文と写真●Believe Japan 広大なスペースを使って最新の福祉車両を展示し、実際の使い勝手を試すことができたトヨタ・ダイハツのブース。安心と安全をテーマに開発された福祉車両は、ただベースモデルに機能を追加しただけではなく、地域や実際に車両を使うユーザーに寄り添う形で作られている。世界有数の自動車メーカーであるトヨタと小型車専門メーカーであるダイハツが、それぞれの強みを生かしながら、多様性のあるラインアップを構成しているのが特徴。 たとえばこちらのパネルは「シートが回転・昇降、回転・前傾して乗り降りする車両」の一覧が示されたもので、非常に数多くの福祉車両が存在することがわかる。ユーザーの事情や環境に合わせたモデルが選べるということだ。 「ノア ウェルジョイン 助手席リフトアップシート付(270万3000円〜276万6000円)」は、多人数の送迎をより快適にするクルマ。運転手の負担が少ない車両サイズがポイントで、コストを抑えながら3列目にも乗り降りしやすいよう工夫が凝らされている。 福祉車両ではないクルマを、簡単かつ低コストで使いやすくできるのが「サポトヨプラス」と名付けられた用品類。乗り降りを楽にしてくれたり、カーブでの身体を支えるのを手助けしてくれたりするもので、取り付けも簡単。 扱いやすさが人気の「シエンタ 車いす仕様車(213万円〜249万6000円)」には、3タイプの車いす仕様車が用意されている。車高降下機能を持つ「タイプⅠ」、車いすでの2列目乗車やストレッチャーにも対応する「タイプⅡ」、そして「タイプⅠ」の機能に助手席回転チルトシートを標準装備した「タイプⅢ」。 「エスクァイア 車いす仕様車(304万4000円〜337万9000円)」は、広い室内スペースを生かして多彩なバリエーションを用意している。2列目と3列目への同時乗車を実現した「タイプⅠ」。3列目を生かせる「サードシート付」と8ナンバー仕様の「サードシート無」仕様を用意した「タイプⅡ」。そして先進的な電動車いす「電動ウェルチェア」が標準装備されていて、ワンタッチで固定可能な「タイプⅢ」。 「ヴォクシー 車いす仕様車(290万1000円〜323万6000円)」は、機能やバリエーションは「エスクァイア 車いす仕様車」と同じ。デザインの好みや予算で選ぶことができる。 長距離、長時間でも快適な移動を実現してくれるのが「ヴェルファイア サイドリフトアップシート装着車(356万1000円〜516万8000円)」。乗り降りの際に2列目のシートが電動でスライド&チルト。膝への負担を考えた角度も自慢。 助手席が回転して車外にスライドダウンして乗り降りを助けてくれる「ルーミー 助手席リフトアップシート車(174万5000円〜223万6000円)」。手動で車いすを荷室に固定する「タイプA」と35kgまでの車いすを電動で収納できる「タイプB」が存在。 車いすの方が運転席に乗り降りするのをサポートしてくれる「プリウス... ...
On 2019年5月6日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 軽自動車最大級の後席スペースと荷室の広さ、そして小型車をも凌駕するほどの作り込みで日本でもっとも販売台数の多い軽自動車に成長したホンダ「N-BOX」。その福祉車両である「N-BOX スロープ仕様」も、2018年度で5645台を販売する大ヒットモデルとなった。その理由は、ベース車の魅力に加えて、ユーザーの声を反映して考え抜かれた、使い勝手のよさと快適性の高さにある。 多くのユーザーから支持を集めているホンダの「N-BOX スロープ仕様車(157万5640円〜188万8840円)」。 たとえばテールゲート。福祉車両であっても、できるだけ違和感のない自然なデザインにしてほしいという要望を受けて、新型N-BOX スロープ仕様ではテールゲートを専用に設計した。 リヤシートを床に収納することで、車いす乗車モードでも足元の空間は広々。収納の際にリヤシートのヘッドレストを外す必要がないのも嬉しい。リヤシート背後のパネルを収納するためのポケットも前席のシート背面に用意されている。身体を支えるための手すりも使い勝手にこだわった。 ウインチを小型化して前席シート下に収めるなど、空間効率を高める工夫が随所に見える。 4人乗車モードでは通常のクルマと同じように人と荷物を乗せることができる。 スロープが荷室の床になる設計で、広さも十分。スロープの下も収納スペースとして活用できるため、靴や傘などをしまうのに便利。 また、「ステップワゴン 車いす仕様車(310万8000円〜324万5000円)」も、「このクルマでなければ」という声の上がるモデル。車いすの乗車位置を3タイプから選べるのが特徴。車いす1台を含めて最大7名が乗車できるタイプでも、車いすを乗車する位置を2列目または3列目から選べるなど、利用者の生活や使い勝手に応じた仕様を選べるようになっている。 ストレッチャーやリクライニングした状態での移動が必要な方にとっても、「ステップワゴン 車いす仕様車」はぴったりの選択肢。2列目と3列目のスペースが活用できるからだ。また、2列目、3列目それぞれに車いすを使用することも可能。 フロアを福祉車両専用設計とすることで、介助者が使いやすいフラットな床面を実現。車いすでの見晴らしもよく、快適な空間に仕上げた。 乗り降りの際に少しでも頭上のスペースを稼ぐために、天井も特別仕様になっている。 床はフローリング仕上げとなっている。清潔感があり、手入れもしやすそうだ。... ...
On 2019年5月3日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan スズキは、福祉車両「WITH(ウィズ)」シリーズとして5モデルを展開しているが、2018年度は合計で2636台の福祉車両を販売。 そのなかで1000台以上を販売し主力となっているのが、「スペーシア 車いす移動車(173万7000円)」。こちらは、2018年2月にフルモデルチェンジ登場した新型で、テールゲートとスロープを一体にしたことで、ワンアクションで簡単に開閉できるようになった使い勝手のよさが高い評価を集めている。先進安全機能である「スズキ セーフティ サポート」を標準装備したことや、エアコンの風を効率よく循環させるサーキュレーターを備えるなど、ベースモデルそのものの進化も高評価を後押しする。 スロープ幅は680mmでスロープ角度は14°、対荷重200kgまで。 両側スライドドアを採用しており介助しやすい。 「エブリイ 車いす移動車(172万円)」と「エブリイワゴン 車いす移動車(193万7000円)」も合わせて1200台以上を販売する人気モデル。「エブリイワゴン 車いす移動車」は、2018年2月の改良で、左側スライドドアと連動して作動する電動オートステップをオプション装備として採用している。エブリイシリーズの特徴は、車いすを載せた状態でさらに後席に介助者が座れること。 開口幅は最大で1340mmと広く、乗り込んだときのゆとりがある。スロープ幅は705mmでスロープ角度は14°、対荷重200kgまで。 車いす乗車時でも助手席側リヤシートに1名乗車可能となっている。 「ワゴンR スティングレー 昇降シート車(153万7000円)」にはワイヤレスリモコンが標準装備。 「ワゴンR 昇降シート車(139万円)」。後席に人が乗った状態でも車いすが収納できる。... ...
On 2019年4月30日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 現在、自動車メーカーや機器メーカーの努力によって広がりを見せ、自分に合ったモデルを選ぶことができる福祉車両。この福祉車両が身近なモビリティになっている理由のひとつに、「税金が減免される」というコスト面での負担軽減が挙げられる。ここで、いまひとつわかりにくいと言われる福祉車両の税金について要点をまとめてみた。購入時だけでなく、購入後のカーライフに関わるものもあるので知っておきたい。 「車いすで乗車」、「自分で運転」する車両は消費税が課税 じつは福祉車両の自動車税、自動車取得税の減免は早く、1970年3月から実施されている。そして、その後導入された消費税については、非課税となっている。ただし、非課税の対象となるのは「車いすのまま乗車するタイプ」と身体が不自由な方が「自分で運転するタイプ」に限られるという事も知っておきたい。具体的には、車いすを車両に乗せるための昇降装置とその車いすなどを固定するために必要な装置、または運転補助装置を装備した車両ということになる。現在販売されているタイプとしては、スロープ車、車いすのままリフトアップされる車両、運転補助装置付き車となる。助手席や後部座席が回転、昇降するタイプは、消費税の課税対象となる。 自動車税と自動車取得税は都道府県による 自動車税、自動車取得税については、「身障者手帳」が交付されているユーザーは全額減免となるが、交付されていないユーザーは各都道府県によって減免基準が異なる。これは自動車税・自動車取得税が地方税のため、各都道府県で減免の判断が異なることが背景にある。 また、注意したいのは、減免される福祉車両は障がいのある方「1人に対して1台」に限られるということ。すでに減免を受けている車両があって、新しく福祉車両を購入する場合は、抹消登録または移転登録を完了しておく必要がある。 購入資金の貸付と助成制度 身体の不自由な方が通勤、通学、通院などの日常生活や社会参加を行うために必要なクルマを購入する場合、購入資金の貸付制度がある。こちらは各都道府県、または市区町村の社会福祉協議会に問い合わせてほしい。また、身体の不自由な方を雇用する事業主に対しても、通勤に必要となるクルマの購入や駐車場の賃借等に助成が行われている。こちらは都道府県の障害者雇用促進協会または公共職業安定所が問い合わせ先となる。 改造費用の助成制度 就労等に伴って身体の不自由な方が自動車を改造する場合、その費用が助成される。条件や助成額は各自治体によって異なるので、各市区町村の福祉担当窓口に問い合せる必要がある。 運転免許取得の助成制度 身体の不自由な方が運転免許を取得するための費用も、貸付または助成される。金額や貸付の利率は所得などによって設定される。市区町村によっては無料の教習制度がある場合や、介助運転者も助成の対象になる場合があるので、各市区町村の福祉担当窓口で確認したい。 燃料費の助成 身体の不自由な方、またはその家族が運転する自家用車の燃料費用の一部が助成される。自治体によって金額が異なり、実施していない場合もある。こちらも各市区町村の福祉担当窓口で確認したい。 有料道路通行料金の割引 身体の不自由な方が運転する車両、もしくは介助者が運転し、身体の不自由な方が同乗する車両は、事前に各市区町村の福祉事務所で手続きを行うと、日本道路公団や地方道路公団などの有料道路を割引料金で通行できる。事前登録が必要となるが、ETCでも割引が適用される。 行きたい場所に好きなときに、そして安全に行くことができるという自由は、我々の生活を豊かにしてくれる。クルマによって、毎日が楽しく明るく変わったという声をたくさん聞く。今後購入予定のある方は、ぜひ参考にしてほしい。 ...
On 2019年2月12日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 日本の福祉車両は年々改良されて使い勝手がよくなり、ラインアップの拡充も著しいが、パーソナルモビリティの意識が高いヨーロッパではどのような状況なのだろうか。現地を訪れ、感じた事をまとめてみた。 「後付け」、「改造」が基本 日本の自動車メーカーは、今日ミニバンから軽自動車まで、さまざまな車種で福祉車両を設定している。一方、ヨーロッパでは一部のメーカーを除いて、純正の福祉車両はあまり見当たらない。自動車メーカーのホームページを見ても、ほとんど設定がない状況だ。 しかし高度なクルマ社会のヨーロッパは、実際に訪れると身体の不自由な方の多くが日常的にクルマ移動していることがわかる。そして、そのなかでも自ら運転するタイプの車両が多い印象を受ける。メーカー純正の福祉車両が充実している日本とは異なり、ヨーロッパでは自動車メーカーに加え、福祉装置メーカーと福祉車両の架装会社が大きな役割を果たしているのが特徴だ。 自動車メーカーが生産した一般車両をベースに、福祉装置メーカーは装備する機器に加え、乗り降りや運転補助のシステム全体を開発していることが多い。ユーザーは福祉車両の架装会社を訪れ、現在乗っている車両の福祉車両化や新たに購入したいモデルをもとに、必要な福祉機能や取り付ける装備などを相談するのが一般的だ。 このヨーロッパスタイルの優れた点としては、「モデル選択の自由」が挙げられる。自分のライフスタイルにジャストフィットする車両に、必要最小限の改良、改造で仕上げていくのだ。こうした特性の背景は、いかにも合理性を重んじるヨーロッパの文化らしい。これは結果的にコストの節約にもつながっている。近年、日本でも後付けのシステムによる福祉車両が注目を集めている。とくに「好みのモデルに乗りたい」、「輸入車に乗りたい」というユーザーにとっては歓迎すべき傾向だ。 自動車メーカーの福祉車両 日本では主流となる自動車メーカー「純正」の福祉車両は、ヨーロッパでは少数派。モデルラインアップしているのは、これまでフォルクスワーゲン、メルセデス・ベンツ、フォード、オペルなど少数だった。しかし独自開発だけでなく、福祉車両架装会社などが手がけるモデルも含めて、自動車メーカーから販売される福祉車両は確実に増えている。 ハノーファーで行われた世界最大規模の国際商用車展IAA 2018のフォードブースで展示されていたミニバン、フォード トルネオ・コネクトのスロープ車。架装全般を担うのは福祉車両専門の装置メーカーMobilTec(モービルテック)だ。 MobilTec販売部門の責任者フィッリップ ハメルさんは、ヨーロッパの福祉車両の特徴として「手動」であることを挙げた。「日本では車いすの乗り降りが電動でアシストされているようですが、ヨーロッパではほとんどが手動です。スロープの傾斜がゆるく、介護者の体力がある程度あれば、手動の方が速やかに乗り降りでき、メンテナンスの不安も少ないですから」と説明する。 こちらも国際商用車展IAA 2018に展示されていたフォルクスワーゲン キャディ・マキシの福祉車両。スロープ車で、架装はFOCACCIA... ...
On 2019年1月25日 / By wpmaster文●Believe Japan 写真●WHILL クルマの世界では自動運転技術が大きく進化し、今日、世界中のメーカーがその開発にしのぎを削っている。「自動運転」は高性能なセンサーやカメラ、電子制御技術によってドライバーの運転をサポートするもので、事故の減少やドライバーの疲労軽減、交通渋滞の解消などが期待される。 一方、近年電動化がめざましい車いすの分野でも、自動運転技術がついに登場した。毎年1月に世界中から最先端の技術が発表されることで知られる「CES(セス)」。アメリカのラスベガスで開催される世界最大といわれる電子機器の見本市で、今回ひときわ大きな注目を集めたのが、空港をはじめとする商業施設などでの導入を見据えた「電動車いすの自動運転」だった。「WHILL自動運転システム」と名付けられたコンセプトを発表したのは、スタイリッシュなデザインでだれもが手軽に操作できる電動車いすを開発するWHILL(ウィル)。斬新なアイデアによって世界中から幅広い支持と投資を集め、意欲的な活動を展開している、神奈川県横浜市に拠点を置くベンチャー企業だ。 多くの人が行き交う空港や大規模な商業施設では、手動、電動にかかわらず車いすユーザーは障害物や人との接触を避けながら、目的地までのアクセスを確認して移動しなければならない。とくに空港では、搭乗時刻が迫っている乗客などが小走りで移動したり、スーツケースやカートなども行き交うため、車いすでの移動は大きな心労を伴う。 今回WHILLが提案する自動運転の車いすシステムは、初めて電動車いすを操作するという方でも不安なく移動できるように設計されている。もともと直感的な操作によって移動できることが魅力だったウィル各モデルに自動停止機能が付き、ユーザーが認識しない障害物との接触を防ぐことができるようになっている。車いす利用者のさらなる増加が見込まれる空港においては、今後深刻な混雑が予想されているため、車いすの自動運転化はその有力な解決策としても注目を集めそうだ。 自動停止、自動運転を行うパーソナルモビリティは、周囲の歩行者との距離を計算、柱などの障害物を想定し、周囲全体を視野に入れる必要がある。この車いすには前方と側方を監視するためのステレオカメラが、左右のアーム部分に1個ずつ装備され、広い視野角度を実現している。後方にはセンサーが備わり、後退の際の衝突防止にも配慮。 周囲の状況を検知し、その情報とあらかじめ収集した地図情報を照らし合わせ、安全に自動走行を行う電動車いす。それぞれが通信回線を搭載することで、どの場所にどの車いすがあるかが常に把握でき、サービスの運用負担が大幅に軽減される。さらにユーザーが乗り終えると、自動で保管場所まで戻るため、回収にかかっていた人件費を減らすこともできるなど、導入、実用化のハードルを下げるための工夫が随所に施されている。 乗車しながら運転状況を確認できるタブレット端末や背面のスーツケース格納するアタッチメントが装着されたタイプ。提供される「車いすを自分がいる場所まで呼び寄せるアプリ」は、使用シーンに合わせて施設側が柔軟に改良することもできるという。 WHILLでは今後の展開について、3段階での進行を予定している。 【現在】ハードウェアとしての電動車いすと開発に必要なオプションやライブラリの提供が可能。自動運転システムを開発できるパートナー企業や、カメラやセンサーなどの研究を行う大学などへ、研究開発モデル「Model CR」として提供を行う。 【2020年の実用化】空港、商業施設、博物館や美術館、駅などにおいて、シェアリング事業を行うパートナー企業を想定。モビリティの提供および自動運転システムの開発はWHILLが行い、モビリティプラットフォームや支払いシステムなどの構築はパートナー企業が担当する。 【2020年以降の実現】モビリティの提供から、フロントエンドシステムまで、すべてWHILLが提供。自治体など特定のエリアにおいて、WHILLがシェアリング事業を行う。 WHILL自動運転システムは今回のCES 2019で、Accessibilityカテゴリーで最優秀賞を受賞するなど、大きな注目を集め、高く評価された。今後多くの空港での導入が見込まれ、オランダのスキポール空港やイギリスのヒースロー空港、アメリカのラガーディア空港においては、実用化に向けた検討がすでに開始されている。また、空港以外でも積極的な導入を目指しているWHILLでは、小田急グループやスポーツ施設、商業施設での実用化も順次進めていく考えを明らかにしている。 新しい移動のスタイルを提案するWHILLは、2012年5月に日本で創業し、2013年4月にはアメリカ、2018 年8月にはオランダに拠点を設立。世界全体で約200名のスタッフが、「すべての人の移動を楽しくスマートにする」ことを目標に活動している。 ...
On 2019年1月18日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 車いすユーザーにとって、旅行で気になるのがトイレと入浴。今日、バリアフリー化が進み「段差がない」、「手すりが設置されている」宿泊施設は多くなっているが、日頃から車いすで浴室やトイレにアクセスしている方にとっては、やはり心配の種だろう。 今回紹介する折り畳み式のバスチェアー「Wheelable(ホイーラブル)」は、そんな不安を解決してくれる製品だ。とても簡単に、コンパクトに折り畳むことができ、狭いバスルームやトイレ内でも移動することができるように考えられている。実際に座ってみると、動きの軽さに驚かされる。 また耐水性で汚れにくい樹脂製なので、ユーザーは水を気にすることなくシャワーを浴びることも可能だ。重さわずか12kg未満だが、体重130kgのユーザーでも使えるように頑丈に設計されているので、安心感も高い。 ところで、ホイーラブルがさらに優れているのは、通常のトイレ(洋式)で、便座に座り変えることなくそのまま使用できること。ホイーラブルがトイレに向かって後退し、トイレの上にそのまま覆いかぶさる格好で使用できるのだ。介助なしにシャワーやトイレを使用できる車いすで、これまで諦めていた旅行もずっと身近になるに違いない。 横幅わずか49cm 。バスルームやトイレなど、スペースの限られた屋内での使用がメインに考えられているので、通常の車いすと比べてスリム。コンパクトに折り畳むために、肘掛けも小さめだ。 座面は通常のものと、バス・トイレ用と簡単に交換が可能。簡単に水洗いできる材質で、サウナでの使用も考えられている。 折り畳んでみる。まずは両側の肘掛けを畳む。 次に背もたれを前に倒し込む。 一体化して薄くなった座面と背もたれを取り外して、タテにして左右両方の車輪の間に置く。 続いて、左右の車輪を外側から押して、本体をスリム化する。 これで軽々と持ち運びができるようになる。 折り畳んだ肘掛けを引き上げれば、キャスターが付いた旅行用スーツケースのように楽に移動させることも可能だ。折り畳んだ幅はわずか23cmという薄さで、 樹脂製のボディは11.6 kgという軽量ぶりだ。 輸送や預け荷物に便利な専用ケースも用意されている。 折り畳まれたホイーラブルを車いすに座ったままの状態で展開するデモンストレーション。... ...
On 2018年12月3日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan リヤから伸びてきた長いアームが車いすを運んでいき、ラゲッジルームに収納する。今回の会場でもっともインパクトのあった展示が、この車いす収納支援ロボット「ROBOT R11(ロボットR11)」だ。 自身が乗ってきた車いすを収納する場合、その場所はルーフの上か助手席、または後部座席が一般的で、ラゲッジルームに収納する場合は、介護者が行うのがほとんどだ。ところがこのロボットR11は、車いすから運転席に移乗したドライバーが、自分ひとりで車いすをラゲッジに収納できる。ダイナミックなアームの動きで見る者を魅了するロボットR11は、座席を車いすが占めることなく、また介助を必要とせず乗り降りできる優れものだ。 収納にかかる時間は約40秒。高度なエンジニアリングが生み出す独創的なムーブによって、それもずっと短く感じる。複雑な機構だが、信頼性の高さとメンテナンスコストの低さが特徴という。また、ロボットを搭載するために、クルマのボディを改造する必要はなく、簡単な取り付け作業だけで済むというのも大きな魅力だ。 リヤから伸びた長いアームが車いすをラゲッジルームに収納する。降車時には、運転席の近くまで収納した車いすを運んできてくれる。 ほとんどのタイプに対応し、普段使う車いすを収納可能。許容重量は最大25kgとされる。 収納のシーン。まずは、アームが車いすをつかんで持ち上げる。 アームの動きはいたって滑らかで、スムーズに車両後方に移動する。 ラゲッジの近くで車いすを回転させる。 ラウンドしながらラゲッジルームに収納する。 ロボットと車いすが共にラゲッジルームに収まる。メカはコンパクトで、ドライバーの後方視界も良好に保たれる。 このロボットを開発したMoshe Ofsek(モシェ・オフェック)さん。イスラエルのカイサリアにあるエンジニアリング会社TMNの代表でもある。 最初の試作品は15年前に完成したというこのシステム。オフェックさんは、「ある日、ひとりの男性が私のラボにやってきて、外から見て福祉車両だとわからないクルマを作れないか? と聞いてきたのがきっかけでした。いろいろ試行錯誤して、ようやくこのタイプにたどり着きました」と振り返る。屋根に収めるタイプだと、高さ制限があるパーキングなどで不便。また、後席に収納するタイプだと乗員が1人減ってしまうという理由で、採用を断念したという。「開発で苦労したのは、アームが長いので、風が吹いてきてもボディにぶつからないように強度を持たせることでした」と彼。また、「ロボットに複雑な動きを行わせるために400を超えるオペレーションを記憶させ、1万回を超えるテストを行いました。おかげで、ずいぶんと時間がかかってしまいました(笑)」と語る。 現在のロボットは3世代目で、小売価格はおよそ1万4000ユーロ。年間1000台以上のコンバージョンをしているというTMNだが、オフェックさんは「日本車はまだ経験がないので、ぜひやってみたいですね。今後は日本をはじめ、アジア市場に進出したいです」と意気込みを語る。 TMN公式ページ ...
On 2018年11月29日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan ヨーロッパを移動していて感じることは、「体の大きなひとが多い」ということ。REHACAREの会場でも、大柄なユーザーが多く来場し、彼らのための福祉機器も展示されている。とくに歩行が困難な方に向けた製品が目立つが、ここではその中から、ラージサイズの車いすを紹介したい。 現在日本国内で販売される車いすの多くは、耐荷重が100kgとなっている。これをオーバーする体重の方は、車いすを特注するほかはなく、否応なく出不精になってしまうのが現状だ。また重さだけでなく、座面や背もたれのサイズも小さすぎて、車いすを断念する場合もある。 ドイツのDIETZ(ディエーツ)は、高品質で安心して使えるラージサイズの車いすを製造、販売している。大柄な方、肥満の方が快適に座れるように、フレームやサイドパネル、クッションを中心に人間工学の見地から開発されていて、「横幅80cm」、さらに「最大250kg」の重さに耐えうる設計で、荷重による車いすの損傷を気にせず使用できる。頑丈に作られているが、フレームはアルミニウム製で重量が抑えられているのも特徴だ。 tauron rsi(タウロンrsi) とくに肥満症の方の使用に最適化されているタイプで、アームレストの位置を調整することによって、シートの幅を簡単に調整(+2cm/-7cm)することができる。そのため体重の増減などにも対応できる。 介護者用のハンドルがあり、ブレーキも装着されている。大きな重量に負けないようディスクブレーキとなっている。 出不精となると、体重の増加が進みやすい傾向があるため、自分のサイズに合った車いすは、健康維持に不可欠なアイテムといえる。 CANEO XL(カネオXL) ヘビーデューティーモデルながら、重量28kgと軽量で、幅わずか34cmにまで折り畳める。ISO 7176-19にも準拠し、旅客輸送用として承認されている。アクティブなユーザーにフィットする車いすだ。 座面はゆとりのサイズで、快適な移動はもちろん、長時間くつろぎながら座ることもできる。 DIETZの製品設計は、ドイツ北部にあるハンブルクで行われる。「自分たちはだれのために働いているのか」を常に意識し、コスト計算からではなく、必要な機能、品質を達成してからはじめて製品価格を決定するというこだわりぶりだ。 DIETZ公式ページ ...
On 2018年11月26日 / By wpmaster文と写真●Believe Japan 今日、福祉車両の主流は、リヤのスロープから電動ウインチベルトによって車いすを乗り降りさせるタイプ。体力に自信のない方でも介助を行えるとして、日本国内では広く人気を集めている。しかし、車いすを手動で乗車させることができるユーザーにとっては、もっと手軽で素早い乗り降りが可能だ。事実、ヨーロッパでは乗り降りを手動で行うタイプのスロープ仕様が多く販売されている。ここで紹介するのは、そんな手軽で素早い乗降をサポートする「車いすの固定ベルト」だ。 AMF PROTEKTOR(AMFプロテクター)は、福祉機器の大手AMF-Brunsが数多くの福祉車両に供給する半自動巻き取り式の車いす固定ベルト。その魅力は簡単で確実な操作感。「カチッ」とフロアのレールに取り付け、フックを引いて車いすにかけ、ダイヤルを回してベルトのたるみを取る、という一連の工程を素早く行えること。ベルトはセルフロック式で、自動巻取りの機能も備える。固定ベルトという1つのパーツであるが、実際に使ってみると、その使い勝手のよさに感心させられる。 ベルトでしっかりと固定される車いす。ヨーロッパでは手動ベルトの需要が高い。 車いす固定ベルト「AMFプロテクター」は、車いすを固定する際、ある程度までは自動で巻き取る「半自動巻き取り式」。 精度、剛性感が高く、フロアのレールにカチッと簡単に固定できる。 赤のレバーを押すと、ベルトをリリースできる。 横のダイヤルを回すことで、簡単にベルトのたゆみを取ることができる。固定までが非常にスピーディで使い勝手のよさが好評を博している。 ブースには、さまざまなタイプのAMFプロテクターが展示され、需要の高さをうかがわせる。 AMF-Brunsは、1970年に車いすと乗員のための4点固定システムを開発し、1975年からは衝突試験も行うなど、車いす車両技術の分野をリードする大手メーカーだ。 AMF公式ページ ...
On 2018年11月21日 / By wpmaster© 2016-2020 Believe Japan, Inc. All rights reserved.