ドイツやアメリカにも拠点を展開し、世界中のドライバーに「自由な移動の可能性」を届けている。現時点では左ハンドル車のみの設定だが、その自然な操作感や幅広い車種への対応力を考えると、日本市場での導入も大いに期待される。高齢化や身体に制約のあるドライバーが増えるなか、KEMPFの運転補助装置は、より多くの人々に「運転の自由」を届ける存在となるだろう。 ...
On 2025年10月6日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 2025/10/3(金)配信 欧州最大の福祉機器展「REHACARE(リハケア)」に、今年も行ってきました! ここでは車いす対応のキャンピングトレーラー「THECUBER」をレポートします。 未来のアウトドアをデザインしたキャンピングトレーラー リハケアでは、日常に使えるモビリティの提案が多く見られるが、そこはヨーロッパ。長いバカンスを見据えた、余暇を積極的に楽しむための製品も目に入る。そんな中でも多くの人で賑わい、ひときわ明るい雰囲気を放っていたのが「THECUBER(ザ・クーバー)」のブースだ。このキャンピングトレーラーメーカーの理念は創業以来明確で、「バリアフリー」、「機能性」、「デザイン性」の三位一体。歩行が不自由な人の移動をアシストするにとどまらず、だれもが自由で快適な時間を過ごせることを目指している。 ブースには、スロープタイプとリフトタイプが展示されていた。スロープタイプは長めのスロープを展開し、緩やかな傾斜で自力で乗降しやすい設計となっている。補助を最小限にし、みんなでアウトドアの時間を楽しめる工夫が随所に見られる。一方のリフトタイプは限られたスペースでも昇降でき、駐車場や狭いキャンプ場での使用に対応。どちらも車いす使用者が自由に移動できる設計で、乗降のストレスを最小限に抑えていた。 気になる内部は広々とした空間で、車いすでの旋回もスムーズ。フラットな床面としっかりしたシャシーによって、走行中の揺れや振動を最小限に抑えているという。また断熱材と高性能パネルを採用しており、欧州の寒冷地から日本の蒸し暑い夏まで快適に過ごせるのもポイントだ。また、モジュール式の内装は、ベッド、収納、調理台などを用途や人数に応じて配置でき、最大5名まで宿泊可能なモデルもある。アウトドアレジャーだけでなく、バリアフリー対応の移動販売車や移動オフィスとしても活用可能だ。 会場では多くの来場者が車いすで内部を体験し、「これなら家族や友人とアウトドアを楽しめる」と笑顔を見せていた。THECUBERのトレーラーは、キャンプの新しい形を提示する可能性を感じさせる。 ...
On 2025年10月3日 / By wpmaster文●Believe Japan 写真●コヤマドライビングスクール 2022/12/20(火)配信 師走のこの時期、川崎のCLUB CITTA′(クラブチッタ)で毎年開催されていた「D′LIVE(ドライブ)」。発売後にチケットが即完売する人気イベントとして注目される日本最大級の手話ライブは、この2年間コロナウィルス感染防止拡大のため、開催が自粛されていたが、この冬、完全復活を遂げた。3年ぶりのステージでは、出演者たちの熱い思いを込めたパフォーマンスが繰り広げられた。 自動車教習所のコヤマドライビングスクールが2004年にはじめて開催したD′LIVEは、「カッコイイ、スタイリッシュな、健聴者もろう者とともに楽しめるイベント」として従来の福祉イベントの概念を打ち破るものだった。以来大きな支持を受け、17回目を迎えた今回も会場は熱気に包まれ、健聴者も多く訪れた観衆は大いに盛り上がった。 その感染予防対策は徹底したもので、ライブ出演者やスタッフ全員が事前に抗原検査を受け、パフォーマンス中を除いてマスク着用を厳守。入場に際しては検温とアルコール消毒を行い、飲食の禁止や会話の自粛要請も行われた。運営側の尽力もあり、ステージ上で繰り広げられたパフォーマンスはエネルギーに満ちあふれ、「聴覚に障がいのある人もない人も楽しめる」ステージプログラムは2時間以上にわたって繰り広げられた。 見るものを魅了する質の高いエンターテイメント 音楽にあわせて表現される手話歌は、手話を知らない人も思わず引き込まれてしまう華麗でダイナミックなもの。流れるようなダンスに溶け込んだ手話パフォーマンスは洗練されていて、練習に費やされてきた情熱と時間はもはや想像もできない。 D’LIVEではお馴染みでファンも多いアーティスト「Nyanko」。春に急逝されたお母さんへの感謝の気持ちを込めて感動的な手話歌を披露。 「Three Pieces」手話、表情、ジェスチャーなど体全体を使ったパフォーマンスで、だれでも楽しめる音楽を届けてくれる。 大阪から来た「ザ・オイオイズ」は、”きこえる人”と”きこえない人”の間にある「心のバリア」を壊すために活動している。 4人組の「ひっぽぽ星人」は「今夜だけは嫌なこと全部忘れちゃおう!」という意気込みで底抜けに明るくリズミカルなパフォーマンスを見せてくれた。 D′LIVEのステージスクリーンには歌詞も映し出されるのだが、手話を知らなくても出演者から目を離せないほどに、彼らのパフォーマンスは洗練されていた。曲のタイミングとステージ上のパフォーマーの様子を見て的確にカウントサインを出す「カウントマン」もまた影の立役者である。 熱を帯びたイベントのフィナーレは西城秀樹さんの「YOUNG MAN(ヤングマン)」。出演者全員と観客が一体となり、会場のボルテージは最高潮に達した。 聴覚障がいを持たれる方が「観客」としてのみでなく「演者」としてステージに上がり、集まった観衆をパフォーマンスで魅了するD′LIVEは、エンターテイメントとして純粋に楽しめ、手話が伝えられる感情の豊かさを思い知らせてくれた。今後もこのイベントが続きさらなる盛り上がりを見せることを期待せずにはいられない。 「手話や障がいのある方に関わるきっかけのない若い人たちに、手話で表現する楽しさを知ってもらいたい、健聴者とろう者のコミュニケーションを広げる活動ができないか」という想いでこのイベントを開催しているコヤマドライビングスクールでは、全校合わせておよそ120名のインストラクターが手話対応を行うなど、聴覚障がいのある方のための運転教習を熱心に行っている。 ...
On 2022年12月20日 / By wpmaster2022/12/2(金)配信 日産自動車は、12月4日に同社追浜工場内テストコース「GRANDRIVE」にて、3年ぶりに第23回全国車椅子マラソンin横須賀「日産カップ追浜チャンピオンシップ2022」を開催すると発表した。 この大会は2000年にはじまった車いす陸上競技の総合大会で、今年で23回目の開催。障がい者スポーツの普及と競技者の技術向上のほか、地域の活性化と「やさしい街づくり」支援を目的として実施され、車いす競技大会として過去多数のパラリンピック選手を輩出している。新型コロナウイルス感染拡大のため、2020年と2021年は開催を中止。今年は3日間の大会を1日に短縮し、3年ぶりの開催となる。 今年は延べ60名の選手が全国から参加し、「GRANDRIVE」を使用した2.5km、5km、10kmの記録会に臨む予定。パラリンピック日本代表選手など国内トップレベルの選手から若手選手、また健常者まで、障がいのある人も障がいのない人も分け隔てなくレースに参加できる全国でも数少ないレースとなっている。 日産は、よりクリーンで安全、インクルーシブなだれもが共生できる社会の実現に向け、真に持続可能な企業となることを目指しており、今後も障がい者スポーツの普及および発展の一助となることを目指すとしている。 第23回全国車椅子マラソンin横須賀「日産カップ追浜チャンピオンシップ2022」 実施概要|大会スケジュール 日程:2022年12月4日(日)種目および競技区分: 大会ホームページ https://www.nissan-global.com/JP/SUSTAINABILITY/SOCIAL/CITIZENSHIP/NISSANCUP/ ...
On 2022年12月2日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 2021/11/15(月)配信 11月10日~12日にお台場で開催された国際福祉機器展。N-VANに続いてご紹介したいのは、同じくフジオートが展示していたトヨタ ヤリスの福祉車両だ。 フジオートでは、運転補助装置開発の長年の経験と実績から、運転でハンディになる部分を補うさまざまなパーツを製作している。そのなかでも自操式車両の場合、ドライバーが車いすから運転席に移乗する際のパーツ開発はハードルが高いという。現在一般的に使われているのはトランスファーボードと呼ばれる専用のパーツだが、そもそも運転席が回転シート仕様なら、そのボードを設置する必要がないというわけだ。 そこでにわかに脚光を浴びるのがトヨタ ヤリス。このクルマは「運転席回転シート」がカタログオプションとして設定されているため、福祉車両への改造ベース車に非常に適しているのだ。撮影車両はこちらをベースに、主に操作系のパーツを組み込んだ仕様となっている。 多くの自操式車両のユーザーが「乗降時がいちばん面倒だしストレスを感じる」と言うだけあって、このヤリスをベースとした福祉車両の魅力は大きい。 フジオートでは、使用するユーザーの状態にあわせてさまざまな仕様を提案してくれる。今回は、左アクセルペダルの種類をクローズアップしてみたい。 右半身が不自由なひとのための「左アクセルペダル」も、このようにさまざまなタイプがある。写真左から簡単に説明すると、 【LA-4/左アクセル・ブレーキ】 ステアリングシャフトがブレーキペダルの真横にあるような車種(ワンボックスや軽トラック)に使用。左側にアクセルペダルだけ増設しても、ブレーキペダルへの踏み替えが困難になるため、ブレーキペダルも左側に増設されている。 【LA-1/吊り下げ式】 左アクセルペダルのなかで最初に開発された、オーソドックスなタイプ。使用する際、右のアクセルペダルを誤って操作しないように遮へい板が設置されている。こちらは、遮へい板を取り外し左アクセルペダル本体を上に収納することで、通常の右アクセル車として使用することもできる。 【LA-2/オルガン式】 日本国内にかぎらず、海外でも利用されている汎用性の高い左アクセルペダル(カーペットと車体の床に穴あけ加工が必要)。 【LA-3/左右跳ね上げ式】 右のアクセルペダルを加工し、左右両方のアクセルペダルを簡単に跳ね上げられるようにした装置。 フジコン公式サイトhttps://www.fujicon.co.jp ...
On 2021年11月15日 / By wpmaster2021/11/9(火)配信 Hondaは福祉車両をはじめ、福祉のさまざまな取り組みを紹介し、実際に体感できるイベント「HondaハートJoy for Everyone」を、11月9日(火)から30日(火)まで「Hondaウエルカムプラザ青山」にて開催すると発表した。 今回のイベントは、Hondaの創業時からの基本理念”人間尊重”の考え方のもと、“誰もが気持ちよく、楽しく乗れるクルマづくりをすすめるとともに、身体の不自由な方々が活躍できる機会や場の拡大をサポートする”という想いから企画されたという。Hondaのこれまでの取り組みを紹介するとともに、福祉領域における製品展示などを通じて一般のひとに実体験してもらうことで、Hondaの取り組みをより深く知ってもらおうというイベントだ。 【イベントでの出展品】 国内唯一である足動運転補助装置「Honda・フランツシステム」 1965年にドイツで開発されて以来、ヨーロッパで高い評価を得てきたフランツシステムは、両上肢が不自由な方が両足だけで運転操作できる運転補助装置。Hondaは1981年に開発者のフランツ氏から直接技術指導を受け、さらに独自の技術を加えて1982年に国内で初めて販売。現在、国内で唯一フランツシステムの開発・販売を行なっている。 視覚障がい者の単独歩行を支援する、シューズイン型ナビゲーションシステム「あしらせ」 「あしらせ」は、視覚障がい者の単独歩行を支援するシューズイン型のナビゲーションシステム。Honda新事業創出プログラム「IGNITION(イグニッション)」発のベンチャー企業第1号の株式会社Ashirase(あしらせ)で、2022年度中の販売開始を目指し現在開発が進められている。スマートフォンアプリにでの音声入力や案内、加えて靴につける振動インターフェースで構成され、聴覚、手の次に知覚しやすい足への振動により、向かう方向を直感的に示すことを可能としている。 2021年度グッドデザイン賞を受賞した、陸上競技用車いす「翔(KAKERU)」 ”勝利の笑顔をアスリートに届ける”をコンセプトに、ホンダの最新テクノロジーを結集させて開発された「翔(KAKERU)」は、ウイング形状のメインフレーム等は、F1やHonda Jetで培ったカーボンファイバー技術の知見を採用。アスリートが「これに乗って頑張りたい」と闘志を燃やせるデザイン、仕様を目指したもので、「2021年度グッドデザイン賞」(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)において、グッドデザイン賞を受賞した。すで幾多の戦績を残している。 【開催概要】 イベント名:「HondaハートJoy for Everyone」開催概要開催期間:2021年11月9日(火)~30日(火)開催場所:「Hondaウエルカムプラザ青山」(東京都港区南青山2丁目1−1 Honda青山ビル 1階)概要:Hondaの福祉のさまざまな取り組みや製品が体感できる展示イベント展示内容:・視覚障がい者の単独歩行を支援 シューズイン型のナビゲーションシステム「あしらせ」・陸上競技用車いす フラッグシップモデル「翔(KAKERU)」・国内唯一となる両上肢の不自由な方が両足だけで運転操作可能な運転補助装置「Honda・フランツシステム」(車種:FIT)・手足の不自由な方のための運転補助装置「Hondaテックマチックシステム」(車種:FIT)・助手席リフトアップシート車(車種:FREED)、車いす仕様車(車種:N-BOX)他 ...
On 2021年11月9日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 自然の素晴らしさ、美しさ、それを実感する体験を障がいを持つひとと分かち合いたい。そんな想いから生まれたのが、「Joelette and Co by Ferriol-Matrat(ジョレット アンド コ)」(http://www.joeletteandco.com)のレクリエーション機器「THE JOELETTE(ジョレット)」シリーズ。金属チューブの加工を生業としていたFerrio-Matrat社が立ち上げたブランドで、彼らの持つ技術を運動障がいのあるひとたちのスポーツとレクリエーション促進のために役立てたいという想いから生まれたものだという。 全地形対応型一輪椅子と表現される「THE JOELETTE」は、最低2名のガイドの手を借りることによって、運動障がい、または身体障がいを持つ子供、または大人がハイキングやアクティビティに参加できるようになるというもの。これまでの車いすでは立ち入れなかったような険しい地形にもアクセスできるように設計されている。また、モーターがサポートする電動化モデルもラインアップするなど、バリエーションも豊富。 「THE JOELETTE」を活用した“冒険”は、すでにヨーロッパ各地で行われている。たとえば、2016年10月には、コルシカ島を南北に貫くGR20と呼ばれるルートを踏破、標高2000m以上の山頂への登頂を成功させている。ゴツゴツとした大きな岩が露出し、難所が続くGR20は欧州のなかでも難易度の高いトレイルとして知られている。しかし、通常ではチャレンジすることすら諦めてしまうような険しい自然だからこそ、成し遂げたときには大きな感動があったと、取材に対応してくれた輸出部門のFabienne PETIT氏は教えてくれた。 「THE JOELETTE」は、力を合わせれば困難を克服できるという実感、そして自然とともに生きる素晴らしさをシェアしてくれる福祉機器だ。 「THE JOELETTE」と2名以上のサポーターがいれば、健康障がいや歩行障がいを持つひとがアウトドアを楽しめる... ...
On 2020年1月4日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 障がいがあっても、自然に触れ合いたい。海や山を楽しみたい。そんなひとたちの声に応える形で開発されたのが、「Mountain Trike(マウンテントライク)」社(https://www.mountaintrike.com)のアウトドア用の車いす「Mountain Trike(マウンテントライク)」シリーズだ。まるでマウンテンバイクのような、オフロード用のタイヤが特徴的なこの車いすには、じつにさまざまなアイデアが詰まっている。 最大の特徴は、トライクという名前のとおり3輪であること。これにより不整地でも後方に倒れる心配がない。そして3輪にはそれぞれ独立したサスペンションが組み込まれているため、でこぼこの道でも安定した快適な乗り心地を提供。しっかりとした油圧ブレーキも組み込まれている。 さらに、ホイールから伸びるレバーには、ステアリングとブレーキ機能に加えて、漕ぐことによって車いすを前に進ませる機構も組み込まれている。通常の車いすではホイールのリムを手でつかんでまわすため、アウトドアを走ると手が汚れてしまうが、これならその心配もない。「Mountain Trike」は、これまで自然に触れあう機会をあきらめていたひとたちにとって、待ってました!のアイデアが詰まった車いすなのだ。 さらに、最新作の「eTrike(イートライク)」は、後輪に250W、36Vのハブモーターを内蔵することで、時速約12kmでの電動走行が可能となった。バッテリーは12.8Ah、36Vのリチウムイオン。同社サイトで公開されている動画では、枯葉の積もる林のなかをスムーズに走る「eTrike」の姿を見ることができる。 取材に対応してくれたセールスマネージャーのRoger Crawford氏によれば、「Mountain Trike」シリーズは各モデルが同じ規格で作られているため、非電動モデルから電動モデルへのアップグレード、またはその逆も可能なのだとか。たとえば、アクシデントによって歩行が困難になったばかりの時期は電動モデルを使い、リハビリが進んで体力がついてきたら非電動モデルに変更したり、レバーを片側だけにするなどといったカスタマイズも受け付けている。障がいの状況やライフスタイルに合わせられるフレキシビリティが嬉しい。 英国の発明家であるTim Morgan氏が5年の歳月をかけて開発した「Mountain Trike」は、6歳から96歳まで幅広いユーザーが愛用しているという。イノベーションが世界を変える。そのことを強く実感させてくれる素敵な車いすだ。 電動モデル「eTrike」は後輪に250W、36Vのハブモーターを内蔵することで、時速約12kmでの電動走行が可能。 セールスマネージャーのRoger Crawford氏によれば、「Mountain Trike」は人生の可能性を広げてくれるパワーをもった車いすだという。... ...
On 2020年1月2日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 電動車いすの普及が進んでいるヨーロッパ。老若男女問わず、スムーズなスティック操作で軽やかに移動している姿は非常に印象的だ。 ドイツのデュッセルドルフで開催された世界有数の規模を誇るリハビリと福祉・介護機器展「REHACARE(リハケア) 2019」でも、たくさんの電動車いすの利用者や電動車いす向け商品が展示されていた。一方で、電動車いすを利用するときに問題になりがちなのが、その重さに関する問題。単体で200kg以上の重さになることも多い電動車いすは、一般的な福祉車両のスロープの耐荷重を超えてしまうのだ。 そこでスウェーデンの「BILANPASSNING(ビランパスニング)」(https://bilanpassning.com)社が開発したのが、電動車いすのままスロープが利用でき、さらに運転席スペースまでノンステップでアプローチできる「Active FlexiRamp(アクティブ フレクシィランプ)」。会場には、この商品を組み込んだフォルクスワーゲン キャディ(日本未発売)が展示され、実際に乗り込むこともできるようになっていた。 同社のオーナーでありCEOのBjorn Kayser氏によれば、「Active FlexiRamp」のフロアは複合材料によって軽量かつ強固に作られていて、重い電動車いすを使ったテストもパスしているとのこと。また、運転席と助手席は単純な金具によって取り外し可能な構造になっており、取り除くことも、装着することも簡単。 運転にまつわる操作系はユーザーの身体に合わせて改造を行える体制が整えられているとのことだが、今回のキャディでは、アクセルとブレーキの操作はハンドルに集約し、トランスミッションの操作系がボタン式に改められていた。ミニバンとしての機能性も考えられており、リヤシートを活用すれば大人4名とたくさんの荷物を積んで出かけられる。このリヤシートはコンパクトに畳むこともできるため、乗り降りの際には車内のスペースを最大化してくれる。 電動車いすのユーザーが気軽に出かけられるのはもちろん、運転席にシートを装着すれば、送迎車としても非常に便利。「Active FlexiRamp」は、まさに電動車いす先進国ヨーロッパならではの福祉車両だ。 フロアはフラットで出っぱりも最小限。後席シートはこのように折り畳める。 電動車いすの重量に耐えられるように設計されたスロープ。段差もほとんどない。 運転席、助手席は取り外し可能。つまり、電動車いすユーザー以外でも運転できるフレキシビリティのある設計だ。 ...
On 2019年12月30日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan まるで歩くように、身体を行きたい方向に向けることで移動する「OMEO(オメオ)」は、これまでの電動車いすにはない、新しい体験を与えてくれた。 ドイツのデュッセルドルフで開催された世界有数の規模を誇るリハビリと福祉・介護機器展「REHACARE(リハケア) 2019」には、イノベーティブな福祉機器が数多く展示されていたが、「2KERR(ツーケアー)」(https://www.2kerr.com)の「OMEO」は、そのなかでも非常に目を引く存在だった。 「OMEO」は、セグウェイ社からライセンスを受け、供給されたプラットフォームを使って開発された電動車いす。そのポイントは、ジョイスティックを使わずに、上半身を希望の方向に向けることで操縦するという独特のシステムにある(ジョイスティックによる操作も可能)。 これにより、利用者はハンズフリーで、より自然な感覚で移動できる。そのフィーリングは非常にスポーティで、身体感覚に沿ったもの。 さらに走破性の高さも特筆すべきもので、取材に応じてくれた創始者でディレクター&デザイナーのKevin Halsall氏は、会場に用意された玉砂利の道をいとも簡単に走破するデモンストレーションを披露してくれた。氏によれば、「OMEO」は実用的であるだけでなく、楽しくてスポーティでユニークであることを大事にしたのだとか。 実際に会場を走らせてもらったが、軽快でスピーディに走りたいと思えば、そのとおりに動いてくれる。設定により最高速度を落とすことも可能で、慣れるまではゆっくりとした動きにもできるから安心だ。 会場には「OMEO」のほかにも、身体の状態や使用環境に合わせたバリエーションモデルが展示されていた。また、将来的には、独自プラットフォームに進化させるべく、現在も開発を続けているという。 重心移動によりスピードや進行方向をコントロールする「OMEO」は、電動車いすの世界にファン トゥ ドライブという体験を与えてくれる乗りものだった。 「OMEO」をデモンストレーションする「2KERR」社の創始者でディレクター&デザイナーのKevin Halsall氏 砂浜のような不整地であってもスタックせずに走れ、なおかつコントロールしやすい... ...
On 2019年12月27日 / By wpmaster© 2016-2020 Believe Japan, Inc. All rights reserved.
